【人気の"尖ったスキー場"】ゲレンデまでエレベーター!?毎年最新のレンタルウェアに"山価格"じゃないグルメ! 投資惜しまずニーズ追求する「グランスノー奥伊吹」
MBSニュース / 2025年1月8日 19時27分
スノースポーツ人口が減少する中、全国的な雪不足の年を除き、入場者数が右肩上がりの「グランスノー奥伊吹」(滋賀県米原市)。去年は過去最高を記録したとのことですが…徹底しているのは、「利用客の満足」の追求、そして、そのために惜しまない「投資」だと言います。 「創業から55年目に入るのですが、(来場者増加は)設備投資を継続して行ってきたことにあるのかなと。お客さまから課題をいただき、それをクリアしていくやり方でスキー場を成長させてきましたので」と語るのは、3代目社長・草野丈太さん。人気スキー場の『こだわり』について、MBS山中アナウンサーが聞きました。
【こだわり1 サービス】エスカレーターでゲレンデへ!レンタルウェアは毎年最新!
まずは、サービスです。普通は駐車場からゲレンデまで、スキー板など荷物を持って歩かなくてはなりませんが、駐車場とゲレンデをつなぐ「エスカレーター」が去年導入されたのです。屋根もあり、雪の日でも安心。「(他の場所には)こんなん、ないですわ。助かります」と利用客にも好評のエスカレーターですが、その投資額はなんと約5億円!
さらに、スキーやスノーボードの用具所有率が大きく低下している中、レンタルの充実を徹底。毎年、最新ウェアを揃える投資を惜しみません。古くなったウェアは、ブックオフに販売しているそうです。
(山中アナ)「昔のスキー場のレンタルウェアは、すごく古いものでしたよね」
(草野穣治専務)「今年も(最新モデルを)500着新導入しています」
【こだわり2 雪質】「人工造雪機」導入でサラサラ&フカフカ!
そして雪質にも、こだわりが。最高のコンディションを維持するために取り入れたのは…
(草野穣治専務)「水の霧を吹いて雪をつくる『人工降雪機』を導入していますし、昨シーズンは、雪をつくる『人工造雪機』を新たに8機入れました」
気温が低くなければ使えない「人工降雪機」だけでなく、コンテナの中で氷を作りそれを削りだすことで気温に関係なく良質の雪が作れる「人工造雪機」を導入。そのため今シーズンは、例年よりひと月早い11月にオープン。スキー場の期間を延ばすことで混雑を分散化し、より多くの人に楽しんでもらおうと考えています。
(利用客)
「雪はすごく良いですね。サラサラ。長野県(のスキー場)に行くんですけど、似たような雪質」
「滑りやすかったです。頂上は(雪質も)フカフカで転んでも痛くなかった」
そのお値段は、約12億円!
(草野穣治専務)「大きな経営判断なんですけど、“暖冬小雪”を長期的に見て投資しています」
【こだわり3 グルメ】 “山価格”じゃないお手軽価格!ピザ焼く石窯も
2か所あるレストランにも、「利用客の満足度」を上げる工夫がありました。まず、メニューが豊富。そして、スキー場に「石窯」があるんです!アッツアツのピザ「マルゲリータ(税込み1100円)」が楽しめます。さらに、ステーキが2枚乗った「ごほうびステーキ丼(税込み2200円)」も。価格帯を見ても、ドリンク1杯100円など、いわゆる“山価格”ではありません。
(草野穣治専務)「リゾート価格を撤廃して、おいしく安く食べてもらいたい」
さらに、お客さんの声にこたえ、40分間座席をWEB予約できるサービスを導入。
(草野社長)「『席が取れない、座れない、ご飯が食べれない』という声が多かった。WEB予約(※有料 料金は日により変動)をはじめまして。40分で時間を区切ることで、次のお客さまに気持ちよく使っていただける」
ちなみに、メニューを増やすなど、レストランの改装には、約1億7000万円を投資。こんなに成功しているのなら、さぞ儲かっているのだろうと、社長のご自宅について伺ってみると…
(草野丈太社長)「築230年の、生まれた家に、父と一緒に生活しています。家を建てるくらいなら、スキー場の投資に…」
“全て直営”が成功の秘訣「50年後もスキーができる環境を」
利用客の満足度を上げるうえで一番大きなポイントは、レストランやレンタルショップなど、スキー場施設を全て自社で「直営」していること。
(草野丈太社長)「価格コントロールだったり、サービスの均一化という部分で、クオリティーを施設全体で上げていくことができるので」
グランスノー奥伊吹の成功の要因はこの「直営」にあると、スキー場の立て直しに関わる専門家は言います。
(マックアース 一ノ本達己CEO)「(複数オーナーで)合議で物事をジャッジすると、無難なところに収まる。スピード感もそうですし、尖ったことができなくなります。(誰かが)『そんなことやったら潰れる』みたいな話になる。(直営でないと)経営判断ができなくなる」
スピード感をもって利用客の満足度を高める工夫を重ね、不動の人気を獲得したグランスノー奥伊吹。この先、今よりもっと満足できる体験を提供していくことで、ウインタースポーツが下火の現状を、ゲレンデ側から変えていきたいといいます。
(山中アナ)「今後、億単位の投資は?」
(草野丈太社長)「(今後)3年で20億の投資を予定しています。温暖化とか少子化とか、日本全体にもいろんな課題がある。自分たちから少しずつ改善していって、50年後もこの地域でスキーができる環境を残すことを目標にしています」
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