『ビールを飲んだ後、買い物に行ったら熱中症』猛暑で患者急増"真夏の救急隊" 全国トップ級に忙しい尼崎市消防局が出動「ほんま地獄のような暑さや」
MBSニュース / 2024年7月30日 11時25分
猛暑が続き、熱中症の疑いで救急搬送される人が急増しています。そうした中、全国トップクラスに忙しい尼崎市消防局に密着しました。
尼崎市消防局は全国トップクラスの“忙しさ”
兵庫県の尼崎市消防局。救急車1台あたりの出動件数は年間約3500件で、全国トップクラスです。次々と舞い込む救急指令。この時期、特に多いのが熱中症の患者です。
尼崎市では今年、7月に入ってから熱中症の救急要請が急増。過去2番目に搬送件数が多かった去年を上回るペースで推移しているといいます。
【尼崎市・伊丹市消防指令センター】
「はい、119番です、火事ですか救急ですか?…きょうは暑いところにいらっしゃったんですか?…作業が終わった後に吐き気があるということですね」
「熱中症の症状で、今どんな感じですか?…全身が硬直していると。わかりました。意識状態はいかがですか?」
「路上でうずくまっている男性がいる」
この日、「路上でうずくまっている男性がいる」という通報が入りました。現場に救急隊が向かいます。
(隊員)「おまたせしました。どうされました?どないしはったの?」
(男性)「どないなったんかなあ」
力なくしゃがみ込む男性。なぜか冬物の暖かそうなベストを着用し、大量の汗をかいています。
(隊員)「汗かいてはるから。しんどくなったんとちゃいますか?いつからここいはったの、暑いよ」
(男性)「10分か15分だけ」
男性によりますと、ビールの大瓶を飲んだ後に買い物に出かけ、具合が悪くなったといいます。男性は熱中症の疑いで病院に搬送されました。この日の尼崎市周辺の最高気温は35.6℃。長袖の制服にマスクでの勤務はこたえます。
(隊員)「これほんまに地獄のような暑さやな」
「ちょっとしたことでも熱中症になり得る」室内でも危険
そして、またもや熱中症の可能性がある通報が入りました。場所は消防局のすぐ近く。車で体調が悪くなった女性が、助けを求めて店舗に駆け込んできたようです。
(隊員)「お部屋の中が暑かったり水分がとれていなかったり寝不足だったりはないですか?」
(女性)「寝不足はあったかもしれない…」
睡眠や栄養不足なども熱中症の原因になるといいます。
(尼崎市消防局救急課 関健太郎消防司令補)「体調面を考慮して、軽い熱中症かなという疑いで搬送しました。この暑さなんで、ちょっとしたことでも熱中症になり得るかなと思います」
熱中症の危険があるのは、屋外だけではありません。80代の高齢男性が自宅で転倒し、動けなくなっているとの通報。隊員が駆けつけた時には冷房がついておらず、蒸し暑い状態だったといいます。
(隊員)「熱は37度ちょうどです」
(隊員)「お昼前くらいにこけたと言っていたから、11時くらい?」
(男性)「そうね」
高齢者は暑さを感じにくいため、冷房が効いていない部屋で気づかないうちに熱中症になってしまうおそれがあり、特に注意が必要です。
熱中症患者の増加を受け、尼崎市消防局では7月に隊員らが“ある撮影”を行いました。それは、熱中症の応急処置の方法。こうした映像をSNSの公式アカウントに投稿し、気軽に熱中症の対処法を身につけてもらおうというのです。
『新型コロナウイルス』再流行 搬送患者の受け入れ先を探すが…
熱中症対策が急務となるなか、今、増えているのが新型コロナ患者です。この日、救急隊が向かったのは70代の女性の自宅。吐き気とけん怠感を訴えているといいます。
(女性)「ちょっとやっぱりしんどいです」
(隊員)「何がしんどいですか?」
(女性)「息するのが…」
(隊員)「息するのがしんどいと。息子さんがコロナにかかっていたのはいつですか?」
(女性)「1週間ほど前です」
(隊員)「それが1週間ほど前ね」
新型コロナの疑いがあるということで、受け入れ先の病院を探しますが…
(電話をする隊員)「搬送依頼のお電話です。ああ…お部屋がない。そうなんですね。結構どこも厳しそうですね」
コロナ患者は個室対応になることから、病床がなかなか空いていません。
(電話をする隊員)「すみません、お熱とけん怠感の方の搬送依頼なんですけど…はい、ありがとうございます。よろしくお願いします」
6件目でようやく受け入れ先が見つかり、女性は入院することになりました。
この時期は身近な人の感染が疑われても暑さのためにマスクをしない人が多いことなどから、今後も感染拡大のおそれがあります。熱中症とコロナの再流行に立ち向かう真夏の救急隊。ここが踏ん張りどころです。
(尼崎市消防局救急課 関健太郎消防司令補)「(搬送)件数が多いので、なかなか体力的にも精神的にもしんどいところはあると思うんですけれど、本当に助けを必要とされている方がおられるので、それをやりがいに日々頑張っていきます」
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