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【インフルエンザ】注射が苦手な子どもに朗報!?鼻スプレー型の新ワクチン『フルミスト』 一方で副反応として「インフルエンザ」ってどういうこと?医師が指摘する注意点

MBSニュース / 2024年10月11日 13時8分

 冬にかけて流行期を迎えるインフルエンザ。今シーズンから、注射ではなく鼻に噴霧するタイプの新たな子ども用ワクチン「フルミスト」が実用化されています。そのメリットとデメリットとは?また、医師らが新たに警戒するのが「新型インフルエンザ」の存在です。私たちは何に気を付ければいいのか?関西福祉大学・勝田吉彰教授への取材などをもとにまとめました。

今年は南半球で感染拡大…日本でも要注意!?

 近年のインフルエンザの感染状況を振り返ります。大阪府の定点当たりの患者数を見ると、2022年はインフルエンザの感染拡大はほとんど見られませんでした。この年はコロナ禍の真っ只中で、感染症対策が徹底されていたことが背景にあります。2023年は1月から2月にかけて感染が拡大し、さらに5月に新型コロナウイルスが5類に移行したこともあってか、秋から冬にかけての感染増加も見られました。そして今年、9月の状況は去年ほどの流行は見られません。

 いずれにしても、コロナ前の2019年のピーク時を超える流行はまだ起きていません。この理由について関西福祉大学の勝田吉彰教授は、日本ではコロナ以降、感染対策がある程度続いていることを挙げています。

 一方で、今年は南半球で感染が拡大しました。日本が夏の間、南半球は冬でインフルエンザの感染シーズンを迎えます。そのため、南半球での感染状況は日本の冬を予想する一つの指標になるとして、日本でも要注意だということです。

注射不要!新しい「子ども向けワクチン」メリットと注意点

 次に、ワクチンについてです。一般的なインフルエンザのワクチンは、接種後約2週間~約5か月、十分な効果を維持するとされています。インフルエンザは例年12月~3月ごろに流行するため、一般的には10月~12月中旬に接種をする人が多いです。

 予防接種のタイミングについて、東京にある大川こども&内科クリニックでは、2023年に予防接種を受けた人の8割が10月、11月だったということです。遅くなると供給が追いつかない可能性も十分に考えられるため、受験生などは早めに予防接種を受けた方がいいのではないかと勝田教授は指摘します。

 そして、今シーズンから接種可能となった鼻スプレー型のワクチン「フルミスト」。従来のワクチンは生後6か月を過ぎれば打つことができ、接種回数は12歳までは2回を推奨、費用は3000円~5000円程度です。それに対してフルミストは、対象年齢が2歳~18歳、接種回数は1回で、料金は5000円~8000円程度です(※葛西医院・小林正宜院長によると)。

 一般的なインフルエンザワクチンは、毒性のない不活化ワクチンで、ウイルスの感染する能力を失わせたものを原材料にしています。一方、鼻の中に噴霧するフルミストは生ワクチン。ウイルスや病原体を弱毒化させたものを原材料にしているため、簡単に言えば“軽くインフルエンザに感染”します。副反応として「インフルエンザ」、つまり人によっては頭痛・発熱・喉の痛み・鼻水などの症状が軽く出る可能性があるということです。

 勝田教授によりますと、フルミストは鼻の粘膜に噴霧をするもので、ウイルスを初期段階でブロックするという考え方ですが、鼻の粘膜だけでウイルスをブロックしているわけではなく、その後、体全体にワクチンの効果が伝わっていくということです。効果は既存のワクチンと同等レベルと現時点では言われています。

 そして、フルミストは、“人にうつる可能性”があります。ワクチン添付文書には「飛沫又は接触によりワクチンウイルスの水平伝播の可能性」とあり、フルミストを受けた本人は無症状でも、弱いながらインフルエンザウイルスが体内にいるため、本人から他者に感染する可能性があるということです。

 勝田教授は、免疫が特に下がっている人が家族にいる場合は注意が必要だといいます。例えばHIV感染者・エイズ発症者・臓器提供を受けた人・妊婦・何らかの理由でステロイド投与を受けている人などが同居者にいる場合は、医師に相談をしてください。そうした同居者がいない場合は、それほど神経質にならなくてもいいということです。

“鼻をグリグリ”しない!AI解析で検査ができる時代に

 検査も変わってきています。インフルエンザの検査と言えば“鼻をグリグリ”するタイプがありますが、これは痛みを強く感じて嫌がる子どももいます。

 しかし今、葛西医院の小林院長によりますと、鼻をかむだけの検査もあるそうです。症状として鼻水が出ている場合、検体採取が簡単で、子どもや高齢者に適しています。精度・費用は従来の抗原検査と同程度だということです。

 また、画像をAI解析するという検査方法も。メーカーによりますと、1万人以上の患者の50万枚以上の咽頭の画像データなどをもとに開発されたもので、現在1000施設以上で導入されています。AIが画像を解析した後、医師がインフルエンザと判断すれば確定診断ができます。

「新型インフルエンザ」に警戒…もし流行したらどうなる?

 そして今、医師らが警戒しているのが、季節性ではなく「新型」のインフルエンザです。季節性は季節ごとにやってきますが、新型インフルエンザは基本的に、動物がインフルエンザに感染し、その動物と接触をした人にうつります。

 インフルエンザウイルスは変異をしては死滅ということが繰り返されていますが、稀に、動物から人へ、そこからさらに人へ感染してしまう変異ウイルスが現れます。新型インフルエンザに対して人は免疫を獲得していないため、急激に感染が広がってしまうのです。過去にはインドネシアやエジプトで、多くの子どもが新型インフルエンザによって命を落とすこともありました。

 過去のパンデミックを振り返ると、1889年に旧アジアインフルエンザ、1918年にスペインインフルエンザ、1957年にアジアインフルエンザ、1968年に香港インフルエンザ、2009年に新型インフルエンザがありました(政府広報オンラインより)。10年~40年くらいの間隔で起きていることがわかります。

 日本政府は、新型インフルエンザが日本で流行した場合の被害想定を出しています。全人口の25%が罹患すると想定した場合、医療機関の受診患者数は1300万人~2500万人、死亡者数の上限は17万人~64万人、従業員の最大40%程度が欠勤(約2週間程度継続する見込み)、と想定しています。

「弱っている動物や死骸をむやみに触らないで」

 勝田教授は、新型インフルエンザの発生を正確に予測するのは不可能だが、鳥インフルエンザの増加などリスクは上昇傾向に現在あるといいます。その上で、弱っている動物や死骸をむやみに触らないでほしいと強く訴えています。

 海外で新型インフルエンザが感染拡大した際には、子どもが弱っている鳥を助けたいがために触れた、死んだ鳥を移動させて埋めたなどが発端だったという見方があります。死んでいる・弱っている鳥などがいて処理が必要な場合には保健所に連絡をしましょう。現在の日本では鳥に触れたから鳥インフルエンザにかかる、という状況ではありませんが、こうしたことが感染症を拡大させない1つのポイントかもしれません。

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