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【高校野球】東洋大姫路は阪下漣投手が90球完封で17年ぶりの準決勝進出 市和歌山は17安打10得点の猛攻でコールド勝ち ベスト4出揃う【秋季近畿大会】

MBSニュース / 2024年10月28日 20時6分

 来春3月に行われる第97回選抜高校野球大会。その出場校を選考するうえで重要な参考材料となる秋季近畿大会・準々決勝の残り3試合が10月27日に行われ、ベスト4が出揃いました。

東洋大姫路vs大阪学院大高

 センバツ大会の近畿の出場枠は6校(近畿大会の優勝校が明治神宮大会に優勝すれば7校)。勝利すれば甲子園がぐっと近づく重要なベスト8の激突だけに、会場となった兵庫県のほっともっとフィールド神戸には、早朝から大勢の観客がつめかけました。

 第1試合は、1回戦で打線が爆発して京都の龍谷大平安に快勝した東洋大姫路と、粘る京都の北稜を最後の最後で振り切った大阪学院大高の対戦。序盤から、東洋大姫路・阪下漣投手、大阪学院大高・下條晃大投手が持ち味を発揮して緊迫した展開となります。

 先制したのは東洋大姫路。2回、ヒットで出塁した5番・高畑知季選手が下條投手のけん制悪送球で2塁に進むと、この試合でスタメンに抜擢された6番・白鳥翔哉真選手が期待に応えてセンターへのタイムリーヒットを放ち、1点をリードします。

 一方、阪下投手の前に完全に抑え込まれていた大阪学院大高も5回裏、先頭の4番・樋爪信選手がツーベースヒットで出塁。その後、1アウト3塁とチャンスをひろげて得点を狙います。しかし、ピンチになると一段とギアがあがる阪下投手の前に、後続が打ち取られて得点につなげることができません。

 逆に東洋大姫路は6回表、白鳥選手のツーベースを足掛かりに1アウト3塁とチャンスをつくると、8番・渡邊裕太選手が鮮やかなセーフティースクイズを決めて2対0とリードを広げると、さらに1番・渡邊拓雲選手、2番・伏見翔一選手の連続タイムリーで2点を追加し、好投手・下條投手から4点を奪いました。

東洋大姫路の阪下漣投手が緩急を使い分け90球完封 チームをベスト4に導く

 4点のリードでさらにピッチングに余裕が出てきた阪下投手は、打ち気にはやる大阪学院大高打線のタイミングを上手く外す投球で、6回、7回、8回とつけ入るスキを与えません。

 それでも9回、大阪学院大高も勝利への執念を見せます。1アウトから連続ヒットでランナー1塁2塁としてバッターボックスには3番・鶴丸巧磨選手が入ります。しかし、ファーストゴロに倒れて2アウト。続く4番・樋爪選手も打ち散られてゲームセット。大阪勢最後の砦として粘りを見せた大阪学院大高でしたが、東洋大姫路・阪下投手の前に無得点で敗れ去りました。

 阪下投手は、緩急を交えた頭脳的なピッチングで、投球数を90球に抑えて無四球での完封勝ち。チームを17年ぶりの近畿大会ベスト4に導きました。

 大阪学院大高の辻盛英一監督は「1回戦で左の軟投派の投手に苦しんだ分、速球派の阪下投手の方が対応しやすいと思っていたが、阪下投手の投球術にはまってしまった」と振り返りました。それでも「1年生中心のチームだが、この秋本当に大きく成長してくれた。この冬もっともっと鍛えて出直したい」と早くも次を見据えていました。

市和歌山vs立命館宇治 市和歌山打線が破壊力をみせコールドゲームに

 第2試合は、1回戦で兵庫の三田学園に競り勝った和歌山の市和歌山と、粘る奈良を振り切った京都大会王者の立命館宇治の対戦。

 序盤から市和歌山打線が、立命館宇治の先発・道勇壱心投手に襲い掛かります。1回表、いきなりの4連打で2点を先制すると、3回には2アウト3塁のチャンスに6番・川邉謙信選手がレフト線への痛烈なタイムリーツーベースヒット。半田真一監督が「川邉選手は、キャプテンでキャッチャーのチームの中心選手。彼がのるとチーム全体が盛り上がる」と振り返ったように、この一打でさらにチームが加速します。コンパクトな鋭いスイングから強い打球を連発。4回に1点を追加した後、5回には打者一巡の猛攻でさらに4得点、5回までに13安打放って8点を奪います。そして6回、またしても川邉選手が、立命館宇治の3人目・神農雄大投手から「打った瞬間いったと思った」というこの日3打点目となるレフトスタンドへのダメ押しのホームラン。この回、2点を加えて10対0とリードをひろげました。

 守っては、「いつも帽子に書いている笑耐夢(笑って耐えて夢の時間を楽しむ、ショータイム)の気持ちでマウンドに上がっている」と語った土井源二郎投手が、大量点をバックに余裕満点のピッチング。変化球を上手く使って打たせてとる投球で、立命館宇治打線を6回2安打無失点におさえてコールド勝ちに結びつけました。

 立命館宇治の里井祥吾監督が「新しいバット(低反発バット)になって一番打たれた試合。相手の打力がすごかった」と語った市和歌山の打線。強烈な破壊力をみせて、ベスト4進出です。

滋賀学園vs智弁和歌山 序盤は点を取り合う一進一退の展開

 第3試合は、1回戦で大阪桐蔭を撃破した滋賀学園と、神戸学院大付属に勝利した智弁和歌山の対戦。

 1回表、滋賀学園が大阪桐蔭戦の勢いそのままに、ラッキーな形でチャンスをものにします。1アウトから2番・藤川倖生選手、3番・川畑鯉太郎選手の連続ヒットでランナー1塁2塁とすると、4番・秋満大知選手のあたりはサードへのゴロ。ダブルプレーで万事休すかと思われましたが、この打球をサードがトンネル。セカンドランナーがかえって1点を先制します。なおも5番・吉森爽心選手がヒットで続いて、6番・小野心太朗選手がセンターへの犠牲フライ。滋賀学園が智弁和歌山・渡邉颯人投手の立ち上がりを捉えて2点をリードします。

 その裏、智弁和歌山もすぐさま反撃します。滋賀学園の先発・土田悠貴投手から1番・藤田一波選手が粘ってフォアボールを選ぶと、すかさず盗塁。送りバンドで1アウト3塁のチャンスつくります。ここで3番・山下晃平選手がショートへの内野安打を放って1点を返します。

 さらに2回、2アウト2塁のチャンスに、キャプテンの山田希翔選手がセンター前にポトリと落ちるタイムリーヒットを放ち、序盤で2対2の同点に追いつきました。

智弁和歌山・中谷監督「渡邉が我慢してよく立ち直ってくれた」

 智弁和歌山の中谷仁監督が「1回が嫌な形の失点だったが、渡邉が我慢してよく立ち直ってくれた」と振り返ったように、渡邉投手は2回以降はリズムよく丁寧なピッチングで滋賀学園に得点を許しません。

 そして3回、5回と渡邉投手の力投に、打線が粘り強いバッティングでこたえます。3回、2アウトから5番・山田凜虎選手の三遊間をしぶとく破るタイムリーヒットで勝ち越すと、6番・黒川梨大郎選手は、浅めに守っていたセンターの頭上を越えるタイムリーツーベースで2点をリードします。

 さらに5回も2アウトからチャンスをものにします。2アウト1塁3塁の場面で、7番・大谷魁亜選手がライト前へタイムリーヒット。この回途中から登板した滋賀学園のエース・長崎蓮汰投手から8番の渡邉投手自らもタイムリーを放って点差を4にひろげました。

 渡邉投手が「3年生が各ポジションにサポートメンバーやコーチとして入っていただいて、本当にいい練習ができている」と話した智弁和歌山。この後7回にも1点を加えて7対2と粘り強くかつ安定した戦いぶりで、大阪桐蔭を倒して自信をもってこの試合に臨んできた滋賀学園を突き放しました。「この勝利で、3年生の方々に本当にいい報告ができる」、智弁和歌山が難敵を下してセンバツ出場に大きく近づくベスト4進出です。

 近畿大会準々決勝は、10月26日に滋賀短大付属を4対1で下した奈良の天理に続いて、東洋大姫路、市和歌山、智弁和歌山の4校が勝利してベスト4に進出。天理対東洋大姫路、和歌山県勢2校の対決となった準決勝は、11月2日に行われます。

【秋季高校野球近畿大会 準々決勝】
天理(奈良) 4-1 滋賀短大付(滋賀)
東洋大姫路(兵庫) 4-0 大阪学院大高(大阪)
市和歌山(和歌山) 10-0 立命館宇治(京都)※6回コールド
智弁和歌山(和歌山) 7-2 滋賀学園(滋賀)

【準決勝】開催日:11月2日(土) 会場:ほっともっとフィールド神戸
天理(奈良) 対 東洋大姫路(兵庫) 午前10時試合開始
市和歌山(和歌山) 対 智弁和歌山(和歌山) 午後0時30分試合開始(予定)

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