【男子バレー】石川祐希主将「僕たちが強いことをこの大会で証明できてよかった。まだまだ強くなれる」パリ五輪出場権獲得の日本代表 選手たちが振り返ったスロベニア戦
MBSニュース / 2023年10月9日 11時19分
ストレート勝ちならパリオリンピックへの出場権獲得となる10月7日の「FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023」のスロベニアとの一戦。
序盤からリードを許すもキャプテンが獅子奮迅の活躍を見せて逆転した第1セット
西田有志選手が「気合が入りすぎて固くなってしてしまった」と話したように、立ち上がりは緊張感からか重苦しい空気。ミスが重なって1対6とリードを許します。なおも続くピンチ。ここでキャプテン・石川祐希選手が、ディフェンスが崩された状態から相手の攻撃を一枚でブロック。嫌なムードを断ち切ります。この得点で落ち着きを取り戻した日本は、高橋藍選手が「1点1点取り返していけば、必ず流れが来ると思っていた」と語ったように、小野寺太志選手、高橋健太郎選手のMB陣を中心に効果的なブロックを決めて、じりじりと詰め寄ります。
そして、2点のビハインドで迎えた後半戦、ここから石川選手が獅子奮迅の大活躍を見せます。「この大会、腰(の不安)の影響もあってなかなか調子が上がらなかったが、きょうは納得のいくパフォーマンスを出せた」とコメントしたようように、チームメイトから託されたトスを全て決めきる一気の4連続ポイント。18対16と逆転に成功します。
日本の誇るブロックと守備陣が緻密に連動するディフェンスが機能。つないだボールをエースが得点につなげる本来の形で流れを引き寄せます。セット終盤の重要な場面を託されたのも石川選手。西田選手の強烈なサーブでスロベニアの守備を崩すと、大事な24点目、25点目と決めきって、第1セットを25対21、逆転でものにします。
西田有志選手「チームの勝利に貢献したいという思いが強かった」
![](https://www.mbs.jp/news/column/charm-of-sports/thumb/v_nishida.jpg)
続く第2セットも、序盤は先行を許す苦しい展開。それでも日本は慌てません。今度は、この大会から本来のパワーが復活したもう1人の攻撃の柱である西田選手が流れを引き寄せます。「振り返ってみれば、1年前はバレーのできる状態ではなかった。とにかく練習して、パフォーマンスをあげて、チームの勝利に貢献したいという思いが強かった」と語った西田選手。スーパーレシーブで高橋藍選手の得点を演出すると、強烈なサーブでエースをもぎ取ります。食い下がるスロベニアに対して、要所要所で西田選手の重いスパイクがさく裂。最後も西田選手が強烈なクロスを決めて25対22、このセットも日本が奪いました。
関田誠大選手のスパイク、高橋藍選手のサービスエースで流れをつかみ突き放す
迎えた第3セット。ストレートで勝ち切ればパリオリンピックの出場が決まる場面。日本がこれまで鍛え上げ、強化してきたサーブ、ブロック、セッターの関田誠大選手を中心としたスピード抜群のつなぎのバレーボールが、超満員の観衆を魅了します。一進一退の攻防、ラリーの応酬の中から、セッターの関田選手が自らスパイクを決める離れ業で日本にムードを引き寄せると、「とにかく楽しんでバレーをすることを考えていた。個人的には1、2セットはなかなかチームの波にかみ合わなかったが、第3セットは集中して流れを引き寄せるプレーができた」と語った高橋藍選手がサービスエース。大きなアクションで超満員の観衆の心もわしづかみにします。会場と一体になって、完全に試合の流れをつかんだ日本。このあと一気にスロベニアを突き放します。そして、24点目をラリーの中から石川選手が落ち着いて奪うと、最後は相手のサーブがアウトとなって、25対18でゲームセット。快心のストレート勝ちで、見事、パリオリンピック出場権を獲得しました。
石川祐希選手「パリではメダルをとる。そのためには個人個人の成長が必要」
![](https://www.mbs.jp/news/column/charm-of-sports/thumb/ball.jpg)
エジプト戦のまさかの敗戦から立て直してのパリへの切符。キャプテンの石川選手は「エジプト戦の敗戦で、(本来の)自分たちを見つめなおし、逆に一つになれた。僕たちが強いということを、この大会で証明できてよかった」と振り返りました。
重圧の中、チームをパリへと導いた司令塔の関田選手は「とにかく苦しかった。(今は)非常にうれしい。ここまで決して簡単な道のりでなかったが、(目標を達成できたのは)チームメイトをはじめスタッフや周囲の方々のおかげだと思う」と感謝の言葉を口にしました。
そして、攻守の要として活躍した高橋藍選手は「エジプト戦に敗れた後も勝ち続けることしか考えていなかった。気持ちの強さを出せたと思う。(この)苦しい状況こそ、チームにとっても、自分自身にとっても、成長材料になると信じていた」と常に前を見据えてコートに立ち続けていた心境を語りました。
世界の中で、6チームしかできないOQT(オリンピック予選)での出場権獲得。世界のトップチームの力があることを証明した日本代表。この後の目標を問われたキャプテンでありチームの柱でもある石川選手は「(この大会を)しっかりと勝ち切ることができて、パリでメダルが狙えるチームになった。また一つステージが上がったと思う。パリではメダルをとる。そのためには個人個人の成長が必要。個の能力は上げ続けないといけない。このチームはまだまだ強くなれる」と、さらなる努力をし続けることを誓いました。
チームとしても、個人としても、成長し、加速し続けるバレーボール男子日本代表。これからも、その進化から目が離せません。
(MBSスポーツ解説委員 宮前 徳弘)
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