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山あいの"1億円トイレ"に村民が憤り「あの規模でこの値段はおかしい」...なぜ作った?村長に聞くと「村の良さをアピールする狙い。特別に高かったとは思わない」

MBSニュース / 2025年2月4日 12時48分

 奈良県の山あいに設置されている公衆トイレ。驚くのは建設にかかった費用で、なんと約1億円です。住民からは「これが1億円?」「高額すぎる」と憤りの声が上がっています。

「みんな『1億円トイレ』と言っています」約1年前に完成の公衆トイレが“物議”

 奈良県東部、三重県との県境にある御杖(みつえ)村。人口1300人あまりの小さな村です。

 閑静な山あいの国道沿いに物議をかもしている建物があります。去年2月に完成した村の公衆トイレです。男女の個室トイレが1台ずつ。バリアフリー対応で、オムツの交換台も設置されています。一見、普通の公衆トイレに見えますが、“問題”となっているのはその建設費用です。

 (村民)「そんなにお金をかけますかね、トイレに」
 (村民)「みんな『1億円トイレ』と言っています」

 このトイレ、かかった費用は駐車場の整備なども含め約9500万円で、一部の村民からは『1億円トイレ』と揶揄されています。

 道路を挟んで隣にはくみ取り式の古いトイレがありましたが、村は新たに作ることにしました。費用は10年かけて返済する「過疎債」で賄い、その7割は国からの地方交付税で補い、3割は村が負担します。一部の住民は「高すぎる」と抗議を続けています。

 (村民)「あの規模でこの値段というのはちょっとおかしい。これが1億円近くもするかと」
 (村民)「『ドブにお金を捨てた』と言ったら言い過ぎなんですが、もっと観光施設の充実を図るほうが有意義にお金を使ってもらえたのではないかなと」

村長に聞くと…“村の良さのアピール”が狙い

 完成後も非難の声が上がるトイレ。なぜそこまでして作ったのか、村長に聞いてみました。

 (御杖村 伊藤収宜村長)「『伊勢本街道』という旧道があるんですが、これがちょうど(村内では)西の入り口、このトイレを設置した場所から始まるんですね。御杖の良さをアピールする、また、休憩してもらって村の中を楽しんで散策してもらえるようにと」

 村の東西に走る伊勢本街道。奈良県と三重県の伊勢神宮を結ぶ街道です。トイレは街道沿いの御杖村の西の入口に設置されました。トイレの利用者に村をアピールする狙いがあり、観光スポットを紹介するパンフレットが置かれています。

利用者の声「ありがたい」 一方で「1個ずつしかないの?」

 では、トイレの利用者はどれくらいいるのでしょうか。取材した平日の昼間には、村民や旅行者など、1時間で10人ほど利用し、駐車場には多くの車が止まる時間もありました。

 (鳥取県から伊勢へ旅行する人)「山道なのでどこにトイレがあるかわからないけれども、通り道の見やすいところにあったので、(トイレが)あってよかったです」

 中には、旅行会社の添乗員の姿も。伊勢本街道を歩くツアーを企画しているといいます。

 (ツアーガイド)「伊勢本街道を歩くには途中トイレがないので。今も下見をしていて、ここのトイレを利用させてもらおうかと思って」
 (添乗員)「山の中はきれいなトイレが少ないので、ありがたいと思いますね」

 2月のツアー実施に向けて、休憩場所を探しているといいます。一方、気になることもあるようです。

 (ツアーガイド)「トイレは1個ずつしかないの?30人くらい来るから、できたらもう少し3つくらいあったら…。男子も時間かかるな」
 (添乗員)「そうですね。見てしまったらみんな行きたくなりますもんね」

 確かに、この場所にトイレのニーズはあるようです。

周辺のトイレよりもはるかに高額…なぜ?

 ただ、“問題のトイレ”から車で少し走ってみると、1.7kmほど離れたところに別のトイレがありました。御杖村と隣の曽爾村の伊勢本街道周辺には、問題のトイレとは別に5か所のトイレが設置されています。その費用はというと、最も近い曽爾村のトイレは約20年前(2004年度)に作られたものですが、1170万円ほど。御杖村の東側にあるトイレは2011年に整備され、駐車場もあわせて約2000万円でした。

 問題のトイレは費用に用地の取得費約700万円や駐車場やベンチなどの整備費1600万円なども含んでいますが、それでもなぜ、トータル約1億円という高額になったのでしょうか。

 (御杖村 伊藤収宜村長)「村の木材を使いたい、県産材を使いたいということで設計させていただいています。使った材料・コンセプト、そういうところからいきますと、『特別に高かった』というように思っているわけではございません」

 地元木材をPRしようと、奈良県産のヒノキなどを使うことにこだわったためで、物価や人件費の高騰の影響もあり、村長は「価格は適切だ」と強調しました。一方の村民は…

 (村民)「やっぱり1億円弱っていうのはどうしても僕ら住民として納得できる金額ではないんですわ」

 奈良の山あいに作られた『1億円トイレ』。その費用が妥当かどうか、村と村民で言い分は分かれたままです。

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