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"眠らない空港"支える『空の交通整理人』『グランドハンドリング』の仕事に密着!「今後は常にピークが続く」来春の増便に備える【関西国際空港開港30年】

MBSニュース / 2024年9月26日 12時3分

 開港から30年を迎える関西国際空港。インバウンドが好調で来年春には発着枠が3割増加することを予定しています。そんな関西国際空港でスムーズな運航を支える“仕事人”の密着しました。

スムーズな運航に欠かせない「グランドハンドリング」発着1日200便

 西日本の空の玄関口、関西国際空港。24時間運用の「眠らない空港」として、1日約200便が発着します。スムーズな運航に欠かせないのが、地上で航空機の誘導や荷物の積み下ろしなどを行う「グランドハンドリング」と呼ばれる仕事。ANA関西空港の宮下いずみさんは、グランドハンドリングのチームをまとめるリーダーです。

 (ANA関西空港・宮下いずみさん)「人員がどれだけ必要かとか、使用する機材の台数であったり。(手荷物が)40個くらいだったら3分くらいで取りおろせるので、その後の工程を考えたりとか」

 航空機の到着予定時刻20分前、宮下さんは駐機場に向かいます。

(宮下いずみさん)「出発時刻10時20分で、お客様150名様の予約なので、100個前後の手荷物の積み込みが出るかと思います。では、安全作業でよろしくお願いします」

 駐機している時間は通常、約35分から50分ほど。限られた時間で次のフライトの準備を完了させなければいけません。宮下さんは、機体に傷やへこみがないか、オイル漏れがないかなどを入念にチェックします。

(宮下いずみさん)「よしオッケー」

 同時並行で荷物の積み下ろしや燃料の補給、機内の清掃なども行います。「作業の遅れ」は「出発の遅れ」につながるため時間との戦いです。

"アジアの玄関口" 大阪・関西万博に向けて発着枠を来春約3割増加

 30年前、日本初の24時間空港として誕生した関西空港。去年の外国人客の利用者数は1300万人を超え、「アジアの玄関口」としての存在感が高まっています。

 今年7月には来年開幕の大阪・関西万博に向けて航空機の発着枠が大幅に増えることが決まりました。今は1時間あたり最大45回の発着枠が、来年3月には最大60回に、約3割の増加です。

(関西エアポート・山谷佳之社長 今年7月)「増えるだろう需要に対して、きちんと空港機能を高めてまいりたい」

グランドハンドリングを効率化「増便はうれしい!体力やチームワークを高めたい」

 ANA関西空港では、グランドハンドリング作業をより効率化するため、荷物を運ぶレールが機内まで引き込める最新の機材も導入しました。

 (宮下いずみさん)「これまでのベルトローダーだったら3人または4人で作業するんですけど、このベルトローダーを使うことで2人ほどで作業できます」

 出発時刻が近づくと、牽引車を使って駐機場から航空機を押し出します。滑走路に向かう機体を見送ると、グランドハンドリングは完了です。

 (宮下いずみさん)「何事もなくノーマルで安全に出発しました。(Q来年からの発着増について?)航空機が増便することは私たちにとってもうれしいので、それに対応できるように今から体力やチームワークを高めていきたいなと思います」
 

パイロットに発着経路などを指示する"空の交通整理人"

 安全の要「航空管制官」も準備を進めています。

(大阪航空局関西空港事務所・後藤さゆり訓練教官)「こちらがVFRルームといいまして、飛行場管制業務を行う部屋です」

 ”空の交通整理人”と呼ばれる「航空管制官」地上86mの管制塔から半径9km圏内を目視で確認し、無線でパイロットに発着経路などを指示していきます。別の部屋では、遠方を飛行する航空機をレーダーで識別。関空にある事務所では、近畿周辺の8つの空港を発着する航空機を主に管轄しています。

(後藤さゆり訓練教官)「このオレンジ色のタグのターゲットが伊丹空港の到着機、水色が伊丹空港の出発機というふうに色分けされて目的地がどこか一目で分かるようになっています」

 実物は国家機密のため特別に再現した画面を見せてもらいました。管轄エリアを行きかう航空機の便名や飛行している高度、速度などが一目で分かるようになっています。

(後藤さゆり訓練教官)「レーダー画面では平面でしか見えませんが、3次元的に考える能力が管制官には必要になります」

 例えば、AとBの2機。モニター上ではこのまま進めば衝突の危険があるように見えますが、高度を見るとAは8000フィートBは1万2000フィートとなっています。

2機が飛行している高度の差は、4000フィート。約1200m離れているため、接触のおそれはないことが分かります。

(後藤さゆり訓練教官)「多いときはこの画面上の2倍くらい航空機が入ってくる。増便したら今までピークと言われる時間帯が1日に2~3回あったのが、今後はずっと常に続く感じになります」

来年4月デビューの訓練生が“起こりうるイレギュラー”に対応できるか!?

 瞬時に危険を予測する力が求められる管制官。そこで実施されているのがシミュレーターを使った訓練です。

(訓練生)「CAB2501,expect departure afetr 2arrivals.(CAB2501便、2機が着陸した後に出発予定です。)」

 この日、参加したのは来年4月の管制官デビューを目指す訓練生。シミュレーターに映し出された航空機の位置を確認しながら、パイロット役の教官と無線でやり取りをしていきます。

(訓練生)「CAB1732 to 関西タワー、runway 06 right continue approach, we have depearture before you.(CAB1732便、関西タワーです。滑走路06ライトに進入を続けてください。あなたの着陸前に出発機がいます。)」
(パイロット役)「CAB1732 to runway 06 right , continue approach.(CAB1732便、滑走路06ライトに進入を続けます。)」

 管制官は常に複数のパイロットとやり取りしているため、指示した内容をパイロットが復唱することで正しく伝わっているかどうかを確認します。すると、ここでパイロット役の教官が実際に起こりうるイレギュラーな状況を試します。

(訓練生)「CAB1710, runway 06 right, clear to land, wind 030 at 5.(CAB1710便、滑走路06ライト、着陸支障ありません。風向030風速5ノット。)」
(パイロット役)「CAB1702 ,runway 06 right, clear to land.(CAB1702便、滑走路06ライト、着陸支障なし。)」
(教官)「着陸許可のリードバック(復唱)、1702便から返ってきていました」

 着陸許可を出したのは1710便でしたが、返事をしたのは1702便。誤りに気づきませんでした。

(訓練生)「ちゃんとパイロットからの復唱を聞けているようで聞けていなかった」
(大阪航空局関西空港事務所・朝比皓美訓練教官)「指示は正しいけど、復唱が違うとか、違う人から返ってきているというのは現場でもあることかなと思うので、『自分の指示が正しい』『パイロットの復唱が正しい』『行動がその通りになっている』っていう3点セットの耳と目を育てていただけたらと思います」

 来年からの増便を想定し、関西空港の現場で働くすべての管制官が便数を増やしたシミュレーター訓練を受ける予定です。

(朝比皓美訓練教官)「(発着枠増は)大きく運用が変わるところなので、シミュレーターの訓練をして準備して、心配がない状態で来年からの現場に臨めるように努めていきたいと思っています」

 大盛況で30周年を迎えた関西空港。快適で安全な空の旅は、多くの人たちに支えられています。

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