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初の1兆円超!おもちゃ市場の躍進支える『キダルト』の意味は?ベイブレード国際大会には30~40代の姿も 子どものような趣味で"大人買い"も可能 メーカーも注目する"新たな主役"

MBSニュース / 2024年12月4日 19時35分

 少子化のなか、おもちゃ業界の売れ行きに貢献する「キダルト」という言葉をご存知でしょうか。「キッド」+「アダルト」の造語で、子どものような趣味を持つ大人を指すそうです。おもちゃにはロングセラー商品も多く、大人になって再びおもちゃに戻る人も多くなっているそうです。業界を支える「キダルト」の実態と、キダルトを意識したメーカー戦略も取材しました。

25週年『ベイブレード』国際大会で対戦する出場者の中には30~40代の姿も 

「3,2,1,Go~シュート!」

 参加者が真剣に競っているのは、発売25週年を迎えたベイブレード、現代版ベイゴマです。12月1日に東京の池袋で国際大会が開かれ、対戦したのは韓国の42歳の女性とインドネシアの34歳の男性でした。

 おもちゃで遊ぶことに抵抗が無く、子ども心を持った大人は「キダルト」と呼ばれ、市場が拡大する中、ベイブレードの大会として、始めて大人も参加できるようになりました。

(東京大会選出 30歳のタツキ選手)「(Qベイブレード歴は?)25年になります。5歳からですね。おもちゃというよりどっちかというとスポーツという感覚で認識している」

(タカラトミー・グローバルベイブレード事業部 高岡悠人部長)「25年前に小学生だった人が社会人になって、お父さんお母さんになっている。久しぶりにやってみようかな、今のベイブレードこんなにすごいんだと始める人が多い」

「キダルト」がおもちゃ市場の新たな主役 キダルト向けエリアも拡充

 「キダルト」がおもちゃ市場の新たな“主役”になりつつあるといいます。実際、おもちゃ売り場にも大きな変化があるようです。10月にオープンしたばかりの『トイザらス ららぽーと門真店』を訪ねました。

(トイザらス・ららぽーと門真店 津名祐治副店長)「店の半分がキダルトと呼ばれるコーナーです」なんと、店舗の半分をキダルト向け商品エリアにしたのです。人気のおもちゃは…

(津名祐治副店長)「男性の方に特に人気なのが、ガンダムのプラモデル」
(山中アナ)「ガンプラですね。小学生のときに作りましたけど、いまプラモデルは子どもより大人なんですか」
(津名祐治副店長)「買われていくのは大人の方が多いですね」

 商品を並べたそばから 購入する大人もいました!なんと49歳。

(今年、ガンプラを再開した49歳)「大人になっていろいろなやり方をYouTubeで拝見して、やってみたい、子どもの時に出来なかったことを今やっている」

 この店舗を訪れる客の4割が「キダルト」だということで、魅力はその購買力です。

(津名祐治副店長)「ガンプラとかミニフィギュアは自分のために買うので、いっぱい買っていただける」
(山中アナ)「大人向け売り場を広げたら、売り上げは上がってますか?」
(津名祐治副店長)「おかげさまで」

 日本玩具協会調査によると、15歳未満の人口が減少を続ける中で、おもちゃの市場規模は10年間で2割あまり増え、昨年度初めて1兆円を超えました。それをけん引しているのが「キダルト」です。

(トイジャーナル 藤井大祐編集長)「キダルトが盛り上がっている要因となっているのがコロナ。昔遊んでいたカードゲームやミニ四駆などで、遊ぶようになったというのがきっかけ」

1970年誕生 リカちゃんでキダルトが「リカ活」複雑ポーズも可能に!

 メーカーも近年、子ども向けに加えて「大人向け」のおもちゃ開発に力を入れています。東京に本社があるタカラトミーを訪れました。

(山中アナ)「ぜんぶおもちゃですね。これは初代トミカ。1970年ですから僕が生まれる前。これ!めちゃなつかしい!ウォーターゲーム。1976年、ぼく同い年!これ押してましたよく!」

同社を代表するおもちゃが「リカちゃん」です。

(タカラトミー・広報課 柳寺薫乃さん)「初代のリカちゃんも。いま4代目になるんですけど、初代のリカちゃんから並んでいます」
(山中アナ)「一番左が初代ですね、何年前ですか?」
(柳寺薫乃さん)「(初代は)57年前になりまして。洋服とかもトレンドを反映しているのがわかると思います」

 リカちゃんもキダルト向けに進化しているといいます。

(リカちゃん担当・堀山愛梨さん)「“関節”が付いたボディ。従来と違って、足首やひざも上下左右に曲がる」

 関節の動きにここまでこだわった理由は、大人がはまる「リカ活」ブームがあるといいます。

(堀山愛梨さん)「リカ活ではポージングをとって、(自分で)作ったお洋服で写真を撮るのが人気になっている。その中で従来のリカちゃんだとポージングしづらい。可動ボディのご期待の声が上がっていたのにお応えした」
(山中アナ)「なぜ大人がリカ活する?」
(堀山愛梨さん)「子どものころにはできなかった。自分でお洋服を自作したり、洋服・小物まで撮影セットを作ってSNSでシェアしたりできるようになったのが大人ならではのあそび方かなと思います」

 さらにこんなものまで…

(堀山愛梨さん)「『推し活デビューセット』があって、来てくださるということで特別に準備した」
(山中アナ)「えー! すごい。」

 アイドルなどを応援する「推し活」をリカちゃんと一緒にできるセットも販売しています。

(山中アナ)「気恥ずかしいような、うれしいような」

徹底的な細部のこだわり 価格1.6万円のキダルト向けおもちゃ

 タカラトミーはそんな「キダルト」向けの商品開発に力を入れています。

(柳寺薫乃さん)「こちらは、TーSPARKという、今年誕生したハイターゲット向けのホビーレーベル。トランスフォーマーですとかゾイド、ダイアクロンなどの、弊社のコンテンツをより大人向けに。対象年齢が15歳以上。子ども向けだと再現できなかったパーツの細かさですとか表現されている」

トランスフォーマーは車などがロボットに変形するおもちゃ。そのキダルト向けは細部まで徹底的にこだわっています。

(山中アナ)「これめっちゃ売れてます?」
(T-SPARk担当 髙田圭祐さん)「まだ発売されていない商品」
(山中アナ)「これ、全部シリーズまだなんですか?」
(髙田圭祐さん)「まだです、これから発売するシリーズになります。(来年3月)」
(山中アナ)「そうなんだ…誰よりも先に触れたんですね。先言ってください、テンション上がった!すごいなこれ」

(山中アナ)「ちなみに、おいくら予定ですか?」
(髙田圭祐さん)「こちら税込みで1万6500円。」
(山中アナ)「おもちゃとしては、なかなかのお値段。そこもキダルト向けですね」

「人生ゲーム」時代を反映 ”お金を貯めて早期リタイア”

 
 定番のボードゲーム、「人生ゲーム」も、キダルトにも人気のため新たに「投資」の要素を加えたり、マス目には「デジタルデトックス」などの大人心をくすぐるトレンドワードが盛り込まれたりしています。

(山中アナ)「FIREは火?」
(人生ゲーム担当 池澤圭さん)「早期リタイアのFIREと、情熱の炎という2つをかけた」
(山中アナ)「お金ためて早くリタイアしましょうと、いまはやりの言葉がまさに人生ゲームになったと本当に人生ゲームは時代・時代を反映していますよね。」
(山中アナ)「お金が“ドル”だったのに、“円”になっている」
(池澤圭さん)「今年から現実の世界でも新紙幣が発行されましたので、それを受けて」
(山中アナ)「ただ、これ津田梅子さんじゃないですか?」
(池澤圭さん)「『高久さん』です。
(山中アナ)「『高久さん』は誰ですか?」
(池澤圭さん)「開発担当者の1人です」
(山中アナ)「タカラトミーさんの社員さんですか?」
(池澤圭さん)「うちの社員です」

子どもだけでなく大人もおもちゃで遊ぶ時代。おもちゃはまだまだ進化しそうです。

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