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【初任給30万円時代】大企業で賃上げの動き...一方で中小企業との「格差」はより拡大 学生は給料以外に何が大事?価値観に変化「転勤はないほうがいい」「配属先は先に知りたい」

MBSニュース / 2025年1月16日 14時48分

 全国で倒産した企業の数が3年連続で前年を上回り、去年は1万件を超えたことが、1月14日に発表されました。そんな中、企業の人材獲得競争が激化し、大手企業の間では新卒の「初任給引き上げ」が加速しています。中には、初任給を30万円とする企業も。こうした動きについて、りそな総研・荒木秀之主席研究員の見解を踏まえつつ解説します。

人手不足・物価高…行き着く原因は「賃金が上がらない」こと!?

 ここ3年間、毎年増えている企業の倒産件数。「2025年はさらに増えるだろう」と、りそな総研の荒木秀之主席研究員は指摘しています。企業の倒産が増える原因は、人手不足と物価高です。

 まず、人手不足の要因としては、以下の3つが挙げられます。

 ▼人口減少が世界最速レベル:2060年には日本の人口は9810万人になると推計されている(※国連「世界人口統計」より) 労働人口は30年で3割減るという試算も
 ▼移民が少ない:受け入れを増やすには円安是正や中小企業への政府の支援が必要との指摘も
 ▼流動性が低い:日本は転職経験がある人の割合が約6割(※Indeed Japanより)で、9割を超えるイギリス・アメリカなどに比べて低い

 そして物価高の問題。原材料や人件費などのコストが上がっているのにもかかわらず、値上げができず、倒産するという会社が増えています。この値上げができない理由を辿ると、行き着くのは「賃上げができていない」ことのようです。

 賃金が上がれば物価が上がっても消費が増えますが、賃金が上がらなければ消費が進まなくなるため、値上げができなくなります。つまり、人材を確保するためにも、値上げするためにも賃上げは重要となってきます。

初任給41万円の会社も 大企業で「初任給引き上げ」の動き

 そうした中、大企業を中心に、すでに初任給30万円超を表明している会社があります(以下は一例)。

 三井物産:32万円
 三井住友銀行:30万円
 大成建設:30万円
 カプコン:30万円

 また、ユニクロを展開するファーストリテイリングでは、初任給を30万円→33万円に引き上げるだけでなく年収も500万円超へ上げる動きも。東京海上日動火災保険は、条件はあるものの初任給を最大41万円に引き上げます。

「中小企業との格差」「上の世代の働く意欲が下がる」

 一方、こうした動きによって、大企業と中小企業の“賃金格差”が広がるという点も。中小企業は賃上げできない・人手不足と苦しい状況ですが、日本の全企業の99.7%は中小企業で、全従業員のうち中小企業で働く人の割合は69.7%を占めます(※総務省より・2021年)。

 また、大企業の中でも、若手の給料が高いと上の世代のやる気がなくなるといった“ねじれ”が発生します。

 そこで必要となってくるのが、「人事制度全体の見直し」です。

 りそな総研・荒木主席研究員によりますと、日本の会社が取り入れてきた『年功序列』は悪い面ばかりではなく、長年の勤務による“目に見えないスキル”が年々ついてきて、組織に貢献することもあるといいます。そこで、年功序列と成果主義を組み合わせた日本独自の“ハイブリッド(組み合わせ)制度”が必要なのではないかということです。

今の学生はお金だけじゃない!

 そうした中、学生の価値観にも変化が生じています。

 今の大学生が初任給以外に大事にしているもの、それは「残業や転勤はないほうがいい」「テレワークはあるほうがいい」「配属先は先に知りたい」だということです。

 学生の価値観が変わった背景にあるのは“失われた30年”だと荒木主席研究員は指摘します。今の若者は生まれたときから不景気で、以下のように考える人が多いということです。

 ▼将来に夢を持たない(持てない)
 ▼働くことのウエイトが高くない
 ▼人生のコストを意識しプライベートを重視

 こうした意識・価値観は、働き始めて変化することもあるということですが、人材を集めるのが年々大変になる中、どうすれば人が集まるのか、企業側もさまざまな面から考えていく必要がありそうです。

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