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【チケット最高値は560万円!?】MLBワールドシリーズ「ドジャースvs.ヤンキース」ホームラン王の大谷&ジャッジが激突...注目ポイントを徹底解明

MBSニュース / 2024年10月24日 13時12分

 米・メジャーリーグの“西の名門”ドジャースと、“東の名門”ヤンキース。ホームラン王に輝いた大谷翔平選手とアーロン・ジャッジ選手をそれぞれ擁する『東西の名門』が、43年ぶりにワールドシリーズで激突します。今回の対決がなぜ“最高の対決”と言われているのか?一体どれほどのお金が動くのか? メジャーリーグ研究家・鈴村裕輔さんに取材した情報などをもとにまとめました。

「ファン離れの解消」と「V字回復」の希望の対決!?

 レギュラーシーズンの終了後、アメリカンリーグの上位チームと、ナショナルリーグの上位チームが争うポストシーズン。日本で言う「クライマックスシリーズ」です。結果、ナショナルリーグのチャンピオンはドジャース、アメリカンリーグのチャンピオンはヤンキースとなりました。ドジャースとヤンキースが対戦するのは43年ぶり。ちなみに、ドジャースとヤンキースのワールドシリーズでの対戦は実は12回目。これまでの対戦結果はヤンキース8勝、ドジャース3勝です。

 今回のワールドシリーズのスケジュールは以下のとおり。先に4勝した方がワールドチャンピオンとなります。

【ワールドシリーズ スケジュール】
10月26日(土):1戦目
10月27日(日):2戦目
10月28日(月):移動日
10月29日(火):3戦目
10月30日(水):4戦目
10月31日(木):5戦目
11月1日(金):移動日
11月2日(土):6戦目
11月3日(日):7戦目

 ワールドシリーズは、1903年に初めて行われ、その後ストなどで2回だけ行われなかった年がありますが、基本的には毎年行われている戦いです。

 アメリカのメディア「ブリ―チャー・リポート」によりますと、ワールドシリーズの視聴者数は1978年には4400万人以上でしたが、実はそこをピークに減少の一途をたどっています。2016年以降は2000万人にも届いていません。

 アメリカ4大スポーツで圧倒的に人気なのはアメフト、その次にバスケとアイスホッケー、そして4番目に甘んじているのがメジャーリーグです。そうした中で今回の対決は、ファン離れの解消とV字回復の希望の対決と言われるほど期待がかかっています。

注目されているポイント

 なぜこれほどまでに注目されているのか?まずワールドシリーズに進出するのが、ヤンキースは15年ぶりで、強豪ではありますが久しぶりです(ドジャースは4年ぶり)。

 また、チームの年俸総額はドジャースが約399億円、ヤンキースが約466億円でどちらもトップクラスです。ヤンキースで一番年棒が高いのはジャッジ選手で約60億円。ドジャースで一番高いのはベッツで約45億円。ちなみに、大谷選手は“10年で1050億円”の契約をしましたが、後払いを選択し、今年の年棒は3億円です。

 そして、ホームラン数でトップを走るジャッジ選手(58本)と大谷選手(54本)の対決も注目されています。

 ちなみに、ワールドシリーズで優勝している回数は、ヤンキースが27回で圧倒的1位。2位はカージナルスで11回、ドジャースは6位で7回です。

 また、今回大きな盛り上がりを見せているワールドシリーズですが、一歩違えば盛り上がりはニューヨークだけになっていたかもしれません。ドジャースが最後戦っていたのはニューヨークのチームであるメッツだったため、ドジャースが負けていればニューヨーク・ヤンキースと“ニューヨーク同士の対決”になっていたかもしれないのです。そうした場合、日本にはあまり関係がなくなり、広告料も大幅に減っていたかもしれません。

大きなお金を動かすMLB 収益の使い道は?

 続いてはお金の話。日本の日本野球機構(NPB)はそれほど収益を出していませんが、アメリカでは各球団と別にメジャーリーグの「MLB機構」自体が収入を得ています。その内訳はまず放映権。日本では各球団がテレビ局と契約したりしますが、アメリカではMLBが一旦契約して、MLBに収入が入ります。

 また、グッズ販売の収益も一部がMLBに入ります。そして、ポストシーズンのチケット売り上げは、4試合目までは4割がMLBに入り、5試合目以降は全てMLBに入ります。

 収益の使い道は、まず優勝チームなどへの報奨金。さらに引退した選手が62歳から亡くなるまでもらえる選手年金。選手によっては毎年2000~3000万円がもらえるそうです。そしてもう一つが、下位チームへの分配。強いチームがずっと強いままだとリーグとして面白さが欠けるため、戦力の均衡を図るために、弱いチームに多くお金を払ってあげるということです。

 これはデータにも表れていて、近年のワールドシリーズの進出チームは毎年のように顔ぶれが変わっています。

転売を公認!ワールドシリーズ2戦目の最高値は約560万円

 MLBは収益を出すためにさまざまな工夫をしています。例えば、MLBでは転売を公認していて、公認チケット転売サイト「SEAT GEEK」が存在しています。このサイトでワールドシリーズのチケット価格を調べたところ、2戦目(ドジャースタジアム)の最高値はなんと1席で約560万円。最安値でも約17万円でした(10月23日午後1時時点)。転売を公認することがどうしてMLBの収入につながるのか。実は、安心なサイトであるという補償をすることで手数料を15~20%取っているのです。

 さらにマーケティング情報として、どんなエリアのどんな年代の人がどれくらいの金額のチケットを買っているのがわかることで、今後のリーグ運営に利用できるといいます。

 収益を出すためのもう一つの工夫、それは試合数を増やすことです。ポストシーズンも2021年は各リーグ5チームずつの10チームでしたが、今年は6チームずつの12チームです。試合が増えれば、特にポストシーズンは満席になるため、それだけ収益が出ます。ただ、選手からすると怪我をしやすくなるため反発も出ますが、折り合いをつけながら徐々に増やしているということです。

試合は「ショー」ファンに楽しんでもらう工夫も

 ファンを増やすための工夫もしています。例えば、子どもや女性などファン層を広げるために、ヤンキースではOBが子どもたちに野球教室を無料で開催しています。他にも、ダイヤモンドバックスの本拠地チェイス・フィールドでは、プールを設置して球場をボールパーク化しています。バーベキュースペースが用意されている球場もあるそうです。そこには、野球はスポーツというより“ショー”だというアメリカならではの考え方があります。

 また、ファン獲得のために2023年から「ピッチクロック」という制度が導入されました。投球間隔は15~18秒以内で、ピッチャーはランナーがいれば18秒、いないときは15秒以内に投げなくてはいけません。そうすると試合の時間が短縮されます。結果、来場者数は実際に2年連続で増加していて、今年は2017年以来の7100万人超えでした。お客さんにとっては、試合時間が2~3時間くらいなのがちょうどいいのかもしれません。

 こうしたことを知ったうえでワールドシリーズを見ると、注目の対決がより一層、楽しめるのではないでしょうか?

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