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『先生を信頼していたのに...』担任から性加害を受けた支援学校の生徒が涙の訴え 「怖かった」「誰も助けてくれなかった」防げなかった学校側にも不信感

MBSニュース / 2024年12月12日 11時32分

 重度の知的障がいがある特別支援学校高等部3年生のAさん。担任だった講師の男(25)から学校内などでわいせつ行為や性的暴行を受けました。「怖かった」「誰も助けてくれなかった」涙ながらに訴えます。

「死にたかった」信頼する担任から性被害 通学できなくなる

 「しんどいし、死にたかった。つらかった」

 悲痛な胸の内を明かすのは、大阪府内にある特別支援学校の高等部3年生、Aさん。重い知的障がいがあり、知能は小学校低学年程度だと診断されている。Aさんは半年前から学校に通えていない。原因は担任から受けた「性被害」だ。

 担任だった上野翔太被告(25)。Aさんが高等部2年生のときから担任を務め、「優しく明るい先生」として慕っていたという。

 (Aさん)「先生として信頼していました。安心できる先生だから、話したら楽になる」

学校でも体育館でわいせつな行為を受ける

 ところが今年、Aさんが3年生になりSNSでやり取りをするようになると、生徒に対するものとは思えない言葉が送られてくるようになった。

 【上野被告からのメッセージ】
 『先生の家泊まりにきた方が早いんじゃない?笑』
 『明日おいでよ笑笑』

 そして今年5月、Aさんは上野被告から体育館で下半身を触られるなど、複数回にわたってわいせつな行為を受けた。さらに今年6月には大阪市内のホテルで性的暴行を加えられた。

 Aさんが被害を綴ったノートには、次のような記述がある。

 『ホテルを出る前、私に避妊具を渡しながら「体育館か修学旅行でできるかも」って言ってきた。断ったら叩かれるかもしれなくて、怖くて、本当は気持ち悪くて嫌だった』

 (Aさん)「嫌そうなしぐさをしたときに(上野被告が)目の前でドアをバンって閉めたり…。(拒否して)怒られるのが怖かった」

父親の訴えを受け逮捕 被告「好意を抱かれている自覚あった」

 Aさんは生まれてすぐに臓器移植手術を受けていて、今も拒絶反応を抑える免疫抑制剤を飲んでいるため、免疫力が著しく低い。Aさんはホテルでの性的暴行が原因で喉に炎症を起こして呼吸困難に陥り、一時、意識不明となった。Aさんの父親(48)は、病院で目を覚ました時の娘の様子が忘れられない。

 (Aさんの父親)「本人の様子がもう本当に泣きじゃくって、取り乱していた。『怖い怖い』っていうような異様な状況になって、どうしたのかなっていうことで本人から話を聞き出しました。『性被害を受けた』っていうことを本人の口から聞いたことで発覚しました」

 父親の訴えを受け、警察は今年7月に上野被告を逮捕。大阪府教育委員会は上野被告を懲戒免職処分とした。そして今年10月、大阪地裁堺支部で開かれた初公判。Aさんに対する不同意わいせつ罪や不同意性交罪に問われた上野被告は起訴内容を認めた上で、犯行に至った理由をこう述べた。

 (上野翔太被告)「好意を抱かれているという自覚があった。性交ができる関係だということに舞い上がった」

 上野被告は学校でのやり取りやSNSでの会話から、Aさんから「好意」を感じ、その「好意」を性行為ができる関係だと思い込んだと話した。

 性被害者の支援を行う「NPO法人しあわせなみだ」の中野宏美理事は、今回の犯行は一般的にも当然許されない上、知能が小学校低学年程度のAさんへの対応は支援学校の教育者としてありえないと非難する。

 (NPO法人しあわせなみだ 中野宏美理事)「(Aさんの)知的レベルを考えたときに、小学校低学年ということを考えると、その『好き』というところには、恋愛であったり性的な意図はないということは容易に想像ができるのでは」

「距離が近かったのをほかの先生も知ってるはずなのに…」学校側に不信感

 また、裁判では、上野被告が同僚の教員らからAさんとの距離感が近いことについて複数回注意を受けていたことも明らかになった。Aさんは上野被告の犯行を止められなかった学校側にも裏切られたと感じている。

 (Aさん)「怖かったし、上野先生と距離が近かったのをほかの先生も知ってるはずなのに、誰も助けてくれなかった」

 障がいのある生徒を守るべき担任の犯行について、支援学校はどう考えているのか。校長がMBSの取材に応じた。

 (支援学校の校長)「教員としての資質に著しく欠けることですので、断じて許せない、このひとことに尽きます。教員の認識・資質向上につながるような研修を設けてきたいと考えています」

 一方で、他の教員らが上野被告とAさんの距離感に懸念を感じながら事件を防げなかったことについては…

 (支援学校の校長)「(Aさんと上野被告の)距離感についてはやはり課題がありましたので、周りの教員が注意しておったと考えています。学校全体としてなぜ防げなかったのか、そこの重みを受けとめて検証結果を今待っているところです」

 専門家も交えて原因の究明と再発防止策の検討を進めるとしている。

「安心できる環境が戻ったら学校に戻りたい」

 担任から性被害を受けた高等部3年生のAさん。支援学校やほかの先生も信じられなくなり、卒業が3か月後に迫る今も、登校ができていない。

 (Aさん)「安心できる環境が戻ったら学校に戻りたい。友達に会いたい」

 生徒を深く傷つけた担任による卑劣な性加害。犯行を防げなかった学校の責任も、また重い。

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