【フジテレビ】相次ぐCM差し替え...スポンサーの動きは今後どうなる? 調査のポイントは「女性が調査に協力しやすい体制をフジ側が作れるか」【中居正広さんの女性トラブル】
MBSニュース / 2025年1月21日 12時35分
中居正広さんの女性トラブルをめぐり、1月17日に会見を行ったフジテレビ。トヨタ自動車やNTT東日本などの企業がCMを見合わせる異例の展開となっています。 今後、果たして、透明性・独立性が確保された調査は行われるのでしょうか。どのような点が調査のポイントになるのか、エンターテインメント法務の第一人者で、芸能界における法律問題に詳しい河西邦剛弁護士に聞きました。
女性トラブルの余波…CMの差し替えなど相次ぐ
―――フジテレビへのCMの差し替えが相次いでいます。各スポンサー企業の対応は、今後どうなっていきそうですか?
「(各スポンサー企業の)株主が、『透明性が疑われるようなフジテレビにスポンサーを出す企業の株主をやりたくない』となってしまっている可能性があります。それを見越して各社が今、離れていっている流れがある。これが続いていく可能性はあり得るかなと思います」
―――17日のフジテレビの会見では、2023年6月にトラブルを認識していて、中居さんから“女性と問題が起きている”と連絡があったという話がありました。トラブルについて社員の関与は否定しています。また、『性的接触をさせることが常態化していた』という週刊誌の報道について問われると、「調査委員会に委ねる」コメント。河西弁護士は今回の会見についてどんな印象をお持ちでしょうか?
「なぜこのタイミングで会見を開かれたか、ということなんですね。これについては、ダルトン・インベストメンツというアメリカの大株主が第三者委員会の設立を要求してきたことに対するレスポンスとして、このタイミングで開かれたのかと思います。今回、外資系のスポンサーが書簡をフジ・メディア・ホールディングスの取締役会に送りました。取締役会を構成するメンバーとしては、大株主からの要求なので、何も反応せずに無視すること静観することは難しくて、何らかのレスポンスをしないといけない。そのため、このタイミングの記者会見だったと思います」
「また、2023年6月から(フジテレビはトラブルを)把握しながら番組(『だれかtoなかい』)を継続したことについて、2つポイントがあるかと思います。1つは、この番組継続について、女性側の意思を尊重したかどうか。もう1つは中居さんへの聞き取り。ここについて女性側がそれを求めたのか、それともやめてくださいって言ったのか。この辺りについて女性側が当時何と言っていたのかということが今後の調査の対象になってくるかなと思います」
日弁連の『第三者委員会』とフジテレビの『第三者の弁護士を中心とする調査委員会』の違いは
―――会見前の1月14日、フジテレビの親会社の大株主であるダルトン・インベストメンツらが日本弁護士連合会のガイドラインに基づいた『第三者委員会』の設立を要求しました。このガイドラインに定められている第三者委員会というのは『委員数は3人以上が原則 企業と利害関係を有する者は就任できない』『企業等が所有するあらゆる資料・情報・社員へのアクセスを保障すること』『ステークホルダー(利害関係者)に対する説明責任を果たす目的で設置』ということです。一方で、17日の会見では、日弁連のガイドラインに基づいた第三者委員会かどうかは明言せず、「第三者の弁護士を中心とする調査委員会」という言い方でした。そのため、利害関係のある人も可能なのでしょうか。日弁連の第三者委員会とフジテレビの言う「第三者の弁護士を中心とする調査委員会」は、似て非なるものというふうに思われますか?
「一番の違いというのは、この調査結果の発表の仕方になってきます。日弁連のガイドラインというのは、非常に独立性が保障されています。第三者委員会で役員等に調査し、事実認定をしていき、原因の分析をし、それを文章にまとめて公表する。ポイントは、公表するときまで経営者陣には見せないということです。これが大きなポイント。つまり、調査内容について現経営者陣が横槍を入れることが難しいのが第三者委員会です。これをダルトン・インベストメンツらは強く求めていたというところですね」
「独立性については、フジテレビも記者会見で、独立性・専門性の高い弁護士を調査の委員にしていくという話はしていますので、この点については大きな差はないかなというところになってきますが、いずれにしても今回は、透明性であったりとか、独立性という観点からは、どの弁護士が中心になっていくのかというのは、かなりポイントになってきます。場合によっては、フジテレビと従前に何らかの関係性がある弁護士であったりとか、透明性が疑われるような弁護士だとするならば、後々に週刊誌が『過去にこのような繋がりがありました』という報道をすることもありうるため、いずれにしても、かなり独立性の強い、従前に関係のない弁護士に依頼していくことがポイントになってくるかなと思います」
今後の調査ポイント “守秘義務の解除”が調査のカギ?
―――また、今後の調査について、「フジテレビ側は女性が協力しやすい体制を作ること」が重要のようですね?
「今回の事案は大きく2つのポイントがあります。1つが2023年6月に起こった中居さんと女性とのトラブル。もう1つが女性アナウンサーを接待として加えることが常態化していたんじゃないかということ。中居さんのトラブルについては、女性側が話をしてくれないと調査委員会も内容がわからないという可能性があります。女性側は週刊誌の取材に対して『フジテレビを許していません』というふうにお答えしています。そうなると、フジテレビの調査委員会では『私は協力できない』となる可能性がありますね。一方、第三者委員会で独立性が担保されているならば、『私もできる範囲内で協力ができますよ』となる可能性があるかと思います。そういう意味から、第三者委員会という独立性を担保した機関を作ることが、協力しやすい体制かなと思います」
―――「中居さん側に守秘義務を残したまま女性側だけ守秘義務を解除することは法律上可能」ということですが、これはどういう意味でしょうか?
「中居さんと女性側とで結んだ示談というのは、週刊誌報道がないことを前提とした示談です。その中に口外禁止(守秘義務)条項があるというところになってきます。(各所で報道された)今のタイミングにおいてはもう状況が変わったので、守秘義務の範囲を変えていくであったりとか、場合によっては、あくまでもこれは合意に基づいた守秘義務条項になってきますので、女性側だけ守秘義務を外すとか、そういったことはできるようになってきますね」
―――週刊誌報道があり、広く報道されるようになったという前提で、また違うことも考えられるということでしょうか?
「そうです。新たに、女性側の弁護士と中居さん側の弁護士で交渉していき、示談をしたときではなくこの現状に即してどういう発表するのか、どういうことについては絶対言わないようにするのかと。ここについては、世の中との関係においても調査委員会との関係においても重要になってくるかなと思います」
◎河西邦剛:弁護士 エンターテインメント法務の第一人者 芸能界における法律問題に詳しい
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