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1年以上の"謹慎"経て寄付額『全国3位』に返り咲き!ふるさと納税を盛り上げる泉佐野市の秘策とは

MBSニュース / 2024年9月4日 19時46分

 日本で3番目にふるさと納税がアツい町、大阪・泉佐野市。昨年度の寄付額は驚異の175億円超え。泉佐野市といえば水ナスと泉州タオルのイメージですが、今一番人気の返礼品は意外なものだといいます。

一番人気は『ハラミ』!投資額は4000万円!?

 泉佐野市で創業40年の老舗焼き肉店「バイキング左近」。地元の人から愛される一番人気のメニューがあります。肉厚の牛ハラミ、その名も「泉州元気ハラミ」です。チルドで熟成させた後で秘伝のタレに漬け込み、風味豊かに仕上げたお肉。市から声がかかり、2020年に返礼品として出品をスタートし、今や堂々の一番人気だといいます。

 ふるさと納税用に加工場を増設した「アキラ商店」。肉のカットから味付け、パック詰めまでをすべて手掛けています。中にはこんなものも。

 (山中真アナウンサー)「立派な大きな機械があります。これはなんでしょう?」
 (アキラ商店 松葉口昌二社長)「自動で肉を真空パックにする機械です」

 ふるさと納税への出品を機に新たに導入したといいます。動かしてみると。

 (山中真アナウンサー)「ひとつひとつ蓋が閉まって。この中で今から真空状態になるわけですね」

  全自動であっという間にできあがります。作業の効率化はもちろん、一瞬でパックできるため品質も向上するといいますが…

 (松葉口昌二社長)「(Qいくらかかった?)4000万円くらい」

多額の投資ができるワケは?

 (松葉口昌二社長)「クラウドファンディングで支援を受けて買えました。われわれにそういう資本力はないので、まず資本ができる想定が『3.0』でいただけるので」

 泉佐野市が2020年にスタートさせた「ふるさと納税3.0」。市は地元企業への寄付をふるさと納税で募り、応援する人は市に寄付をします。こうして市に集まった寄付額の一部を補助金として企業に渡します。そして企業は応援してくれた人に商品を届ける、いわば「クラウドファンディング」の仕組みです。

 寄付のおかげで機械や冷凍施設など生産力を大幅にアップできただけでなく…

 (松葉口昌二社長)「売り上げで5~6倍に成長させていただきました。繁華街の梅田や道頓堀、地元では夢しかない関西空港のフードコートで出展できるようになりました。(Q関空出店は地元企業のあこがれ?)そうですね」

地元企業が活性化!?「ふるさと納税3.0」

 この仕組みを活かした返礼品は他にも。泉佐野市のピクルスメーカー「NSW」。市内でとれた野菜を中心に、瓶詰のピクルスを製造してます。

 (NSW 西出喜代彦社長)「弊社の一番のおすすめが泉州水ナスのピクルス。野菜のきれいさをできるだけ見てもらえるような瓶詰にすることで、泉州野菜をもっと知ってもらいたいなと」

 他にも泉州玉ねぎや自家栽培したハラペーニョなどの変わり種も。11年前から返礼品として出品していましたが、「ふるさと納税3.0」を活用し新たな商品開発に乗り出したといいます。

 (西出喜代彦社長)「これがワイン風味で漬けておりまして、これはガーリック風味と、ちょっとピリ辛な要素も入れて」

 泉州ナスの「洋風白ヌカ漬ケ」。ぬかごと食べられる白ぬかを使い、新しい漬物の形に挑戦したといいます。開発にかかるお金を寄付金で賄えるのはもちろん、寄付者に一足先に商品を届けることでテストマーケティングにもなるといいます。

 (西出喜代彦社長)「新しいチャレンジングな商品開発にすごくぴったりな仕組み。すごくありがたい仕組みだなと思って、使わせてもらいました」

国とバチバチ!?裁判にもなった過去も…「また返り咲いてやろう」

 市内の事業者を成長させることで、より魅力的な返礼品を生み出した泉佐野市ですが、かつては返礼品にアマゾンギフト券を上乗せするやり方が問題視され、国と裁判にまで発展。1年以上、制度から除外されてしまったのです。

 そこから、奇跡の大逆転。市の担当課は当時のことをどのように思っているのでしょうか。

 (泉佐野市ふるさと創生課 塩見健課長)「(Q国とバチバチに戦っていた時のことは今思うと?)いい経験だったなと(笑)。裁判で争ったことで今があると思っています」

 苦い経験から生まれた「ふるさと納税3.0」。おかげで返礼品の数は順調に伸び続けました。今や3000品以上を出品できているといいます。

 (塩見健課長)「『また返り咲いてやろう』とは思っていましたね。いまのような返礼品を提供できるのを思い描いていた、夢見ていた部分を実現できているのがうれしいですね」

流出額3位は大阪市…税金がほかの自治体に

 一方、制度を思うように活用できていない自治体も。大阪市では、本来、市に納められる税金がほかの自治体に流れる形になり、昨年度の税金の流出額が全国3位になってしまいました。

 (大阪市政策企画室 金澤孝治さん)「令和6年度の寄附金税額控除見込み額(流出額)は約167億円になります。決して無視のできない状況であると認識しております」

 返礼品を見てみると、蓬莱本館の肉まんやゆかりのお好み焼きなど、大阪ならではの魅力的な商品が並んでいます。しかし市としてそれほど積極的にアピールしてはおらず、昨年度集まった寄付額は10億円ほど。大阪市では今年から返礼品の数を増やそうと、出品する事業者を募集している最中だといいます。

 (金澤孝治さん)「本市の魅力に寄与する返礼品を募集していきたいと思います」

とれたての新鮮な魚介類で観光客らにぎわい

 一方、泉佐野市はさらなる高みを目指していました。関西空港近くの「青空市場」。とれたての新鮮な魚介類が並び、観光客や地元の人でにぎわいます。

 その一角にふるさと納税の返礼品加工場がありました。

 (北国からの贈り物 高平亮事業部長)「アトランティックサーモンがノルウェーから空輸のもので、関西国際空港に届いてそのまま泉佐野工場まで届きます」

 この会社、実は北海道の企業。市はさらに返礼品を充実させようと、府外の企業の誘致まで始めていたのです。市内で加工をほどこすことで、国のルール内に収まり市の返礼品として出品できています。そのため、中にはこんな返礼品も。

 (高平亮事業部長)「ズワイガニを扱っておりまして、昆布水であったりとか、大阪ならではの味付けにこだわっております」

 予想もつかないさまざまな工夫でふるさと納税を盛り上げる泉佐野市。次の展開も目が離せません。

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