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幼い子どもが「マスターベーション」「ネットで性的な検索」産婦人科医「ショック大きいけど...異常ではない。受け入れフラットに伝えて」おうち「性教育」どう伝える?

MBSニュース / 2024年9月7日 12時17分

おうちで親が子どもに性について教える「おうち性教育」。関連の絵本や書籍が多数出版されブームとなっています。子どもが性犯罪の被害者にも加害者にもならないようにするためには、どのようにして性について伝えるべきか、産婦人科医の宋美玄さんに聞きました。

学校だけでは不十分。家庭で性の話をできる風土を

――まず、いまの日本の学校現場での性教育。どういうことを感じてらっしゃいますか?
(宋美玄さん)「先進国の中でも日本は、性教育が十分ではないと認識されています。特に小学校低学年、未就学の間に性、セクシャリティに関する話はなかなか聞く機会がないかなと思います」

――自宅でも性に関する話をすべきということなのでしょうか?
「自宅で性教育をするにあたって最大の強みは、普段からお子さんと接しているほうが、伝えるタイミングや内容を自分たちで調節しながら知識を与えていける。例えば、友達のお母さんが妊娠しているときなどに子どもから『赤ちゃんってどうやってくるの?』と素朴な疑問が出ることあるじゃないですか。そういうときに『いまだ!』って絵本とかを出してきて伝える。やっぱり、過剰にメルヘンチックなものなどは、ある程度大きくなっていくとお母さん嘘ついているなってわかっちゃうんですよ」

――昔はコウノトリが赤ちゃん運んできてくれるんだよ、なんて言っていましたが、それは通用しませんということですね?
「そうなんです。性的な話を『やめなさい』みたいな感じで拒絶的な態度をとってしまうと、この人の前ではそういった話をしてはだめだって思われてしまって、もう自分には聞いてくれないし、将来相談もしてくれなくなってしまう可能性があるんです。この家ではこういった話ができるっていう風土を醸成し、親御さんもご自身が話しやすいけど医学的に嘘じゃないようなものを見つけておくとスムーズです」

まずは「一人ひとりの体を尊重すること」を教えて

――子どもたちに性教育をする必要性についてはどう感じていらっしゃいますか?
「一人ひとりの性のあり方とか、性に関する考え方も違うので、性というのは誰にとっても無縁じゃないんですよ。難しい言い方ですけど、一人ひとりに”体の主権”がある。自分の体のことは自分で決めていい。他人もその権利があって、それを犯してはいけないっていう大前提から教えておいて、興味に応じて必要な知識を入れていく。まず一人ひとりの身体を尊重しましょうっていうところから入っていくといい」

――先生も女の子(12歳)と男の子(8歳)のお母さんでいらっしゃいますけど、ご家庭では性に関してどのような話をされているんですか?
「基本的に子どもが興味をもったタイミングを大事に伝えています。何かそういうドキッとするようなことがあったりとか質問されたりっていうのは逆にチャンスだと思っています。娘は、未就学のときから性的なものに興味があって、セックスの表現とかも細かく載っている絵本を熟読していた。かといって別に中学生になってそういう性的なことが早熟かというと全然そんなことない。うちの事例ですけど、早くからそういう知識を持ったから早くから性的な行動をするということは今の段階では全然ないかなと思います」

未就学児が『性的なものに興味をもつ』=「異常」ではない

――小さいお子さんでもネットに触れる時間がありますから、ネットとの向き合い方はどうすべきでしょうか?
「性に関しては、自分が興味をもってないのにネットでそういう性的な広告が出てきたり、そういうサイトに飛ばされたりもあるので、子どもを守るという意味ではフィルタリングとか時間制限というのは守ってほしい」

――そこはしっかりと親がコントロールするということですね?
「それでもよく聞くのは、小学校に入る前後のお子さんがネットで能動的に性的なことを検索している場合などがあるんですよ」

――子どもが自ら検索しているケースもある?
「そうですね。それこそ未就学の子でもマスターベーションをしたりとか、性的なことに興味を持ったりする。今までずっとね、子どもだと思っていたのにそういうのを見るとショックは大きいんですけれども。それ自体は異常だとか、解決しないといけない重大な問題ということではない。そういう興味があるんだってことをまずは普通に受け入れていただいて、全然おかしいことではないんです」

――もし子どもがそういうのを検索したりしていたら親としてはどういう風に話しかけたらいいですか。
「ちゃんとコミュニケーションをとったほうがいい事柄。例えばですよ、本当に子どもに見せたくないものを、調べていったら最終的には良くないってことを伝える必要があると思います。『どうしてこういうことを検索したの?』、『なんで興味を持ったの?』という感じでなるべくフラットに聞く。咎めると絶対に答えないですから、普通に教えてって聞く。ただ、”自分の都合のいいように他人の身体を使ってはいけない”というような大事なことは、子どもが性的なことに興味を持つ前に知っておいてもらえるといい。やっぱり、自分の体を大切に、それと同じように他人の体も大切にということが一番大切なメッセージなのかなと思います」

産婦人科医・宋美玄さん
丸の内の森レディースクリニック 院長。“カリスマ産婦人科医”として様々な女性の悩み、セックスや女性の性、妊娠などに付いて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)、「学校では教えてくれないセックス・妊娠・出産の話」(光文社)、「産婦人科医宋美玄先生が娘に伝えたい 性の話」(小学館)など。

MBS報道情報局 報道センター 大里奈々

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