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高校生たちのファッションショー!自ら手づくり『レザー衣装』で地元の魅力をPR 「つるんとしたエナメルレザー」生徒の"変わったオーダー"に革職人も頭を抱えるが...大盛況の舞台裏に密着

MBSニュース / 2024年11月22日 13時21分

 しょうゆ、そうめんなどが有名で、童謡『赤とんぼ』の作詞者・三木露風の生誕地としても知られる兵庫県たつの市。実は、日本一の「革づくり」の町でもあります。レザー産業を盛り上げようと地元の高校生たちが開催したファッションショーに密着しました。

『たつのレザー』の知名度アップへ…ファッションショーを行う生徒たち

 11月17日、兵庫県たつの市で開かれたファッションショー。スポットライトに華やかな衣装が一段と映えます。モデルは全員、地元の高校の生徒たち。衣装も自分たちの手づくりです。

 このイベントを開催したのは、たつの市にある県立龍野北高校。総合デザイン科では約110人が服作りなどを学んでいます。今年5月、半年後に迫ったファッションショーの衣装を決める話し合いが行われていました。このショーの一番の特徴は、すべての衣装にレザーを使うことです。

 (先生)「一発目の衣装は全部革のやつにした方がいいと思うねんな」
 (生徒)「硬めの革を使いたいです」

 レザー産業が盛んなたつの市。大小200以上の工場があり、牛革のシェアは日本一です。腕のいい職人が仕上げる高品質の『たつのレザー』として知る人ぞ知る存在ですが…

 (丸太産業 村上博一代表)「(一般の人には)知られていなんですよ、あんまり。どちらかといったらそうめんとしょうゆが有名ですかね」

 品質の割に今ひとつの知名度を上げるため、龍野北高校では22年前から『たつのレザー』を使ったファッションショーを開いています。総合デザイン科のすべての生徒が参加。モデルや衣装など担当ごとに準備を進めます。3年生の中谷真子さんは、ショー全体を統括する「総リーダー」です。

 (中谷真子さん)「みんなで頑張っていって絶対に成功させるつもりです」

特注のレザーを職人に依頼するが…

 本番の衣装は34種類。特注のレザーを職人に依頼します。テーマを「夜更かし」とした衣装は、テレビやスマホ画面のつやを表現するため、つるんとしたエナメルレザーをリクエストしますが…

 (徳永雅信製革所 徳永雅信代表)「つるんとしたエナメルはない。ある程度、最初から波うってる」

 変わったオーダーの連続に、職人たちも頭を抱えますが、最後は…

 (徳永雅信代表)「できるようには頑張ってみる」

 同じころ、モデルのチームはウォーキングの練習を始めていました。この日はプロのモデルに来てもらい、ステージでの歩き方を教わります。

 【指導の様子】
 「姿勢が悪いだけで結構目立つから。衣装って姿勢一つで見え方が違ってくる」

 みっちり2時間、姿勢を体に覚え込ませます。

「生徒の発想はおもしろい」職人も初めての挑戦

 7月上旬、注文していたレザーができあがりました。

 (先生)「めっちゃぴったりや」
 (中谷真子さん)「すごいすごい」

 つるんとしたエナメルレザー、予想以上の出来栄えです。また、「ぼこぼこした革」というオーダーをしていたレザーも完成。職人歴50年を超えるベテランも初めての挑戦でした。

 (徳永雅信代表)「生徒の発想はおもしろいからね。私の発想力にもなる」

 夏休みに入り、衣装チームは、届いたレザーを使い急ピッチで作業を進めます。総リーダーの中谷さんはすべてのチームをフォローしながら準備の進捗を確認します。

 (中谷真子さん)「ほぼ毎日学校に来て制作をしている。遊びにいきたいなとめちゃくちゃ思います。でも自分たちの最後のファッションショーなので、手を抜かずに頑張っていこうと思っています」

練習中にトラブル発生!?すべての衣装をギリギリまで微調整

 ファッションショーまで残り2週間。完成した衣装をモデルが着て、ステージの練習を進めます。ところが…

 (モデル)「だめや、落ちてくる。たぶんこのへん(腕)にボタンつけんかったら落ちてきます」

 何かトラブルが発生したのでしょうか。

 (モデル)「腕につけている革のパーツが重くて、腕から外れちゃう問題が出てきました。ボタンをつけてずれないように固定しようと思います」

 ほかにもトラブルがないか、すべての衣装をチェック。ギリギリまで微調整を続けます。

 (中谷さん)「どう?手動く?」
 (モデル)「動く動く動く」

 (モデル)「最後のこうやって手をあげるとき、ここまでしかあがらへん」
 (中谷さん)「ええんちゃう。あがったのが分かったらいいし」
 (モデル)「OK。完成だ。やったね、真子ちゃん」

 (中谷真子さん)「感動です。自分が頑張ってきた分も他の子たちが頑張ってきた分もどれも全部目立って見えているのでうれしいです」

高校生だけでやり切ったショーは大盛況!

 そして、ついに本番の日を迎えました。ショーは25分。高校生の1日を34着の衣装で表現します。「ぼこぼこした革」は、荒々しい雲をイメージしたドレスに仕上がりました。

 エナメルレザーは、狙いどおりのつややかさで、デジタル感を演出します。

 高校生だけでやり切ったファッションショー。3回の公演で1700人以上が訪れ、大盛況となりました。

 (あいさつする中谷真子さん)「感謝の気持ちでいっぱいです。本日はご来場いただき、ありがとうございました」

 ショーの終了後、中谷さんに改めて感想を聞きました。

 (中谷真子さん)「点数なんてつけられないくらい、自分たちにとって最高のショーになりました。3年間できて良かったです」

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