高額配当うたい出資集める『オーナー商法』で元社長ら逮捕 逮捕前の直撃に「違法か判断できない状態だった」 "国のお墨付き"も・・・
MBSニュース / 2024年10月31日 11時47分
発電設備を販売すると同時に、商品自体は会社で預かり管理し、発電による「利益」を購入者に配当する、いわゆる「オーナー商法」を行ったとして会社元社長が逮捕されました。MBSは逮捕前に元社長に直撃取材を行いました。
”オーナー商法”をめぐり男らを逮捕
(記者リポート)「逮捕された池田容疑者が、大阪府警の捜査員に連れられて新大阪駅に到着しました」
10月30日、大阪府警によって逮捕されたサングラスをかけた金髪の男。山形県酒田市にある発電設備の販売などを行う会社「チェンジ・ザ・ワールド」を経営していた池田友喜容疑者(47)だ。事件は池田容疑者が行っていた”ある投資ビジネス”を巡って起きた。
『太陽光発電を区分所有できるサービス』で被害者も・・・
オーナーの一人、三重県の会社経営者Aさん(55)。Aさんは2020年にインターネット上で池田容疑者のビジネスを知ったという。
(オーナーの一人・Aさん)「太陽光発電を事業としてやってみたいと思っていた。(ネットで)いろいろと調べていくうちに(太陽光発電を)区分所有をできるサービスがあるっていうのを『チェンジ・ザ・ワールド』のホームページで知った」
池田容疑者の会社「チェンジ・ザ・ワールド」が行っていたのが、太陽光発電などの再生可能エネルギーに関する「オーナー商法」だ。
違法な投資ビジネスの仕組みとは?
その仕組みは「チェンジ・ザ・ワールド」社は太陽光や風力発電の設備を複数のオーナーで共同して所有する権利を販売。発電設備の管理自体は会社側が行い、電力を売って得られる「売電収入」の中から管理手数料を差し引いた利益をオーナーたちに還元するというものだ。
ホームページでは約300円から投資が可能で年間7.6%の利回りが得られるなどとうたっていた。
また、環境省から環境問題の解決に貢献している企業として表彰も受けており、「国のお墨付きがある」とアピールしていたという。
”国のお墨付き”を信じ計1500万円を投資
子どもの教育資金を増やしたかったAさん。2020年からおととしにかけて、あわせて約1500万円もの大金をつぎ込んだという。
(Aさん)「夢と希望があるし環境にも配慮して良い企業だという広告を見せられると、だんだん魅力的に映っていって安心した」
その後、Aさんには配当が支払われていたというが、去年2月になって突然、『破産手続き開始決定』というメールが届いた。全国に1万2000人のオーナーがいる中、約38億円の負債を抱えて会社が破産したのだ。
(Aさん)「ええ、うそって感じでした。なんでって感じですよね。寝耳に水ですよね。」
Aさんのもとには今も投資した元本1500万円は返ってきていないという。
『オーナー商法』は破綻したワケ
一体なぜ、「再生可能エネルギーのオーナー商法」は破綻したのか。オーナーらに向けた文書にはこう記されている。
(破産手続開始を知らせる文書)「2022年6月1日に預託等取引に関する法律が改正され事業を継続することが不可能であるという判断に至りました。」
「預託等取引」とは「オーナー商法」のこと。その法律の改正が破産の原因だと主張しているのだ。オーナー商法をめぐっては2018年、磁気治療機のレンタルオーナーを募っていた「ジャパンライフ」が破産し2000億円の被害を出すなど、巨額の消費者トラブルが相次いでいる。
これを受けて2022年6月に法改正が行われ国が認めた場合を除き、オーナー商法は原則、禁止されることになった。「チェンジ・ザ・ワールド」社はこの法改正で事業が違法となって継続できないため、破産することになったと説明しているのだ。
しかし、Aさんには会社側からある広告メールが届いていた。日付は法改正がされた後のおととし11月。「ブラックフライデー」にあわせたセールの実施を知らせるものだった。実際、Aさんも1500万円のうち約半分は法改正の後に投資したという。
(Aさん)「本人(池田容疑者)は絶対意図的にやっていると私は思う。そもそも最初からまともに経営するつもりなかったんだろうと言ってやりたい」
専門家「法改正の段階で事業として成り立っていなかったのでは」
消費者庁は法改正前にオーナー商法を行う事業者に対し今後は原則違法になることを周知していた。オーナー商法に詳しい法律の専門家は改正より前から事業が破綻していた可能性を指摘する。
(慶応義塾大学大学院法務研究科・鹿野菜穂子教授)「恐らく法改正のあった段階では事業としては成り立ってなかったんだろうなと思います。顧客から集めている資金と運用によって得られる利益とが釣り合っていなかったと言えるのではないかと思います」
逮捕前、記者が直撃「違法か判断できない状態だった」
なぜ、法改正によって事業が違法になった後も投資を集めていたのか。取材班は山形県へ。逮捕前に会社の社長を務めていた池田容疑者を直撃した。
(記者)「法改正後も販売を続けた理由は?」
(池田容疑者)「弁護士の人とか管財人の人とかが入ってやってるんで」
(記者)「法改正後も販売を続けられたことで被害者増えたと思うんですけど。なぜ販売をやめなかった?被害者増えたと思うんですけど、池田さんどうですか?」
口をつぐむ池田容疑者。しかし、事業が続けられないことを分かっていながらオーナー募集を続けていたのではないか。問い質すと…
(記者)「破産するつもりで続けていたのでは?」
(池田容疑者)「違います」
(記者)「破産は予定していなかった?」
(池田容疑者)「予定していなかったです」
(記者)「法改正後の販売は違法では?」
(池田容疑者)「違法か違法じゃないかってのが判断できない状態だったと思いますよ。消費者庁からも言われてなかったし」
池田容疑者は当時は事業が継続できなくなるとは思っていなかったと話した。しかし、30日。警察は池田容疑者が法改正後も違法に金を集めていたとみて逮捕に踏み切った。
警察によると、池田容疑者ら6人はおととし6月から12月にかけ、関西に住む男女4人に対しあわせて約220万円相当の発電設備のオーナー契約を結んだなどの疑いが持たれている。警察は池田容疑者らの認否を明らかにしていない。
またも起きたオーナー商法を巡る消費者トラブル。警察による全容解明が待たれる。
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