"チカイジュウ"で叶えた憧れの山暮らしは驚きの連続！？厳しい現実の中でもたくましく育つ子どもたちとそれを支える家【住人十色】

舞台は静岡県静岡市。近い田舎に移住して叶えた、憧れの山暮らしと山小屋風の家を紹介する。

メインスペースのほとんどは土足ＯＫ！？

住人（アルジ）は、２人の子どもがいる４人家族。６年前、オクシズ（奥静岡）と呼ばれる山間のエリアに新居を構えた。一家が暮らす場所は、市街地から車で３０分ほどの距離ながら、林業が盛んで静岡茶の産地でもある自然豊かな地域。家はそんな環境に溶け込むような山小屋風の佇まいで、新築でも周囲に馴染むようにと、外壁の杉板に自然成分の保護材「ウッドロングエコ」を塗装。新築当初から経年変化したような風合いに仕上げている。

家の中も木の質感にあふれ、１階の１５帖のメインスペースは明るく開放的。実は、小上がりになったリビング以外は杉材の板土間で、ほぼ土足で生活できるようになっている。土間なので、畑仕事の途中でも靴のまま家に出入りが可能。板土間は掃除が大変そうだが、硬い三和土（たたき）土間よりもクッション性があり、人や愛犬の足への負担も軽減できるという。

“チカイジュウ”のきっかけは「丁寧な暮らし」

自然豊かなオクシズで暮らすきっかけは、独身時代、出版社に勤めていた妻が取材でこの土地を訪れたことだった。山で出会ったおばあちゃんたちの丁寧な暮らしに憧れた妻は、静岡市内の中心部からの移住を決意し、交際していた夫と結婚後、山暮らしを始めた。夫は市内の会社に勤めているが、車で３０分ほどで行けるので、通勤も問題なかったという。そして長女の誕生を機に、新居を計画したのだった。

ところが、念願だった山暮らしは予想外の連続。理想と現実のギャップがいくつもあったそうで・・・？

「お金をかけずに作る」夫流のＤＩＹで低コスト＆使いやすいキッチン

１階のキッチンの床も、靴をはいたまま作業する板土間。新築当初はコストを抑えるため、キッチンにはシンクとカウンターしかなかったが、妻のオーダーを受けた夫が初心者ながらＤＩＹで棚や収納を充実させていったという。山で拾った木材と、ホームセンターで購入した材料を組み合わせてお金をかけずに作るのが、夫流のＤＩＹなのだとか。

そんなカスタマイズされたキッチンには、妻が地元のおばあちゃんから教わったレシピで作った梅干しや漬物が。移住した今では自家製が当たり前になっているそう。

キッチンの外は、食事などができるアウトドアダイニング。屋根に覆われているので、雨が降っても問題ない。地元のおばあちゃんが外の洗面で野菜などを洗う姿に憧れて取り付けたという屋外シンクも完備している。ただ、おばあちゃんと同じように畑で野菜作りを始めたものの、鹿や猿が出没して全滅。収穫は叶わなかったとか。

浴室は眺めを活かし窓をフルオープンに！夫がＤＩＹした遊具は子どもに大人気

また、自然に溶け込む家からの抜群の眺めを最大限活かした場所が、浴室。窓がフルオープンできるようになっていて、全開するとまさに露天風呂のような空間に。風呂に入りながら、明るい時間は周囲の山や緑、夜は満天の星空が望める。

さらに家の中には、５メートルもある竹の登り棒やパイプ管で作ったうんていなど、夫がＤＩＹした数々の遊具がある。雨の日でも遊べるので、子どもたちはいつも大はしゃぎ。中でも長女のお気に入りが２階にある子ども部屋で、夫が収納スペースだったところをＤＩＹした。ロフトのような場所の出入りに使うのは、壁に取り付けたボルダリングの突起やロープ。こうして子どもたちは家のあらゆる場所で遊び回り、たくましく育っている。

理想とのギャップだらけ！厳しくも豊かな自然を楽しむ家

憧れの山暮らしに妻は「快適です。日々、山の豊かさを受け取っているので、本当に幸せに暮らしてます」と話し、夫も「子どもたちが元気に育ってるっていうのが一番かなと思います」と満足する。今では、そんな地域の魅力をより多くの人に知ってもらおうと、都会の親子が自然を体感できる体験会などの取り組みも行っているという。

理想とは違う現実も受け止め、楽しみながら、厳しくも豊かな自然と寄り添う。これからも住人（アルジ）と住まいはそんな五感を震わす暮らしを求めていくのだろう。

（ＭＢＳ『住人十色』２０２５年２月８日放送より　TVerでも放送後１週間配信中）