『京都のアリーナ計画』新たな予定地でも地域住民から不安の声 周辺道路のさらなる混雑を懸念「渋滞の解消なくして建設はない」 府の対応は?
MBSニュース / 2024年10月4日 12時45分
当初、京都府立植物園(京都・左京区)の隣に建設が予定されていた「アリーナ」は、植物などへの影響が懸念されるとして計画断念。そのため向日市内で改めて計画されますが、再び周辺住民からの憤マンの声があがっています。
当初の建設予定地は「植物園」のすぐそば 植物への悪影響を懸念する声が続出し断念
西日本でもっとも小さい市、京都府向日市。JRや阪急の駅があり、京都市内や大阪方面へのアクセスが良いベッドタウンです。今、この街で計画されているのが、競輪場を建て替えて、余った敷地でアリーナをつくる、というものです。
市内にある向日町競輪場。京都府はこの敷地の中に、スポーツ大会の誘致なども可能な8000人以上を収容できる屋内スポーツ施設「京都アリーナ(仮称)」を建設しようとしています。ただ、この計画はもともと別の場所で進められていました。
この計画が持ち上がったのは5年前。当初の建設予定地は、京都市内にある府立植物園のすぐそばの敷地でした。
しかし、去年3月の住民説明会で…
(周辺住民)「なんで今のすばらしい植物園をそのまま守らないんだろう」
(周辺住民)「日が当たらなかったら、植物が育たないでしょう、ほとんどの植物が。計算されたんでしょうか」
周辺の住民からは、アリーナ建設に伴って植物園も再整備することになり園内の木が伐採されるおそれがあることや、巨大な施設が真横にできると植物の生育に悪影響が出ることを懸念する声が続出。府は今年3月、京都市内でのアリーナ整備を断念しました。
そこで新たな建設地として決定されたのが、向日町競輪場の敷地。競輪場は1950年に開設され、老朽化が進行しています。
府は競輪場を建て替えてそのエリアを縮小し、余った敷地を利用してアリーナを建設、2028年秋までの開業を目指しています。ところが今、向日市の住民からも憤マンの声があがっているのです。
競輪場の周辺は片側一車線の狭い道…レースが終わる時間帯は渋滞が続く
50年ほど前から向日市に住む橋本栄さん(76)。この計画に大きな不安があるといいます。
(周辺住民 橋本栄さん)「(この周辺は)もともと道が狭くて、混む道路ということで有名なんです。それがアリーナができることによって、今よりもさらに混雑、渋滞がひどくなるんじゃないか」
実際、競輪場の周辺は片側一車線の狭い道が続き、車同士のすれ違いが難しい場所も。競輪場でレースが終わる時間帯に取材してみると…
(記者リポート)「午後4時半前です。競輪場前の信号は青になっていますが、渋滞が発生していて、車が前に進めない状態です」
さらに、別の道でも…
(記者リポート)「こちら、競輪場へまっすぐ続く道でも、車の列ができています」
車道だけでなく歩道も狭い 周辺住民からは混雑について心配の声
また、住民が心配するのは車道だけではありません。競輪場の入り口から200mほどの所に住む村山晃さん(78)は、周辺は歩道も狭いため、近くの小学校に通う孫の通学路がどうなるのか心配だといいます。
(周辺住民 村山晃さん)「小学校もあるし、いろんな人が群れを成して、もしここを人が通るような事態になったら、僕らもうそこへ近寄れないですよね。競輪のお客さんとアリーナのお客さんも重なったらどうなるんやと。もっと恐ろしい事態ですね」
府は周辺の道路の道幅を拡げる方針です。ただ、大部分について用地の取得ができておらず、工事がいつ行われるかは不透明です。
「交通渋滞の解消なくしてアリーナ建設はない」住民説明会では不満の声が途絶えず
こうした中、府は今年6月に住民説明会を開催。住民からは交通問題への対策を求める声が相次ぎました。
(周辺住民)「車の渋滞があったりして、今でも大変です。ですから、交通渋滞の解消なくして、アリーナ建設はない。本当に考えてもらわないといけない」
(府の担当者)「周辺環境をどう整備していくかは非常に重要だと我々も考えておりますので、そのあたりは(アリーナ建設と)並行して調整したいと思っています」
(周辺住民)「いつまでに(道を)直すんですか?2028年にアリーナを建設するって言ってるんですよ。あと4年しかないんですよ。スケジュールを具体的にしてくださいよ」
(府の担当者)「府道の改良につきましては、向日市民の皆さまでしたらご承知のことと思いますけども、一朝一夕にはいかないということでございます。途方もない時間がかかります」
終了時刻を迎え、説明会は打ち切りになりましたが、最後まで住民の不満の声は途絶えませんでした。
府は「道路整備のめどが立っていなくても、アリーナ建設は向日市で予定通り進める」と話します。
(京都府 角田幸総文化施設政策監)「予定地が変わるということはないですね。道路が全部できてからでないと何かしないだとか、そういうことにはならないと思います」
また、道路が整備されるまでの間の混雑対策については「現在、検討を進めている」といいます。
(京都府 角田幸総文化施設政策監)「来場者については、公共交通機関で来ていただく、あるいはシャトルバス等の手法で、アクセスルートの分散化を図っていきたいと思っています」
「まず、市民の声をきいてもらいたい」見直しを求め署名活動
建設予定地の周辺住民は、道路整備を含め、アリーナ計画の見直しを求めて署名活動を行っています。
(周辺住民 橋本栄さん)「私たちは決してこの計画が頭から反対ということで全否定しているわけではありません。(アリーナを)向日市に来てよかったなというような施設にしてほしいし、そのためにまず、市民の声をきいてもらいたい」
そもそも府民が集い、憩うための屋内スポーツ施設。近隣に住む府民の意見に対しても丁寧な対応が求められます。
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