「スカートの中撮ろうとしてたな?」女性に忍び寄る盗撮犯の腕をつかんだのは...ミナミの特別警察隊『CMP』 街に溶け込み24時間体制で警戒
MBSニュース / 2024年8月28日 12時21分
夏休み、インバウンドなどで大きな賑わいとなっている大阪・ミナミ。しかし、違法な客引き、“グリ下”に集まる少年少女、盗撮などの問題が後を絶たない。そんなミナミの街に溶け込み治安を守る、大阪府警の特別警察隊「CMP」(クリーン・ミナミ・ポリス)に密着。逮捕の瞬間を激撮した。
ミナミで勧誘を受けるサラリーマン風男性…実は『特別警察隊』
8月6日の大阪・ミナミ。夏休み期間ということもあり、多くの人で賑わっている。そんな中、繁華街で活発化しているのが、キャバクラやガールズバーなどの「客引き」だ。客引きの男がサラリーマン風の男性2人組に声をかけた。
(客引き)「お兄さんたち何か探してますか?きょうは姉ちゃん系とかないっすか?キャバなんですけど、つく姉ちゃんも全員飲み放題、お兄さんたちも全員飲み放題で」
男は2人組を足止めして、しつこく勧誘を続ける。しかし、次の瞬間…
(男性)「南署、南署。南警察な、警察。客引きあかんやろ。逮捕な、現行犯逮捕な」
サラリーマン風の2人組が男をビルの中へ連れ込み、その周りを複数の男性が取り囲んだ。彼らは私服姿でミナミをパトロールする大阪府警の特別警察隊「クリーン・ミナミ・ポリス」の隊員だったのだ。
大阪府ではぼったくり被害などが相次いだことから、キャバクラやホストクラブなどへの客引き行為は、条例により禁止されている。
続いて、ミニスカート姿で街を歩く2人組の女性。
(客引き)「お姉さん初回は?」
(女性)「初回いいわ」
(客引き)「イケメンという名のごはん、食べに行かない?よかったら初回は?」
(女性)「なんの初回?」
(客引き「ホストの初回です」
(女性)「ホストの初回?怖いでしょう」
(客引き)「いや、全然全然」
ホストクラブの客引きから次々と声をかけられているが、実は、彼女たちも隊員だ。そこへ別の隊員がやってきて…
(隊員)「お兄さん警察、客引きしたらあかんで。おいでおいで、あかんで。22時18分、客引きで現行犯逮捕するから。なにか言いたいことあるか?」
(客引き)「妻に連絡だけ」
(隊員)「それはできひん」
街に溶け込み日夜、ミナミの治安を守る。それが特別警察隊の任務だ。
3つの中隊が24時間ごとに交代勤務 一度の勤務で『約4万歩』歩く
午前9時、隊員の一日は道場でのミーティングから始まる。
(南署・特別警察隊 美濃部英次隊長)「きのうは隊員の職質検挙で車上狙いの被疑者を緊急逮捕しています。きょうも暑い中ですけど、ミナミの街は、私たちが守るということで、犯罪抑止のために被疑者検挙に努めてください」
繁華街での取り締まりではトラブルも多い。柔道や剣道の稽古を受け、強靭な肉体作りに励むのも仕事の一環だ。
そして、ミナミのパトロールへ。特別警察隊は3つの中隊が24時間ごとに交代する形で勤務していて、一度の勤務で約4万歩も歩くという。第三中隊をまとめるのは川上格中隊長だ。
(特別警察隊・第三中隊 川上格中隊長)「いま夏休みですので、大阪だけじゃなくて近隣の府県からもたくさん人が集まるので、特に子どもが犯罪に巻き込まれないように気を遣っています」
未成年者の犯罪や事件が多い『グリ下』 条例違反疑いの少年を補導
この日向かったのは、道頓堀にあるグリコの看板下。通称「グリ下」と呼ばれる場所だ。少年・少女や観光客など多くの人が集まるグリ下は、未成年者などがトラブルや犯罪を起こしたり事件に巻き込まれたりするケースが後を絶たない。
(隊員)「オーバードーズ(薬品の乱用)を目の前にしたことは?」
(グリ下に集まる人)「全然ある」
(隊員)「そういうのもしあったらな、警察に通報してくれてもいいし」
特別警察隊ではグリ下の警戒をほぼ毎日行っていて、必要に応じて補導をするなどしている。少年ら一人一人に話を聞いていると…
(隊員)「今13歳やねんな?13歳?14歳?14歳…」
14歳の少女が19歳の少年らとグリ下に来ていた。大阪府では保護者の承諾を得ずに、16歳未満の少年・少女を午後8時から午前4時にかけて連れ出すことなどが条例で禁止されているが、今の時刻は午後9時すぎだ。
(隊員)「この子は何歳なん?」
(19歳の少年)「14歳か15歳やと思う」
(隊員)「それは話聞いたん?」
(19歳の少年)「本人が14歳って言ってた」
少女の年齢を知りながら、午後8時以降もグリ下に引き止めた少年。条例に違反する疑いがあるため警察署で事情を聴くことになった。川上中隊長は、グリ下の現状をこう話す。
(川上格中隊長)「最近もニュースになってますけど、彼女たちを狙っていろんな犯罪に巻き込んでいく大人たちも、実際に悲しいですけどいるのが現実なので、例えば性犯罪の被害、金銭的な被害、薬物の被害は過去にあったことなので」
「盗撮を我慢できなくて…」女性を狙う卑劣な盗撮犯『逮捕の瞬間』
特別警察隊が警戒に当たるのは地上だけではない。取材した日、隊員らが張り込みをしていたのは大阪メトロなんば駅近くの地下街。夏場は薄着で出かける女性が増えるため、盗撮犯が増加するという。
多くの人が行き交う地下街で一人ひとりの様子に注意を払っていると…
(隊員)「あの白シャツ。あいつ絶対やる」
隊員が目星をつけたのは、白シャツ姿の男。大勢が歩く通路を不自然に横切った。ミニスカートを履いた女性の後ろを通るような動きだ。隊員が追跡を開始する。
(隊員)「いくいくいく。カメラ出した」
男は別のミニスカート姿の女性の背後に接近。紙袋を女性の方へと近づけている。よく見てみると、紙袋の前にはスマートフォンのようなものが。盗撮をしている疑いがある。
(隊員)「いけます、いけます。…いきます」
隊員らが男の腕をつかみ声をかける。
(隊員)「警察、警察、警察。ちょっとこっち来て。携帯貸してな。もういいから一旦そっち行って、確認するから。スマホ確認するよ、開けるよ」
(男)「はい」
(隊員)「見といてや、撮ってたな。(カメラを)止めるよ。何してた?」
(男)「盗撮です」
(隊員)「盗撮してたな。女の子のスカートの中撮ろうとしてたな?」
(男)「はい」
盗撮の疑いで現行犯逮捕。30代の男は素直に容疑を認めた。
(男)「(盗撮で逮捕されるのは)2回目です。」
(隊員)「2回目な。なんでそんなことするの?」
(男)「1年2年くらい前に捕まったんですけど、1年間我慢できたんですけど、ここ最近撮りたくなって我慢できなくって」
(隊員)「やったらあかんやん」
(男)「1年間我慢できたんですけど」
(隊員)「我慢してや」
男のスマートフォンの中からは複数の女性たちを盗撮した写真が見つかった。手慣れた卑劣な犯行。被害に遭った女性は…
(被害に遭った女性)「イヤホンをしていたので、全く気付いてなかった。捕まえてくれてなかったら被害に遭ったことも気付いてなかったので、ありがたいなって思います」
「ミナミを誰もが安心して過ごせる街にする」。特別警察隊の重要な役割だ。
ミナミの街に溶け込みながら昼夜問わず見回り続ける隊員たち。日本有数の繁華街の治安は彼らの足にかかっている。
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