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【高校ラグビー】聖地HANAZONOへ"激戦"の地区大会決勝 三重は41年ぶりの両校優勝 福島は聖光学院が6年ぶりの戴冠 佐賀工が粘る早稲田佐賀を振り切り43大会連続の全国大会へ

MBSニュース / 2024年11月8日 14時25分

 11月に突入して、今年も残すところあと2か月。年末年始に花園ラグビー場(東大阪市)で行われる「全国高校ラグビー大会」の代表校を決定する各地区大会も佳境を迎えてきました。聖地“HANAZONO”へ。1日(金)には沖縄で、2日(土)には福島と佐賀で、3日(日)、4日(月・振休)には石川、長野、富山、福井、三重、島根、千葉でそれぞれ決勝戦が行われて代表校が決定しました。

沖縄大会 長年のライバル「名護」と「コザ」が激突!

 11月1日(金)に行われた沖縄大会決勝は、名護とコザ。長年、沖縄県の高校ラグビーをリードしてきたライバルによる3年連続の顔合わせとなりました。

 前半は、3年連続の全国大会出場を狙う名護が先にペースをつかみます。立ち上がりから一人一人が当たりの強さをみせてしっかり前に出ると、開始3分には、コザのゴールラインまで5m付近のラインアウトからモールをつくって一気に押し込みます。最後はバックス陣も加わって右隅にトライ、ゴールも決めて7点をリードしました。

 一方、FW陣が巧みに絡んでくる名護のディフェンスの前にスピードある攻撃が封じられて、なかなか敵陣に入ることができなったコザ。それでも10分過ぎから風上をいかしたキックを使って、ようやく名護陣内に攻め込みます。しかし、大事なところでミスが出て得点に結びつけることができません。19分には、ゴールまで30m付近からペナルティゴールを狙いますが、惜しくも左に外れてゴールならず。チャンスを逃してしまいます。

 逆に名護は21分、コザのミスを突いて得点に結びつけます。相手ボールのラインアウトをキャッチしたSH石嶺結翔選手が、そのままひとりで20m以上を走り切ってトライ。12対0とリードして前半を折り返しました。

名護・平安山キャプテン「沖縄県勢がまだ成し遂げていないベスト8を目指す」

 後半に入っても名護の勢いはとまりません。コザの懸命の反撃を、規律のとれた分厚いディフェンスで跳ね返すと、風上を生かしたキックを上手く使って敵陣深くに攻め込みます。そして後半6分、ラインアウトからのモールをしっかりと押し込んでトライ。17対0として勝負の流れを決定づけました。

 その後も平均体重で5kg近く上回るFW陣の安定したセットプレーを軸に、最後までコザに主導権を渡さなかった名護。35対0の完勝でコザを下して3年連続22回目の全国大会出場を決めました。

 キャプテンの平安山結丸選手が、「花園では沖縄県勢がまだ成し遂げていないベスト8を目指して、ここからさらに頑張っていきたい」と力強く宣言した名護。今後の進化に注目です。

福島大会 「松韻福島」と「聖光学院」の試合は悪天候の中でも熱戦に

 11月2日(土)、全国的な悪天候の中、福島と佐賀で行われた決勝戦は、厳しいコンディションをものともしない熱戦となりました。

 福島大会決勝は、前回大会に続く2年連続の花園出場を目指す松韻福島と、その松韻福島に前回大会準決勝で5点差で敗れた悔しさを胸に厳しい練習を乗り越えてこの舞台まで勝ち進んできた聖光学院の対戦。

 雨でボールが滑りやすい難しいコンディション。両チームが慎重なゲーム運びを見せる中で、先に仕掛けたのは聖光学院でした。

 前半3分、ラインアウトからのボールを受けたSO越川隆太選手が、ハーフウェイライン付近から思い切って仕掛けます。ディフェンスのギャップをついてうまく裏に抜け出すと、そのまま鮮やかなステップで待ち受けるディフェンスをかわしてトライ。ゴールも決めて7点をリードします。さらに25分、またしてもラインアウトから素早くボールを動かして得点に結びつけます。今度は、一瞬のスピードでディフェンスをかわしたキャプテンのCTB木村倭選手が切れ味抜群の走りを見せて、敵陣10mライン付近から40m近くを一気に走り切りました。ゴールも決めて14対0、前半は持ち味である積極的にボールを動かすラグビーを貫いた聖光学院がリードして折り返します。

聖光学院・木村キャプテン「福島県の選手全員の気持ちを背負って戦ってきたい」

 一方、FW陣の前に出る圧力と一体となったモール攻撃が自慢の松韻福島。後半に入ると、得意のモール攻撃を軸に、何度も聖光学院陣内深くまで攻め込みます。しかし、聖光学院の粘り強いディフェンスの前に、大事なところでミスが出てなかなか得点につなげることができません。試合終了間際にも、20m以上モールを押し込んでこだわってきた形からのトライを狙いますが、聖光学院のゴールライン直前で痛恨の反則。絶好のチャンスを逃してしまいました。

 ピンチをしのいだ聖光学院が、この後ボールを蹴り出してノーサイド。最後まで集中力を切らさず、松韻福島の執拗なモール攻撃をしのぎ切った聖光学院が14対0で逃げ切って、6年ぶり2回目の花園への切符を手にしました。

 試合後「(花園では)福島県の選手全員の気持ちを背負って戦ってきたい」と語った聖光学院の木村キャプテン。松韻福島の想いも胸に聖地での戦いに挑みます。

佐賀大会 “圧倒的な強さ”誇る「佐賀工」と年々進化の「早稲田佐賀」

 佐賀県大会決勝は、43大会連続53回目の出場を狙う佐賀工と赤黒のジャージに身を包んだ早稲田佐賀の対戦。ここ数十年、県内では圧倒的な強さをみせて、一方的な展開で出場権を手にしてきた佐賀工。しかし、今年は違いました。年々進化する早稲田佐賀の規律と気迫のこもった戦いぶりに苦しみます。

 試合開始から最初の5分間は、早稲田佐賀のスピードある攻撃の前に押し込まれる展開。自陣22mラインの内側で耐え忍ぶ時間が続きます。それでも、落ち着いて序盤のピンチをしのぐと、強いFWを前面に風上を上手く利用してキックで敵陣に攻め込みます。

 そして14分、FW陣の力強い縦突破の連続から、最後はラックサイドを突いたLO金井田頼斗選手がトライ。ゴールも決めて7点をリードします。このトライで自分たちの優位なポイントが確認できた佐賀工、縦への推進力とあたりの強さをみせて徐々にペースを握ります、BK陣の思い切った展開で勝負してくる早稲田佐賀の攻撃を的確なタックルで跳ね返すと、キックで前進した後は近場、近場で勝負して早稲田佐賀のスタミナを削っていきます。そして28分、連続ラックからWTB塚本翼選手がトライ。さらに30分、ラインアウトからモールをつくると、FW陣がしっかり押し込んで最後はNO8中辻大凱選手がトライ。19対0とリードをひろげて前半を折り返しました。

「王者」が県内の相手に許した久しぶりのトライ…しかし慌てなかった佐賀工

 それでも、早稲田佐賀はあきらめません。前半は、攻め込みながらも得点につなげることができなかった早稲田佐賀でしたが、後半ついにトライに結びつけます。

 WTB佐藤光希選手の判断のいいキックで、うまく佐賀工ディフェンスの背後に攻め込むと、LO益田小鉄選手が素早く出したボールに全員が反応して、最後はFB肥後直希選手からパスを受けたWTB瓜生敬悠選手が左隅にトライ。厚い壁・佐賀工から記念すべき初トライを奪いました。

 王者が県内の相手に許した久しぶりのトライ。しかし、佐賀工は慌てませんでした。前半から優位に立っていたFW陣を生かした攻撃で確実にエリアを獲得すると10分、15分とモール攻撃から2つのトライを奪って、リードを広げました。

 早稲田佐賀も、後半18分に2つ目のトライを奪って食い下がりますが、反撃もここまで。その後、さらに3つのトライを積み重ねた佐賀工が48対12で粘る早稲田佐賀を下して、43大会連続53回目の全国大会出場を果たしました。

三重大会 「朝明」と「四日市工」壮絶な試合は41年ぶりの結果に…

 11月3日(日)、11月4日(月)に行われた各地区の決勝戦では、連続出場を狙う日本航空石川(石川)、石見智翠館(島根)、富山第一(富山)、流通経大柏(千葉)、若狭東(福井 ※前回大会は敦賀工との合同チームとして出場)といった伝統校が、圧倒的な強さを見せて花園への出場権を手にする中で、朝明と四日市工が激突した三重大会の決勝戦が壮絶な展開になりました。

 先に流れをつかんだのは東海ブロック代表として参加した、第100回記念大会以来の2回目花園出場に燃える四日市工。前半から持ち前のスピードある攻撃で4連続トライ、26対0と大きくリードを奪います。

 しかし、13大会連続出場を狙う朝明も後半4分に追撃のトライを奪うと、鍛え上げられたフィジカルを生かしてじわりじわりと反撃。キャプテンの伊藤魁人選手が「練習で倒れるまでやってきた」というモールからの攻撃で、執念の3連続トライ、26対19と7点差に迫ります。そして、後半23分に、再びモールを押し込んで中央にトライ。ついに26対26の同点に追いつきました。その後も息詰まる攻防が続きますが、試合はこのままノーサイド。

 三重大会決勝は、41年ぶりの両校優勝となりました。トライ数ゴール数とも同じのため、花園への出場権は抽選にゆだねられ、抽選の結果、朝明が13大会連続15回目の出場権を手にしました。

 そのほか、長野では伝統校の飯田が、初の決勝進出で勢いに乗る松本国際を、得意とするモールからの攻撃で6連続トライを奪って後半に突き放し、3大会ぶり11回目の全国大会出場を決めています。

 続々と代表校が決定していく全国高校ラグビー大会。今週末には、11月9日(土)に東京で国学院久我山対早稲田実業、福岡で東福岡対筑紫、11月10日(日)には、京都で京都成章対京都工学院など、注目のライバル対決による決勝戦が行われます。


【高校ラグビー地区大会結果】
▼11月1日 (金)
沖縄  名護 35―0 コザ

▼11月2日(土)
福島  聖光学院 14―0 松韻福島
佐賀  佐賀工 48―12 早稲田佐賀    

▼11月3日(日)
石川  日本航空石川 113―0 鶴来
長野  飯田 57―14 松本国際
富山  富山第一 39―5 富山工
三重  朝明 26―26 四日市工 ※両校優勝 抽選の結果、朝明が全国大会に出場
島根  石見智翠館 151―0 合同(出雲、松江高専、平田、大社)

▼11月4日(月・振休)
千葉  流通経大柏 66―5 東海大浦安
福井  若狭東 31―7 若狭

【高校ラグビー地区大会  決勝戦対戦カード】
▼11月9日(土)
栃木  国学院栃木 対 作新学院
和歌山  熊野 対 近大和歌山
福岡  東福岡 対 筑紫

▼11月10日(日)
茨城  茗渓学園 対 清真学園
群馬  明和県央 対 桐生第一
東京第1  目黒学院 対 成城学園
東京第2  国学院久我山 対 早稲田実業
山梨  山梨学院 対 日川
静岡  東海大静岡翔洋 対 静岡聖光学院
岐阜  関商工 対 岐阜工
京都  京都成章 対 京都工学院
香川  坂出第一 対 高松北
高知  高知中央 対 土佐塾
鳥取  倉吉東 対 鳥取合同(倉吉総合産業、湯梨浜学園、米子工、米子東、鳥取西、米子高専)
熊本  九州学院 対 熊本工 
大分  大分東明 対 大分舞鶴
宮崎  高鍋 対 日向
鹿児島  鹿児島実 対 鹿児島工

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