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【G7秘話】広島サミット直前!7年前の《伊勢志摩》元知事が明かす「県庁に大量のウイルスメール」「フランス大統領一番乗りで必死」

MBSニュース / 2023年5月14日 18時54分

 G7サミット開幕まで秒読み段階に入った広島。首脳会議の会場「グランドプリンスホテル広島」やその周辺には、全国から都道府県警察が集められ、不審者やおかしなものがないか、目を光らせる。安倍元総理の銃撃や、岸田総理に爆発物が投げつけられる事件が発生するなど、警備の重要性はより高まっている。

約7年前の伊勢志摩サミットを経験した鈴木英敬衆院議員(元三重県知事)が指摘するのは、今回の広島が「都市型のサミット」でありながら、会場や訪問予定の場所が「島」である2つの要素が織りなす警備の難しさだ。サミットの"舞台裏"を含め、話を聞いた。

サイバーアタック?三重県庁にメールが急増

伊勢志摩サミットが開かれたのは2016年の5月26,27日。実は5月に入ると、三重県庁には、表からは見えない"ある異変"が起こっていたという。それは県に送られた"メールの量"で、前年の5月に比べ数倍、正確な数字はないが、おそらく5~6倍に増えていたのではないかというのだ。

一体、どこから何の目的でメールが送りつけられてきたのか...当時の三重県知事・鈴木氏は振り返る。「大半がヨーロッパ大陸とか中国とかを経由した『サイバーアタック』みたいなウイルスメールですね」

鈴木氏によると、三重県庁は官邸や外務省とネットでつながっており、県庁がサイバーテロにやられたら全てに影響してしまう。県庁内では「不審なファイル」を開かないなど、職員の訓練を徹底したという。一方で、実際のサミットの警備ではさらなる「衝撃」が待ち構えていた。

突如知らされたオバマ大統領の「広島訪問」...警備が削がれた

伊勢志摩サミットを前にした5月10日、日米両政府からオバマ大統領の広島訪問が正式に発表された。原爆を投下したアメリカの大統領が広島を訪れるのは初めてのことで、歴史的、政治的な意味合いは大きかったが、直前での訪問決定はサミットの当事者からすれば「警備計画の大幅な変更」を余儀なくされる瞬間でもあった。

鈴木氏は「既に配置された47都道府県警察の一部が広島に移動することになったので、一部を剥いで、当初予定の警備をやるってことですから、警備のみなさんは相当大変だったと思う」と述懐した。

さらに広島へ移動するため、警察用に借り上げていた「ホテルや旅館の損失」も補償する必要があり、三重県は補助金を出して財政的な支援を行ったという。今回、広島サミットに出席するバイデン大統領は、国内の債務上限引き上げをめぐる野党との協議という火種を抱え"リモート参加"も取りざたされたが、サミットの前日18日に日米首脳会談のため広島に到着するという。

予想外に一番に着いた仏・オランド大統領

そして、伊勢志摩サミットが始まってからも、想定外の事態に遭遇したという。初日、各国首脳は中部国際空港に専用機で降り立ち、ヘリで会場近くの「志摩スペイン村」の臨時ヘリポートに飛来し、ホテルを経由して伊勢神宮を訪問する予定だったという。

ところが、フランスのオランド大統領が中部国際空港に到着した際は雨模様で、ヘリのフライトが出来ず、伊勢神宮まで2時間半かけて陸路での移動が選択された。これ自体は警備計画でも想定されていたというが、問題はオランド大統領が各国首脳の中で、"一番早く伊勢神宮に到着してしまった"ことだったという。当時は、安倍総理が各国首脳を内宮の入口にかかる宇治橋前で出迎えたのだが、その順番が変わってしまったのだ。

「プロトコル、外交儀礼上ですね、首相から来て次は大統領が来るっていう順番で、かつ首相の中でも、年齢と当選期数の低い人から順番でトルドー(カナダ)が来てから、イタリアのレンツィが来て、最後はメルケル(ドイツ)が来て、オランドが来てオバマが来る順番だった」(鈴木英敬衆院議員)

つまり、オランド大統領は最後から2番目だったのに、早く到着したため待ち時間が発生し、当時外務大臣だった岸田氏が相手をしたのだという。オランド氏は伊勢神宮の訪問者の数を質問したため、急遽その場にいた鈴木氏が「式年遷宮で1400万人、平時は800万人でルーブル美術館とほぼ同じ」と答え、オランド氏の理解を得たそうだ。

広島サミットは都市型のサミットでもあるが、会場のホテルは宇品島という一本の橋でつながった島の先端に位置する。さらに、各国首脳は厳島神社のある宮島訪問も予定されており、その移動の際の警備も大きな課題だ。鈴木氏は「広島という大都市の真ん中を通っていくことにおいて、交通規制、警護ということが我々の場合とちょっと違うと」と指摘した。

安全確保の「最後の砦」は地元住民の目

一方で、伊勢志摩サミットの経験から周辺住民の「目」も警備には大事な役割を果たすという。

「テロ対策パートナーシップといって、住民(三重県)の皆さんに、警備、安全安心確保の協力をしてもらった。つまり、日常との違いや異常を一番わかるのは、地元の人たちです」住民の目も活かしながら"不審なもの"がないのか、細かくチェックしていくことが、安全確保の「最後の砦」でもあるのだろう。

鈴木氏自身は「困難な課題や想定外」もあったが伊勢志摩サミットを成功裏に終わらせることができた経験から、広島サミットへの期待も大きいのだという。

総理を狙った事件が相次ぐなど不安材料は尽きないが、G7広島サミットの舞台で日本の警備力の真価が問われることになる。

毎日放送報道情報局 解説委員 三澤肇

サイバーアタック?三重県庁にメールが急増

 伊勢志摩サミットが開かれたのは2016年の5月26,27日。実は5月に入ると、三重県庁には、表からは見えない“ある異変”が起こっていたという。それは県に送られた“メールの量”で、前年の5月に比べ数倍、正確な数字はないが、おそらく5~6倍に増えていたのではないかというのだ。

一体、どこから何の目的でメールが送りつけられてきたのか…当時の三重県知事・鈴木氏は振り返る。「大半がヨーロッパ大陸とか中国とかを経由した『サイバーアタック』みたいなウイルスメールですね」

 鈴木氏によると、三重県庁は官邸や外務省とネットでつながっており、県庁がサイバーテロにやられたら全てに影響してしまう。県庁内では「不審なファイル」を開かないなど、職員の訓練を徹底したという。一方で、実際のサミットの警備ではさらなる「衝撃」が待ち構えていた。

突如知らされたオバマ大統領の「広島訪問」…警備が削がれた

 伊勢志摩サミットを前にした5月10日、日米両政府からオバマ大統領の広島訪問が正式に発表された。原爆を投下したアメリカの大統領が広島を訪れるのは初めてのことで、歴史的、政治的な意味合いは大きかったが、直前での訪問決定はサミットの当事者からすれば「警備計画の大幅な変更」を余儀なくされる瞬間でもあった。

 鈴木氏は「既に配置された47都道府県警察の一部が広島に移動することになったので、一部を剥いで、当初予定の警備をやるってことですから、警備のみなさんは相当大変だったと思う」と述懐した。

 さらに広島へ移動するため、警察用に借り上げていた「ホテルや旅館の損失」も補償する必要があり、三重県は補助金を出して財政的な支援を行ったという。今回、広島サミットに出席するバイデン大統領は、国内の債務上限引き上げをめぐる野党との協議という火種を抱えており、来日予定に万が一変更があれば、警備計画も影響を受けることになる。

予想外に一番に着いた仏・オランド大統領

 そして、伊勢志摩サミットが始まってからも、想定外の事態に遭遇したという。初日、各国首脳は中部国際空港に専用機で降り立ち、ヘリで会場近くの「志摩スペイン村」の臨時ヘリポートに飛来し、ホテルを経由して伊勢神宮を訪問する予定だったという。

 ところが、フランスのオランド大統領が中部国際空港に到着した際は雨模様で、ヘリのフライトが出来ず、伊勢神宮まで2時間半かけて陸路での移動が選択された。これ自体は警備計画でも想定されていたというが、問題はオランド大統領が各国首脳の中で、“一番早く伊勢神宮に到着してしまった”ことだったという。当時は、安倍総理が各国首脳を内宮の入口にかかる宇治橋前で出迎えたのだが、その順番が変わってしまったのだ。

「プロトコル、外交儀礼上ですね、首相から来て次は大統領が来るっていう順番で、かつ首相の中でも、年齢と当選期数の低い人から順番でトルドー(カナダ)が来てから、イタリアのレンツィが来て、最後はメルケル(ドイツ)が来て、オランドが来てオバマが来る順番だった」(鈴木英敬衆院議員)

 つまり、オランド大統領は最後から2番目だったのに、早く到着したため待ち時間が発生し、当時外務大臣だった岸田氏が相手をしたのだという。オランド氏は伊勢神宮の訪問者の数を質問したため、急遽その場にいた鈴木氏が「式年遷宮で1400万人、平時は800万人でルーブル美術館とほぼ同じ」と答え、オランド氏の理解を得たそうだ。

安全確保の「最後の砦」は地元住民の目

 広島サミットは都市型のサミットでもあるが、会場のホテルは宇品島という一本の橋でつながった島の先端に位置する。さらに、各国首脳は厳島神社のある宮島訪問も予定されており、その移動の際の警備も大きな課題だ。

 鈴木氏は「広島という大都市の真ん中を通っていくことにおいて、交通規制、警護ということが我々の場合とちょっと違うと」と指摘した。一方で、伊勢志摩サミットの経験から周辺住民の「目」も警備には大事な役割を果たすという。

 「テロ対策パートナーシップといって、住民(三重県)の皆さんに、警備、安全安心確保の協力をしてもらった。つまり、日常との違いや異常を一番わかるのは、地元の人たちです」住民の目も活かしながら“不審なもの”がないのか、細かくチェックしていくことが、安全確保の「最後の砦」でもあるのだろう。

鈴木氏自身は「困難な課題や想定外」もあったが伊勢志摩サミットを成功裏に終わらせることができた経験から、広島サミットへの期待も大きいのだという。

総理を狙った事件が相次ぐなど不安材料は尽きないが、G7広島サミットの舞台で日本の警備力の真価が問われることになる。

毎日放送報道情報局 解説委員 三澤肇

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