【トリプルデミックに警戒】3つの感染症が同時に流行!?インフルエンザはすでに近畿で流行期 "かなり頑固な咳"が出たらマイコプラズマ肺炎かも 医師に予防策を聞く!
MBSニュース / 2024年12月10日 13時16分
寒さが厳しくなるなか、最近、急に体調を崩す人が増えています。この冬は「インフルエンザ」「新型コロナ」「マイコプラズマ肺炎」が同時に流行する『トリプルデミック』に警戒が必要ということです。これら3つの感染症について、大阪市生野区の葛西医院・小林正宜院長に聞きました。◎小林正宜:葛西医院 院長 現在、脊髄梗塞の患者の治療に携わる 救急医療や新型コロナの訪問診療にも尽力
年末年始は「トリプルデミック」に警戒!
―――年末年始はインフルエンザ・新型コロナ・マイコプラズマ肺炎の「トリプルデミック」に警戒ということですね。
「冬になると湿度も下がり気温も下がってきて、さまざまな感染症が流行するという傾向にあります。これから患者が増えていくのが予想されているこの3つの感染症ですが、インフルエンザと新型コロナは症状が似ていて、なかなか診察だけ、症状だけを聞いても区別がつきにくいです。現在は両方とも流行しつつありますから、両方同時に検査ができるような抗原検査キットを使うことが多いですね。マイコプラズマ肺炎の症状は“かなり頑固な咳”。咳をしすぎて嘔吐しそうになるとか、咳をしすぎて夜眠れないなど、そういった咳が出ることが多く、マイコプラズマ肺炎を疑わせるような症状かなと思います」
―――これらの感染症が2つ3つ同時に感染することはありますか?
「同時に感染するということはありえます。ただ、同時に感染する可能性は高いわけではないです。同時に感染することを怖いと思うよりかは、3つの感染症が流行することによって、さまざまな感染症のリスクにさらされる可能性があるので、症状に注意してほしいなというふうに思っています」
「1日で複数人が陽性」近畿はもうすぐインフルエンザが注意報レベルか
―――12月6日時点での近畿各地のインフルエンザ「定点あたりの報告数」は、大阪4.91、兵庫4.22、滋賀4.18、京都3.99、和歌山3.17、奈良2.72となっています。目安として1を超えるとインフルエンザが流行期に入ったと考えられるということです。注意報レベルは10です。各地の数字についていかがですか?
「もう10は超えてくるだろうと思います。報告というのは1週間遅れて出てきます。私も診療する中で、やっぱりこの2週間ぐらいが急に増えてきたなという印象があります。毎日の診察で1日のうちに複数の人が陽性になることも多くなってきました。学級閉鎖になったという声も親御さんから聞かれます。例年通り、感染者は増えてくるだろうという感じです」
―――インフルエンザ・新型コロナ・マイコプラズマ肺炎の今年10月からの定点あたりの報告数を示したグラフをみると、新型コロナは減少傾向にありましたが、11月の途中からまた少し増え始めています。マイコプラズマ肺炎やインフルエンザは10月からですとゆっくり増えている状況ですね。
「インフルエンザと新型コロナは去年とトレンドが似ています。新型コロナはこれから上がっていくだろうというふうに思います。また、インフルエンザもこの1~2週間で出てきて、こうなってくると、ぐっと上がるのは例年のことですので、この2つは上がるだろうなと。マイコプラズマ肺炎は今までで一番、感染者の数が多いです。そのため、ここから下がってくるのか、もう少し上がるのかっていうところですね」
「3つの感染症について、基本的には対策は一緒です。感染経路としては、話している際の唾とか咳やくしゃみからうつる飛沫感染ですね。ただ、感染力はそれぞれ違って、一番強いのが新型コロナ、その次にインフルエンザ、そしてマイコプラズマ肺炎。マイコプラズマ肺炎に関しては感染力はそこまで強くないと言われています。感染が爆発的に増えていくということはまず考えにくいということになります」
予防策は?クリニックではどんな検査をする?
―――インフルエンザや新型コロナはワクチンがありますが、マイコプラズマ肺炎はワクチンがないようですね?
「マイコプラズマ肺炎に関しては、予防のためのワクチンがないです。また、一度感染するとそのタイプには感染しにくくなりますが、マイコプラズマ肺炎にはたくさんのタイプがあるため、翌年も感染する可能性はあります。このように、なかなか厄介なのがマイコプラズマ肺炎です。ただ、ひとつ注意してほしいのは、マイコプラズマ肺炎の“手前”のマイコプラズマ気管支炎の状態で治る人も多いので、全員が重症化するわけではない。軽症のまま終わる人もいます」
―――「風邪かな?」と思ったら、クリニックに行く人が多いと思いますが、どんな検査をするのでしょうか?
「インフルエンザと新型コロナは同時に検査することが多いです。鼻の奥を綿棒でこすり取り、それを検査をして、10分~15分で結果が出る。マイコプラズマ肺炎の検査も実は似たような検査で、鼻もしくは口から喉の奥をこすり取り、それを抗原検査キットで検査して15分程度で結果が出る。精密なものは結果に2~3日かかります。クリニックとしては、発熱していれば、今も電話をしてから来ていただけると大変ありがたいという状況です。新型コロナの感染力は強く、待合室で飛沫が飛んでしまって他人に感染させてしまうのはよくない。待機室を作っているクリニックなども多いですから、できればお電話していただいて、来ていただく方がありがたいですね」
―――現在、薬不足が深刻なようで、非常に気になるところです。
「風邪・インフルエンザ・新型コロナ・マイコプラズマ肺炎の薬に限らず、現在、医療の中で薬が慢性的に不足しているような状況です。ジェネリックの問題とか、薬価が下がっているという問題で企業が撤退するとか、そういうことからくる薬不足があります。3つの感染症の中でいうと、マイコプラズマ肺炎に対する小児の薬が一部不足しているので、供給が滞っている状態になっています。ここは非常に我々としても深刻な問題です。感染症に限らず、薬不足というのは非常に問題となっております」
―――最後に、改めて予防策をお願いします。
「今まで通り、手洗いをしていただく。今の季節は湿度が下がってきますので、湿度を上げるように加湿器を使う。また、大人数が集まる場所や症状がある人と話をするときはマスクをしたり換気をしたり、今まで通りの対策をしっかりとやっていただくということが重要かと思います」
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