「巨大地震注意」お盆休みに出かけてもよい?専門家の見解は 『南海トラフ地震臨時情報』発表の条件や流れをあらためて確認
MBSニュース / 2024年8月11日 13時19分
8月8日、日向灘を震源とする最大震度6弱の地震が発生。その後、気象庁は初めて『南海トラフ地震臨時情報』の「巨大地震注意」を発表しました。そもそも臨時情報とは?外出は控えるべき?専門家らへの取材などをもとに情報をまとめました。
そもそも『南海トラフ地震臨時情報』とは?
8月8日に初めて発表された『南海トラフ地震臨時情報』。これは、南海トラフ地震発生の可能性の高まりを知らせるもので、本格運用が始まったのは2019年です。
臨時情報の対象となるのは、南海トラフ地震の想定震源域内で発生した地震で、今回の震源は宮崎県沖の日向灘でした。南海トラフとは駿河湾から九州東方沖の海底に存在する溝で、この内側で過去何度も大地震が起きています。
臨時情報が出される条件は、南海トラフ地震の想定震源域で、(1)M6.8以上の地震が発生した場合、または、(2)「ゆっくりすべり」の異常が発生した場合です。今回は(1)に該当し、8日午後5時に『南海トラフ地震臨時情報(調査中)』が発表されました。
その後、地震評価検討会による専門的な調査を経て、最短で2時間後に「巨大地震警戒」「巨大地震注意」「調査終了」のいずれかが発表されます。今回は8日午後7時15分に「巨大地震注意」が出されました。
6人の有識者で構成される地震評価検討会では、世界標準の指標「モーメントマグニチュード」を使用し、次のように地震を評価します。
(1)モーメントマグニチュード8.0以上=「巨大地震警戒」
(2)モーメントマグニチュード7.0以上=「巨大地震注意」
(3)モーメントマグニチュードや「ゆっくりすべり」の異常についていずれも該当せず=「調査終了」
・巨大地震警戒・・・少なくとも1週間、津波からの避難が間に合わない地域は事前避難
・巨大地震注意・・・少なくとも1週間、日ごろの備えを再確認
・調査終了・・・地震の発生に注意しながら通常生活
では、現在の巨大地震注意から、巨大地震警戒になることはあるのか。京都大学防災研究所の西村卓也教授によりますと、南海トラフ地震の想定震源域内で新たな地震が発生し、それが条件に当てはまればあり得るということです。今出ている「注意」が、新たな地震が起きていないのに「警戒」になるということは運用上ないということです。また、巨大地震警戒も巨大地震注意も1週間後に“解除”とはなりません。
お盆休みのお出かけは「非常に難しい判断」 海水浴場では“津波フラッグ”に注意
お盆休みの外出は控えるべきでしょうか。最終的には個々の判断に委ねられますが、西村教授は「非常に難しい判断」としたうえで、「私は行動を変えるということは積極的にはしません」という見解を述べられました。
統計学的に言えば、今回と同じような条件で1週間以内にM8クラスの地震が発生するのは数百回に1回ということです。一方で、もともと南海トラフ地震の発生確率は「30年以内に70~80%」と言われています。
また、海水浴場の閉鎖について西村教授は「自治体ごとの判断で、地域の実情を尊重する」としています。地理的条件や避難所の有無など地域差があるため、自治体によりけり。ただ、出かけるときは、行き先の防災情報や避難情報を確認してください。
そして、海水浴をするにあたっては、覚えておきたい「旗」があります。ライフセーバーが白と赤の“津波フラッグ”を出した場合、ただちに高い場所に避難してください。津波注意報などが発表されている合図です。
気象庁の情報を注視しつつ地震への備えを
巨大地震注意の発表を受け、気象庁は9日から1週間、毎日午後3時半に情報提供を行います。9日の「南海トラフ地震関連解説情報(第1号)」では、余震の回数は、宮崎で震度6弱を観測した地震発生後から9日午後2時までで13回、最大震度は3。目立った異変は観測されていないということです。地震学者の京都大学・梅田康弘名誉教授によりますと、余震は比較的少ないが、引き続き注意が必要だということです。
9月6日には地震評価検討会の定例会議があり、今回の地震の詳細な分析結果が報告されるということです。気象庁の情報に注意しつつ、自宅や観光地では楽しみながらも、地震への備えを進めていくことが大切かもしれません。
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