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【激動の中東】ハマスとは桁違いの兵力!?最近よく聞く『ヒズボラ』...イスラエルやイランとの関係は 中東緊迫で日本にも影響のおそれ【詳しく解説】

MBSニュース / 2024年10月4日 12時20分

 イランがイスラエルに180発以上の弾道ミサイルを撃った、など連日報道されている中東情勢。ただ、実情がよくわからないという人もいるのではないでしょうか?「遠い国のこと」と思うかもしれませんが、日本も無関係ではなさそうで、今後影響が増す可能性もあります。今、中東で何が起こっているのか、JNN前中東支局長・須賀川拓記者などへの取材をもとに情報をまとめました。

それぞれの「国」や「組織」の関係を簡単にまとめると…

 まず、今の中東情勢を理解する上で欠かせない主要な国はイスラエル・イラン・レバノンです。イスラエルとイランは長らく対立の状況にあります。理由の一つは、イスラエルにイスラム教徒の聖地・エルサレムがあることです。イランは正式名称がイラン・イスラム共和国であることからもわかるようにイスラム国家です。

 つまり、イランから見ると“イスラエルはイスラム教徒の大切な聖地を占領している”、“これは許せない”ということで、イランの首都・テヘランでは「イスラエルに死を」と叫びながらデモ行進する様子が世界的に報道されています。

 そして、レバノンに拠点を置くヒズボラという組織があります。イランは今はヒズボラを支援しているため、イスラエルとヒズボラも対立状況にあります。ヒズボラと言えば武装組織のイメージが強いですが、実はレバノンに深い関係がある組織でもあります。レバノンにはヒズボラの議員や大臣がいて、国民の公共サービスに関わるメンバーもいるため、ヒズボラのメンバー全員が戦闘員というわけではありません。

 イランはヒズボラのほか、パレスチナ自治区のガザ地区を拠点に活動しているイスラム組織ハマス、イエメンのフーシ派を支援していて、国ではなくそれぞれの組織を使ってイスラエルと対立してきたと言えます。

『激動』の1年 今年9月にはヒズボラ指導者が死亡

 中東情勢について、去年からの1年で大きな出来事がいくつかありました。去年10月には、ハマスがイスラエルで行われていた音楽ライブを襲撃。これにより多くの若者が殺害され、人質に取られました。その後、イスラエルはガザ地区へ侵攻し、その紛争は今も続いています。

 この時、イスラエル北部でイスラエル軍と戦ったのが、レバノンに拠点を置くヒズボラでした。

 また、今年9月、レバノン各地でヒズボラ戦闘員らのポケベルなど通信機器が爆発。ヒズボラの戦闘員を含む37人が死亡しました。これはヒズボラの戦闘員を狙ってイスラエル側が遠隔操作で攻撃をしたのではないかとみられています。その直後からレバノン各地でイスラエル軍の大規模な空爆も始まります。

 そして次の大きな出来事が、9月27日にヒズボラの指導者ナスララ師が死亡したことです。ナスララ氏はアラブ、イスラム世界においてカリスマ的な存在と言われていて、中東地域で最も影響力がある指導者の1人とされています。そのため、これはヒズボラやレバノンだけではなく、ヒズボラを支援するイランにも大きな損失。つまりイランやイスラエルの対立構造は激化するのです。

 さらに10月1日、イスラエルがレバノンに地上侵攻をしました。イスラエル側は「イスラエル北部で避難を余儀なくされている国民を助けるため」としていますが、イラン側からすると、ヒズボラへの攻撃が続くことであり、指導者の殺害もあって、ついにイランは同日、イスラエルに弾道ミサイル180発以上の攻撃を行ったのです。イスラエル軍は大半を撃ち落としたとしていますが、イスラエルの中部・南部で着弾が確認されています。

 これを受けて、再びイスラエル軍がレバノン中心部への攻撃を激化している…というのが、この1年間の大まかな流れです。

「ヒズボラはハマスとは訳が違う」イランは堪忍袋の緒が切れた?

 パレスチナやイスラエルなどを取材してきた前JNN中東支局長・須賀川拓記者は「今回起きていることは非常にインパクトが大きい」と話します。

 須賀川記者によりますと、イスラエルからヒズボラへの攻撃は、ハマスへの攻撃とは訳が違うということです。ハマスよりヒズボラの方が圧倒的に兵力が大きい上に、ハマスの拠点ガザ地区はイスラエルにとって“庭”のような場所ですが、ヒズボラへの攻撃となると攻撃方法や作戦も大きく変わってくるからです。

 さらに、イランが出てきました。イランからイスラエルへの攻撃は4月にもありましたが、この時はドローンや巡航ミサイルなど比較的対応しやすい攻撃だったと言われています。しかし今回は威力もスピードも桁違いの弾道ミサイルを180発以上撃っていて、イランの“本気度”がうかがえるということです。

 中東を舞台に、世界の構図はどうなっているのか。現在はイスラエルの後ろにアメリカがいます。大統領選挙でトランプ氏が返り咲いた場合、トランプ氏は現時点では「イスラエルを全面支援する」と話しています。そしてイランはロシアや北朝鮮と一つのグループを築いています。

 その上で、須賀川記者は「ロシアや北朝鮮といった日本の周辺国が何らかの形で加担する可能性も出てくる。そうなると安全保障を考える上では『遠い戦争』ではない」と話します。

中東緊迫で日本にどんな影響が?

 では、中東戦争がもし起きればどうなるのでしょうか。須賀川記者は「全面戦争になる可能性はある」とした上で、「特に一番怖いのがイランの核施設への攻撃」と話します。イスラエルは公表していませんが、核兵器を保有していることが多くの専門家から言われています。

 中東が緊迫することでの日本への影響はあるのか、日本エネルギー経済研究所・中東研究センターの佐藤佳奈主任研究員に聞きました。現状、燃料費は高止まりしていますが、対立が継続・激化すればさらに上昇する可能性があるということです。燃料費が上がれば物価への影響も大きくなる可能性があります。

 そして、有事の際に物流に関する妨害行為を受けないように、日本はイランや湾岸アラブ諸国との間で関係強化・維持しておくことが重要だとコメントしています。


(2024年10月3日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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