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パリ五輪で見えてきた『4つの課題』誤審・誹謗中傷・性別・紛争 SNSによる"選手への攻撃"に専門家「スポーツは『結果が全てではない』の理解を」

MBSニュース / 2024年8月13日 12時24分

 パリオリンピック™が閉幕しました。大変な盛り上がりを見せた一方で、誤審があったのではないかと物議を醸したり、選手への誹謗中傷があったりなど、様々な“課題”が明るみになった今大会。それらの課題や次の2028年・ロス大会の見どころなどについて、環太平洋大学・体育学部の真田久教授への取材などをもとに情報をまとめました。

【課題1 誤審】機械化が進む判定…将来は“ロボット審判”も誕生!?

 今回のオリンピックで浮き彫りになった4つの課題。まずは『誤審問題』、審判の正確性をどうするかについてです。年々、VTR判定などが導入されつつあり、競技によって様々な工夫がなされています。

 例えばアーティスティックスイミングでは競技を円滑に進めるため、抗議を有料(1回につき約8万円)にし、抗議が認められた場合は返金される仕組みが導入されています。また、体操競技の国際大会では、“AIでの採点”も導入されています。機械化が進み、正確性や公平性が進む一方で、もしかすると将来的には“ロボット審判”が誕生することがあるかもしれません。

【課題2 誹謗中傷】JOCは「法的措置も検討」

 次は『SNSでの誹謗中傷問題』です。今大会ではミスした選手を攻めるような投稿があり、JOC(日本オリンピック委員会)からは、選手らへの侮辱や脅迫など悪質な投稿について「法的措置も検討」というメッセージが出されました。中国では、卓球選手らを誹謗中傷したとして29歳の女を特定し、拘束しています。

 こうした選手への誹謗中傷をめぐって、過去には、サッカーのワールドカップに出場した南米の選手が帰国後に殺害されるという悲劇も起きています。

 SNSによる誹謗中傷の問題については、「選手はSNSの利用を控えるべきでは」という意見や、「プラットフォーム側が規制すべき」という意見などさまざまあります。環太平洋大学・体育学部の真田久教授は、「スポーツは結果を求めるが、結果が全てではない」と理解することが大切と指摘。特にオリンピズムとして考えたときに「結果だけではない」ということを理解すると、非難したい気持ちに変化が出るはずだと述べています。

【課題3 性別】ホルモン値?染色体?男女を分ける基準は…

 そして、『男女の性別』をいかに分けるか、この点も今回浮き彫りになった課題です。ボクシング女子66kg級のエイマヌン・ハリフ選手(アルジェリア)らが「テストステロン(男性ホルモン)値が高い」とされましたが、IOC(国際オリンピック委員会)は「女性のパスポートを持っていて、女性ボクシング選手として疑う余地がない」として、競技に出場。金メダルを獲得しました。

 今後、どのように男女のカテゴリーを分けていくのでしょうか。染色体やホルモン値などを基準とするのか、そういった点が今後、議論されるかもしれません。

【課題4 紛争問題】“国として”参加NGのロシア・ベラルーシ…4年後どうなる?

 4つめの課題は『紛争問題』です。今回のパリ大会では、ウクライナ侵攻を理由にロシアとベラルーシは“国として”の参加が認められませんでした。一方で、ガザを攻撃しているイスラエルは国として出場が許可され、北朝鮮も参加しました。4年後、アメリカ・ロス大会にロシアは参加しているのでしょうか。注目ポイントでもあります。

 なお、12年間にわたってIOCの会長を務めたトーマス・バッハ氏が2025年での退任を表明しています。バッハ氏の功績としては、2016年のリオ大会から「難民選手団」が結成されています。今回のパリ大会ではボクシング女子のヌガンバ選手が、難民選手団として初となる銅メダルを獲得しました。また、不正の温床になっていた開催国の“招致レース”を抑えるため、IOC主導で開催国を決めるようになったこともバッハ氏の功績だと言われています。

野球復活で大谷選手が出場!?2028年『ロス大会』の見どころ

 最後に、2028年に開催されるロス五輪の見所です。オリンピックの“商業化”が進んだのが、前回のロス大会(1984年)でしたが、2028年のテーマは「新しい世代のための新しいオリンピック」です。競技種目としては、ソフトボールとともに野球が復活。大谷翔平選手も「ロス五輪に出てみたい」とコメントしています。

 他にも、『ラクロス』が120年ぶりに、『クリケット』が128年ぶりに復活します。イギリス発祥で“野球の原型”とも言われるクリケットはインドで人気があり、将来インドでオリンピックが開催されることを見越して、“インドマーケット”を取り込む狙いがあるのかもしれません。

 そして、ロス大会では『近代五種(水泳・フェンシング・レーザーラン※射撃とランニング・馬術)』から「馬術」が除外されます。馬の運搬が大変なため、現状では開催国の馬を使用していますが、馬の“当たり外れ”があるようで、除外される運びとなりました。

 その代わりに、新たに加わるのが「SASUKE」を基に考案された『障害物レース』です。“馬の障害物レース”から“人の障害物レース”になります。「SASUKE」は「ニンジャ・ウォリアー」という名で世界的に人気です。

 また、オリンピックを見るときの視点として、真田教授は「何か国(地域)の選手団がメダルを獲得できたのか?」というのもポイントだとしています。今回のパリ大会には約200の国・地域が参加し、そのうち91の国・地域(難民選手団を含む)がメダルを獲得しました。多くの国がメダルを取る=世界中でスポーツが広がっている、と考えられます。そういった点にも注目しながら、次のオリンピックを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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