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【星野リゾート代表に聞く】観光地の混みすぎ&高すぎ問題...解決のカギは『休みの分散』と『自然観光』!本当は教えたくない...「オススメ旅先」とは?

MBSニュース / 2024年9月27日 12時49分

 「旅行したい!」と思っても、観光地が混みすぎていたり、物価が高かったり…。そんな旅の悩みについて「日本・関西の観光ほんまに大丈夫なん?SP」と題して、星野リゾート代表・星野佳路代表に聞きました。◎星野佳路:星野リゾート代表 31歳で星野温泉(現・星野リゾート)社長に就任 「星のや」「OMO」など国内外5ブランド73施設を運営

オーバーツーリズムは京都を『進化』させる!?

 まず、観光地の“混みすぎ”問題について。市バスや観光スポットの混雑常態化が深刻な場所と言えば京都です。こうした京都のオーバーツーリズム問題について星野代表は、一時的なもので、京都を観光地として進化させることにプラスに働いていると前向きな見解を述べています。

 「オーバーツーリズム問題は全世界的に起こっている。解決するノウハウも相当ありますし、京都は自然にどんどん進化していって、世界の観光地としては先進的な場所になる可能性があると思いますね。」

 外国人の宿泊者数を都道府県別に見ると、1位東京、2位大阪、3位京都、4位北海道、5位福岡です(観光庁「宿泊旅行統計調査」2023年の年間値)。驚くべきは、この5都道府県が全国の宿泊者数の74%を占めていること。関西2府4県では大阪・京都が宿泊者数の93%を占めています。

日本は『文化観光』が得意だけど『自然観光』は苦手…

 では、混雑していない地方にも外国人観光客を分散させるためにはどうすればいいのか?『文化観光』と『自然観光』という2つの観光の柱のうち、星野代表は「自然観光に力を入れるべき」だと話します。

 「実は日本には34の国立公園があり、世界自然遺産が5か所ありますが、まだまだ実は世界に知られていません。日本は文化観光が得意なわりに自然観光は苦手なんですよね。自然観光が得意な国はカナダやスイス。自然観光が強くなるともっと地方に分散し、京都や大阪のオーバーツーリズム問題にも相当な効き目があるんじゃないかと思います」

 自然観光の課題は「現地での受け入れ方」だといいます。自然遺産の「保護」と「活用」を両立させるためには、現地に専門の人材が不可欠。また、観光客に楽しんでもらうためには良いガイドも必要であるため、自然観光を強化するには人材育成も重要なポイントだと話しました。

 そのうえで、今注目のスポットがあるといいます。それは、スノースポーツが楽しめる鳥取県の『大山』。今、“日本は雪がすばらしい”と世界から注目されていて、北海道・長野・東北などを訪れるスキー客が急増しているということです。そうした中、西日本エリアの大山も少しずつ注目されてきているようです。

 「安全に雪山を楽しむにはガイドと装備が必要なんです。そういうものが現地で充実していることが自然観光を強くしていくためには大事。」

 一方、ゲートウェイ(日本に入ってくる場所)として東京や大阪も維持可能で、周辺の自然観光を強くしていくことで、地方と都市部のお互いにプラスになる可能性があるといいます。

国内旅行の連休集中問題 解決策は「休みの分散」

 観光客を分散させるためには、場所だけでなく「休み」の分散も必要だといいます。休みを分散させる方法として、星野代表は「日本を2500万人ずつ5つの地域に分けて、ゴールデンウィークやシルバーウィークの休みを1週間ずつずらして取得する」ことを挙げています。実際にフランスでも行われているそうです。

 星野代表は「これは2004年から提言していて、全然政治的には進まないが、世界でこれを意図的にやっている事例はたくさんある」としたうえでこう指摘します。

 「ゴールデンウィークは日本全国オーバーツーリズムです。次の週は日本全国アンダーツーリズム。インバウンドは一定の『地域』に集中し、日本人は大きな国内消費が一定の『週』に集中してしまっていることが問題です。ですから休み方改革はすごく大事。」

 また、愛知県には『あいちウィーク』と呼ばれる小学校が休みやすい週を作り、県も自治体も取り組んでいるそうです。これにより、その週に周辺の県や地域に行くと空いてる場所を安く楽しめるメリットがあるといいます。こうした取り組みが各県で違った週に設定されると自然に休みが分散され、日本の休み方改革につながるのではないかと星野代表は話します。

ホテル代「高すぎ!」どうすれば?

 次に、値上がりする観光について。まずホテル料金が高騰している理由は、インバウンドによるホテル需要の高まりや物価高もありますが、大きい要因は「人手不足」で人件費が上昇したことだそうです。

 星野代表は、「観光業界で働く人の年収は他産業に比べて低い。観光を日本の一流産業にするには観光に従事する人の年収を上げていかないといけない」と指摘します。

 実際にデータで見てみると、全産業における非正規雇用は37%ですが、宿泊業は56%(総務省統計局「労働力調査」2023年)で、賃金は全産業の平均より低くなっています。離職率は全産業で15%に対して、宿泊業・飲食サービス業は27%と高い傾向であることがわかります(厚生労働省「雇用動向調査」2023年)。

 こうした人材不足の改善策についても、『休みの分散』が正社員を増やすことにつながるといいます。

 「インバウンドは5兆円程度の消費額ですが、日本人の国内観光は20兆円と非常に大きいんです。だから日本人の休み方を変えることはすごく重要。今は365日のうち100日しか儲からず265日は赤字です。休みの分散で、年間稼げるようになるため、給与が上がり、宿泊代や飲食費は下がると思います」

 今、ゴールデンウィークは宿泊費がとても高く、その次の週はとても低くなっています。これを平準化させれば旅行者にとっても、3泊しかできなかった人が4泊できるように、いろんな場所に旅行できるようになり、『休みの分散』はさまざまな問題を解決する決め手になると星野代表は話します。

 さらに、いままでは政治が動かない状況でしたが、議論できる環境になってきていて、今こそチャンスだといいます。

本当は教えたくない!?星野リゾート代表の『オススメの旅先』

 最後に、観光のプロ・星野代表に“今一番オススメしたい旅先”を聞きました。星野代表が挙げたのは「北海道東川町」。北海道・旭川と、パウダースノーで外国人観光客にも注目されつつある旭岳の中間に位置し、旭川空港から車で15分の場所だといいます。

 「私がすごく気に入っていてあまり混んでほしくないんですけど…」と話す星野代表にその魅力を教えてもらいました。おすすめの過ごし方は旭岳にスキーに行って、天候が悪い日は近くのおしゃれなレストラン、カフェに行くことだそうです。

 また、地方の課題の一つである人口減少を止めて、観光で『生産人口』を増やすことができており、持続可能な観光地になる可能性があるといいます。

 「観光で急に良くなったわけではなくて、じわじわと20年かけて少しずつ良くなってきている。すごくおしゃれなお店やレストランができ、『生産人口』が増えているんです。とても将来を楽しみにしています。」

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