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【不妊治療】なぜ?30代夫婦が『卵子提供』受けるため台湾へ「海外は不安...でも自分で出産できる希望が持てた」日本では治療困難な理由が

MBSニュース / 2024年9月18日 11時39分

 体外受精で生まれた子どもは2022年、過去最多の7万7206人で、10人に1人の割合となった。そうした中、不妊治療の選択肢の一つとして注目されているのが「卵子提供」。いま、多くの日本人が卵子提供のために台湾に渡航しているという。なぜ台湾なのか、その理由に迫った。

台湾の不妊治療クリニックが「卵子提供」について講演

 今年7月、東京で開かれた説明会。会場には不妊に悩む夫婦など約40人が参加していた。登壇しているのは台湾の不妊治療クリニックの院長。説明会のテーマは「卵子提供」だ。

 (宏孕ARTクリニック・張宏吉院長)「皆さん必ず子どもに恵まれることを私が保証します。50歳以上でも妊娠できますか?とよく聞かれます、成功例は57歳の方までいるので、子宮があれば妊娠できます」

 説明会ではこの13年間で736人の日本人が台湾に渡り、卵子提供で出産した実績や妊娠率が80%以上という高さであることが強調された。

 (参加者 53歳)「結婚したのも50歳だったんですけれど、不妊治療を始めたのが52歳から。今回の採卵周期で自分の卵子がダメだったら、台湾でのドナーさんを使ってというのを考えました」
 (参加者 46歳)「日本であまりこういう卵子提供ないし、台湾に行ってすぐドナーもいますし選べて、すぐ移植できるというのはすごく助かりました」

台湾で卵子提供を受けると決意した30代夫婦「自分で妊娠して出産できると希望が持てた」

 同じ時期、大阪でも台湾の別のクリニックが説明会を開いていた。30代後半のAさん夫婦。20代から9年以上、不妊治療を続けてきたが、妊娠には至らず病院からの勧めで初めて説明会に参加した。

 (夫)「結婚したらすぐ子どもができるって思いながら過ごしてたんですが、治療がうまくいかなくて、卵子提供の話を聞いて最初はやっぱり2人の遺伝子が入った子どもというのにこだわってた。でもやっぱり僕たちの希望するところは子どもがほしい」
 (妻)「海外の治療になるということで不安もあったけど、まだ自分で妊娠して出産できるという希望が持てたから、卵子提供受けようという気持ちは固まりました」

 Aさん夫婦は卵子提供を受けるため、2週間後、台湾に行くという。

日本では法整備が進んでいない…

 なぜ、多くの日本人が台湾に渡ってまで治療を受けるのだろうか。実は、日本で卵子提供が受けにくい理由がある。

 日本では卵子提供を認める法律について議論は進められているがいまだ法案提出には至っていない。さらに、日本産科婦人科学会も卵子提供などの生殖補助医療に慎重な立場を取っている。国内のクリニックなどは国の制度設計を待っている状態のため、実質、卵子提供を受けるのは困難だ。

 一方で、卵子提供などの生殖補助医療に積極的に取り組んでいるのが台湾。海外からの渡航者に医療を提供するビジネスも盛んで、台湾で卵子提供を受ける人のうち約15%は外国人だ。

過去3年間で100人以上に卵子提供…うち1割は日本人

 大阪の説明会で卵子提供を受けることを決めたAさん夫婦。今年8月、台湾・台中市のクリニック「NUWA生殖医療センター台中院」で提供を受けた後の生活について医師の指導を受けていた。

 (妻)「移植した後、おとなしく生活するよりもふだん生活する感じでいいんですか?」
 (院長)「身体に負担がかからない生活をして、移植後は細心の注意を払ってください。正常な胚盤胞の場合は妊娠率は70~80%。ガンバリマショウ!」

 卵子提供の費用は約260万円。この日は採血検査に加え提供される卵子についてカウンセリングも行われた。ドナーの血液型や体型、顔立ち、学歴などについて希望は伝えられるが、Aさんが希望したのは…

 (妻)「(Qドナーの希望条件は?)血液型だけ…。卵子提供できるだけでありがたいからそれ以上は望んでいないです」

 このクリニックでは、過去3年間で100人以上に卵子提供を行ってきたが、そのうち1割を占めているのが日本人だと話す。

 (NUWA生殖医療センター台中院・王懐麟院長)「日本からこのクリニックに卵子提供を受けに来るのは、40~50代の女性ばかりです。それまで日本で体外受精を10~20回繰り返した人が多いです」

20~30代のドナーから提供された卵子では“妊娠率が飛躍的に高まる”

 自分の卵子では体外受精に成功しなかった人でも、妊娠の確率が高まるのには理由があるという。

 (NUWA生殖医療センター・胚培養室の担当者)「ドナーから提供された卵子がここで保管されています。90人以上の卵子が凍結されていて、1人あたり10~20個の卵子を採取しています」

 長年、不妊治療を続け40代になった人の卵子と、20~30代のドナーから提供された卵子では妊娠率が大きく異なるという。

 (胚培養室の担当者)「夫婦の年齢が高くなると、妊娠率は下がります。40歳以上に限定すると15~20%です。しかし、ドナーから提供された卵子の場合、妊娠率は80~90%まで上がります」

卵子提供を受けた夫婦「選択したら気持ちも楽になった」

 台湾では卵子提供について2007年に法整備がなされ、ドナーには、採卵までの約2週間の仕事や生活の補償として約45万円が支払われる。また、ドナーの情報も保護され、生まれた子どもが将来求めてもそれが開示されることはない(※婚姻などの際は血縁関係は確認可能)。台湾としても外国人が卵子提供を受けることに前向きな姿勢を示している。

 (台湾・衛生福利部國民健康署 蔡維誼副組長)「私たちは国際医療プロジェクトの一つとして推進しています。アメリカの卵子提供と成功率は同じですが、費用は安く、台湾の環境や治安も、治療を受ける外国人が安心する要因となっています」

 卵子提供を受けたAさん夫婦。10月にも受精卵の移植手術を受けるという。

 (妻)「10か月間は自分のおなかの中で育てることができるので、愛情も出てくると思うし、実際、卵子提供で渡航して今まで自己卵にこだわっていたけど、選択したら気持ちも楽になった」
 (夫)「この選択肢を取ることでかなりゴールに近づいてきているんじゃないかと前向きな気持ちになっているので、もしこれで結果がどうなろうと、僕たちは納得できるんじゃないかと思う」

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