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100億円超の黒字だった「大阪万博」「愛・地球博」...予算膨張や規模縮小を乗り越えた成功のカギは?当時のキーマンたちを取材「値段を値切るのは常につきまとっていた」【大阪・関西万博まで3か月】

MBSニュース / 2025年1月8日 11時36分

 開幕まであと約3か月と迫った大阪・関西万博。会場建設費の増大などで厳しい声も聞かれる中、過去の万博を振り返り『成功のカギ』を探りました。

『万博を成功させよう』機運に満ちていた1970年「大阪万博」

 大阪万博が開幕したのは、55年前の1970年3月でした。当時の新聞のテレビ欄を見ると、大阪万博の開幕に合わせ、民放全局が特別番組『幕ひらく日本万国博』を共同制作したのです。

 【幕ひらく日本万国博より】
 (総合司会 黛敏郎さん)「ここで試しにテレビのチャンネルを他のところに回してみていただけますか?NHK以外はどのチャンネルからも私の顔が映るはずです」

 民放全局をあげての見どころ紹介。当時の興奮ぶりが伝わってきます。番組に携わった毎日放送の当時の報道部長は…

 (元毎日放送報道部長 北野栄三さん)「今から始まる万博のこれでとにかく一番面白い部分を、どう見たらいいかっていうことがわかる番組にしようと。規模から考えて、一緒にやろうかという話が(民放で)ほぼ自然に生まれたと思います」

 当時民放全局と博覧会協会が協力し、共に万博を成功させようという機運があったといいます。

 (元毎日放送報道部長 北野栄三さん)「報道部長会が博覧会協会内部の会議に出席して意見を言う。そういうことはありましたね。協会はそれを聞いたら、ちゃんとそのとおりやってくれた」

目玉「月の石」を求めた人々がすし詰め状態に

 大阪万博では、ワイヤレステレホンの体験や人間洗濯機など、最新技術がズラリ。最大の目玉は、アメリカ館の月の石。一目見ようと訪れた人々でまさにすし詰め状態となりました。

 (月の石を見た少年)「変な形をしていて、色が金色みたいだった。とても僕欲しくなっちゃった」
 (月の石を見た少年)「上にあったでしょ?全然小さくてわからない。前からいいなと思っていた、ここに来るまでは。1回見てみるとあかんわ。大したことない」

 海外グルメも大集結。こんな呼び込みも。

 「とてもおいしいインドカレー、あまり辛くないインドカレー。あなたのためのインドカレー。はいどーぞ!」

 タイからは16頭のゾウが来日。まさかの、ゾウと人間の綱引きには会場が大いに沸きました。

成功の裏には“市民団体”の尽力があった

 国や企業が個性を競ったパビリオン。その数、116。岡本太郎さんがプロデューサーとなりテーマ館として作られた太陽の塔。その地下には、世界中から仮面と神々の像を集めた一大展示が。

 展示成功の陰に、「万国博を考える会」という市民団体の尽力がありました。この市民団体は、作家の小松左京さんや文化人類学者の梅棹忠夫さんらが中心となり、第三者的な立場でありながら万博の理念づくりやテーマ展示に関わったのです。

 当時、市民団体のメンバーだった石毛直道さんは…

 (万国博を考える会メンバー 石毛直道さん)「(当初市民団体は)万博について考える唯一の機関だった。“人類の進歩と調和”を日本で開く万博の基本理念にしましょうと」

 市民団体が作った地下展示の予算管理表を見ると、彼らが中南米からヨーロッパ、アフリカとまさに世界を駆け巡り、仮面などの収集にあたったことがわかります。経費削減のため、立場にかかわらず、飛行機はすべてエコノミークラスでした。

 (万国博を考える会メンバー 石毛直道さん)「使える予算が決まっていて、値段を値切るのはいつもつきまとっていました。それでいろいろ安くした」

 石毛さんが収集した展示物の一部は、万博記念公園内にある民族学博物館で、いまも見ることができます。

 (万国博を考える会メンバー 石毛直道さん)「これはですね、ニューヘブリデス諸島の太鼓です。割れ目があって中は空洞。これを木の棒でたたくんです」

 やはり予算が膨れ上がった55年前の大阪万博。しかし、市民団体が収集した展示の人気に加え、海外旅行が一般的でなかったこともあり、想定をはるかに超える約6400万人が来場。194億円あまりの黒字で幕を閉じたのです。

2005年「愛・地球博」 規模を縮小するも約130億円の黒字

 その35年後の2005年に開催された、愛・地球博。

 目玉は800万人が見た冷凍マンモス!

 (愛・地球博 中村利雄事務総長)「最初に見たときは、リアルで物悲しげで」

 残念ながら鼻はかけていましたが…

 (愛・地球博 中村利雄事務総長)「(愛・地球博 博覧会協会会長の)豊田章一郎名誉会長に写真を持ってすぐ報告に行ったら、『ハナがなくてはハナしにならんじゃないか』とおしかりを受けた。笑っておられたので、これはマルだなと」

 マンモスを発見できる確率はわずか20%と言われていましたが、目玉展示にしようと、ロシアへの調査団派遣にかけたのです。

 一方で、目標入場者数を低く見積もり、会場も建設費を約350億円減らして、規模を縮小しました。

 (愛・地球博 中村利雄事務総長)「最初のときは相当広い敷地を想定していた。私からすれば体に合わせて着物を作るんじゃなくて、着物に合わせて体が縮小しなきゃいけない。なかなか厳しい状況にあった」

 しかし、ふたを開けてみれば、マンモスによる集客や、コストカットが功を奏し、約130億円の黒字となったのです。

大阪・関西万博は“膨れ上がる予算”に厳しい声も…『魅力を届けるため必死で努力』

 では、今年4月に開幕する大阪・関西万博はどうなるのか?会場建設費は2350億円で当初の1.9倍に膨れ上がっていて、厳しい声も聞かれます。

 (大阪・関西万博 石毛博行事務総長)「人手不足と物価上昇というようなことで。引き上げずにできれば一番いいんですけれども。それ(引き上げ)以外の選択はなかったのではないかと」

 さらに目玉とされた空飛ぶクルマは、デモフライトのみで来場者は乗れず。新たな目玉として火星の石の展示を発表するも、前売り券の販売は目標の半分ほどとふるいませんが…

 (大阪・関西万博 石毛博行事務総長)「今いろんなコンテンツイベントが出されていますが、それを見ていけばものすごく魅力的な内容になっていると思います。(魅力を)届けられるように今必死になって努力をしているところです」

“令和の万博”は過去の成功例に続けるか?

 石毛事務総長は過去の万博から、さまざまなことを学び、生かしていると話します。

 (大阪・関西万博 石毛博行事務総長)「70年大阪万博のときに、プロデューサーという仕組みを導入して、テーマ事業の取り組みというものをやってきた。会場デザインについては藤本壮介さん。テーマ事業についてはプロデューサーが中心になってこの万博を作り上げるという考え方は、学ばせていただいて採用した」

 3か月後に迫った、令和の万博。過去の成功例に続くことはできるでしょうか?

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