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「薬物で幻覚を見ている客に首を絞められた」20代女性が"海外出稼ぎ"で月600万円も危険すぎる実態とは

MBSニュース / 2024年8月7日 19時50分

 1か月に600万円の報酬。国内ではなく海外のほうが高い報酬を得られるということで海外に売春に行く女性が増えているという。今回、取材班は斡旋業者に接触し、マニュアルを独自入手した。『海外出稼ぎ売春』の実態とは?関西に住む20代の伊藤さん(仮名)。去年11月、初めて海外の性風俗店で働いたという。

 (伊藤さん ※仮名)「海外の方が稼げるよ行ってみない?っていうので海外に行くということになりました。1日、日本円で40万円いくかな?くらい」

 これまでにオーストラリア・アメリカ・韓国の3か国で海外売春をしたという。初めて渡航したのはオーストラリアのメルボルンだった。

 (記者)「これは住んでいる部屋兼接客をする場所?」
 (伊藤さん)「そうです。ここにルームメイトみたいな人が1人来て、一緒に住んで仕事するって感じです。共同生活みたいな、一応日本人の子やったから全然大丈夫だったんですけど」

https://www.mbs.jp/4chantv/news/files/%E9%83%A8%E5%B1%8B.png

「ホストから抜け出せなくて…」“海外出稼ぎ”をする理由

 伊藤さん以外にも日本人は複数いたという。一度の渡航は1か月程度で多い時には約600万円を稼ぐときもあった。

 こうした海外での売春はいわゆる「海外出稼ぎ」とも呼ばれている。伊藤さんが海外出稼ぎをした理由とは…

(伊藤さん)「ホストから抜け出せなくて、タワーとか…一番大きい会計は(1日で)多分500万円。それで頑張るしかないかと。日本に比べると(海外は)ルールというか縛りも少ないから楽して稼げるかなと」

 伊藤さんによると目的地には観光ビザで入国するが、実際は仕事をするため法律違反となる。最近は同じ目的の人が増えているためか入国も一筋縄ではいかなくなっているという。

 (伊藤さん)「(オーストラリアでは)日本人のパスポートを見せた瞬間に連れて行かれる。別室に行ったんですけど日本人の女の子であふれていました。(Qそこではどんなことを?)指の指紋、全部とられて質疑応答、観光で来たっていうのを絶対言い張っておかなければいけないからそれを突き通すだけ」

「薬物で幻覚を見ている客に首を絞められた」危険な海外売春

入国できたとしても海外売春には想定外の危険も伴うと話す。

 (伊藤さん)「従順なイメージがあるらしくて日本人の女の子って。だから何をしても大丈夫だろう見たいな感じで殴ってこようとしたり叩いてくるとか、自分が払ったお金を奪って逃げようとしたりとか、強盗に近い」

 私たちの取材に伊藤さんだけでなく複数の女性がホストへの支払いや整形費用などを理由に海外売春をしたと答えた。中には「薬物で幻覚を見ている客に首を絞められた」「報酬が支払われなかった」などのトラブルを訴えている女性もいる。

 こうした海外売春の入り口として女性たちが口をそろえるのがSNSでの投稿だ。取材班も調べてみると…

記者の問い合わせに“斡旋業者”は…

 (記者)「海外出稼ぎと検索するとエージェントのものと思われる投稿が複数出てきます」

 『アメリカで1か月1000万円』『本気の子は稼げないわけない』

 高収入をうたう斡旋業者とみられるアカウントが複数存在していることが確認できた。いくつかの業者に記者であることを隠し、連絡を取ってみた。すると、3時間ほどで返信が…
 
 【SNSでのやり取り】
 (記者)「海外出稼ぎの際にはどのように入国をするのでしょうか?」
 (斡旋業者)「僕の紹介で入国できなかった子はいないです。違法ではあります。売春自体が合法な国もございますが、渡航目的が違う時点で入国拒否の対象になります」

 女性1人では売春を疑われるため入国審査がハードルになっているようだ。また別の業者からは、入国審査をすり抜けるためのマニュアルが送られてきた。

入国審査すり抜けのための「マニュアル」

【入手した入国マニュアルより】
・入国のイミグレーションで疑われている最中に出稼ぎの案内が入り、言い訳できなくなり入国を失敗した女性がいます

・スカウトやエージェントは一旦入国前にブロックして現地で入国完了後に必要ならブロックを解除してください

・スウェットなどダサめな格好でお願いします

・化粧はスッピンで飛行機に乗ってください。オシャレな格好は絶対NGです。極力ダサくしてください。

 マニュアルを送ってきた斡旋業者に電話取材を試みると…

記者が斡旋業者に電話した結果

 (記者)「毎日放送の記者でして、取材なんですけど…」
 (斡旋業者)「あ、すみませんちょっと無理です。申し訳ない(電話を切る)」

 記者であることを明かすと、すぐに電話が切れ、その後SNSアカウントも停止された。

 こうした斡旋業者について警察庁は「職業安定法違反で今年1月と4月に摘発事例があり、今後も違法行為については厳正な取り締まりを推進していく」とし、安易に違法行為に関与しないようにと呼びかけている。


 これまで3か国に渡航し違法な海外出稼ぎ売春を行った伊藤さん。稼げる一方で異国での危険な経験からもう二度としないと話す。

「エージェントはいいことしか教えてくれない、怖すぎた」

 (伊藤さん)「エージェントさん(斡旋業者)は、いいことしか教えてくれないのと、なにか海外でトラブルがあったときになにも対応してくれないです。怖すぎたから1人で行くの。ちょっと良くないことしちゃったなという罪悪感も残っているから、(海外売春をしていたころに)戻りたいかと言われると戻りたくないです」

 多くの日本人女性が手を染めているといわれる海外出稼ぎ売春。危険を伴う違法な売春が“気軽に”できるものであってはならない。

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