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【高校ラグビー】花園へ強豪同士が激突!ライバル対決を制したのは京都工学院&国学院久我山 東福岡は力強さをみせ25大会連続の聖地へ

MBSニュース / 2024年11月14日 11時4分

 年末年始に花園ラグビー場で行われる全国高校ラグビー大会。続々と代表校が決まる中、聖地を目指す戦いも、より激しさを増しています。11月9日(土)、10日(日)には、全国でも注目の強豪校が登場。それぞれライバル対決となる決勝戦が行われました。

【京都大会】赤黒ジャージの京都工学院「信は力なり」が復活

 10日(日)に行われた京都大会決勝は、「ピラニアタックル」の名のもとその固いディフェンスで、常に全国上位の実力をキープしてきた京都成章と、「信は力なり」の言葉とともに、花園に数々の伝説を残してきた伏見工の流れをくむ京都工学院。強豪京都の高校ラグビー界をけん引してきた両校による10大会連続のライバル対決となりました。

 キックオフ直前、入場を待つ観客が長蛇の列をなすほどの注目を集めたこの試合、序盤から両チームの闘志がぶつかり合う激しい展開となります。京都成章が、力強い縦突進を中心にボールを継続しながら激しく体をあてて前進を試みると、京都工学院は、集中したディフェンスとBK陣の距離の出るキックで対応。開始から10分近く、一進一退の攻防が続きます。

 そんな中、試合を動かしたのは京都工学院のスクラムでした。PR春名倖志郎選手が、「最初のスクラムは緊張したが、2本目のスクラムからは、自分たちのスクラムに責任感をもって押すことができた」と振り返ったように、マイボールのスクラムをしっかりコントロールすると、成章ボールのスクラムには、FW陣が一体となってプレッシャーをかけていきます。そして開始9分、成章陣内25m付近からの成章ボールのスクラムを一気に押し込むと、たまらずボールをリリースした成章からペナルティーを誘発。このチャンスに、SH片岡湊志選手が約25mのPGをきめて、まずは、京都工学院が3点をリードしました。

 主導権を握りながらも、先制点を許した京都成章、この後あせらず反撃します。チームを率いる関崎大輔監督が、「キャプテンの田中聖大選手を中心に春から大きく成長してくれた」というように、この1年間築き上げてきた素早い集散から縦への強い意識をみせる攻撃で何度も、何度も京都工学院陣内22メートルラインの内側まで攻め込みます。

 しかし、京都工学院の粘り強いディフェンスの前にあと一歩のところで得点に結びつけることができません。19分には、京都工学院のゴールライン目前まで攻め込みますが、またしてもスクラムをコントロールされてペナルティー。前半は、数多くのチャンスをつくりながらも無得点。京都工学院の3点リードで折り返します。

 それでもサイドの変わった後半、風上にまわった京都成章がさっそくチャンスを生かします。後半2分、ペナルティーキック1本で、自陣から敵陣深くまで攻め込むと、ラインアウトからの素早い仕掛けで京都工学院のペナルティーにつなげます。そしてFB笹岡空翔選手が中央からのPGに成功、3対3の同点に追いつきました。

 ここからは、両チームの勝利への執念が激突。お互いが持ち味を発揮しながら、接点で激しく体をぶつけあう緊迫した攻防が続きます。ミスが許されない緊張感の中、時間はあっという間に過ぎていきます。そして後半17分、試合がついに動きます。京都工学院は、京都成章が犯した一瞬のミスをついて、ペナルティーで敵陣深くまで攻め込むと、終始安定していたスクラムから待望の初トライにつなげます。スクラムから一度右をついた後、逆サイドに展開して、キャプテンのFB広川陽翔選手が、うまくディフェンスのギャップをついて左中間にトライ。「ここで決めないとキャプテンでないと思ったので、自分で行こうと覚悟を決めていった」と語った高校日本代表候補にも選出されている広川選手、一旦右サイドを突いた後の攻撃で、FW選手がカバーに入っていた逆サイドのディフェンスのミスマッチを見逃しませんでした。

 さらにプレッシャーのかかるコンバージョンゴールをSO杉山祐太朗選手が、見事に決めて10対3、残り時間10分余りで京都工学院が7点のリードを奪いました。それでも、さすがは、10大会連続で全国高校ラグビー大会の出場権を手にしている京都成章、去年の京都決勝でもラスト5分で逆転したように、ここからひるまず反撃します。京都工学院の鋭いタックルを受けながらも、懸命にボールをつないで攻め続けます。
 
 そして24分、京都工学院ゴールラインまで5メートルまで攻め込むと、ラインアウトからのモールを、うまくポイントをずらした後、一気に押し込んでトライ。FW陣の1年間の努力を感じさせるトライで10対8と2点差に迫りました。しかし、右スミからのコンバージョンキックは、惜しくも外れてゴールならず、2点差のまま試合は、残り時間およそ5分の攻防に突入します。

 刻々と時間が少なくなる中、自陣の深い位置からでもボールをつないで必死の反撃を試みる京都成章、一方、全員がまさに体を張った集中力の高いディフェンスで大きなゲインを許さない京都工学院。両サイドに分かれて声援を送る両校の応援団のヴォルテージも最高潮に盛り上がる中、息詰まる攻防が続きます。それでも京都工学院の大島淳史監督が「成章さんの魂がこもった試合、最後は、理屈じゃない戦い。恩師の山口良治先生から教えていただいた心、(伏見工のジャージである)赤黒のプライドを取り戻すという気持ちで生徒たちが頑張ってくれた。やってくれると信じてみていた」と語ったように、京都工学院の伏見工から受け継がれた魂が上回りました。

 最後は、ハーフウエイライン付近まで、エリアを戻していた京都成章の猛攻を京都工学院のボールへの執念が上回って、ついにノーサイド。最後まで死力を尽くした戦いに、両チームへの会場からの惜しみない拍手が鳴りやみませんでした。

 京都工学院が10対8と2点差の激闘を制して、9大会ぶり21回目、京都工学院となってからは初めての全国高校ラグビー大会への出場を決めました。花園へ久しぶりに「信は力なり」の言葉を刻んだ、赤黒のジャージが戻ってきます。

【東京大会】名門対決は国学院久我山が前回大会のリベンジを果たす

 同じく11月10日(日)に行われたライバル対決、東京第2地区の決勝は、全国制覇5回を含む過去43回の大会出場をほこる国学院久我山と、前回大会では、成城学園に勝利して8回目の花園への出場権を手にした早稲田実業の名門校同士の対戦となりました。

 前半は、決勝で敗れた前回大会のリベンジに燃える国学院久我山が先にペースを握ります。キャプテンの齋藤航選手が、「2度と(決勝で敗れた)昨年のような悔しい思いはしたくない」と語ったように強い気持ちで臨んだ国学院久我山、久我山らしいテンポのあるアタックで得点を積み重ねていきます。先制点は開始7分、持ち味のスピーディーなパス回しで、早実ディフェンスの対応を遅らせると、最後はFL水沢洋太選手が左中間にトライ。ゴールも決めて7点をリードします。

 さらに17分、今度はラインアウトからモールをつくると、うまくポイントをずらしながらモールを動かしてここぞというタイミングで一気に前進、最後はHO笠井大志選手が中央にトライ。ゴールも決めて14対0とリードをひろげます。このトライで勢いに乗った久我山、23分にも、FW陣が縦をついた後の素早い球出しからSO松下亮介選手のキックパスをキャッチしたFB加藤竜朗選手がトライ。ゴールも決めて21対0大きくリードをひろげました。

 一方、久我山の攻勢の前に受け身に回っていた早実も27分にようやく反撃。CTB山口滉太郎の突破からパスを受けた1年生のWTB飯泉敢太選手が抜群の決定力をみせて右隅にトライ。5点を返します。

 しかし、国学院久我山は慌てません。直後の30分に加藤選手がPGをきめて突き放すと後半8分にも加藤選手のPGで3点を追加、逆転には4チャンス以上の得点が必要な27対5として点差を22点にひろげ確実にゲームをコントロールしていきます。こうなると早実の反撃は時間との闘い。後半17分にはCTB山口選手のトライで27対10と17点差に迫ったあともFW陣が奮起して、幾度となく久我山のインゴールに迫ります。

 しかし、あと一歩のところで、国学院久我山の粘りの前に得点につなげることができません。試合は、このままノーサイド。昨年敗れた悔しさを胸に、周到にゲームプランを遂行した国学院久我山、27対10でライバル早稲田実業を振り切り2大会ぶり44回目の花園への出場を決めました。

“なかなか調子上がらず”だった東福岡 3年連続の対戦相手に完勝

 そのほかの、11月9日(土)、10日(日)に行われた各都道県大会決勝の結果は、以下のとおり。

 東京第1地区では、目黒学院が、NO8ブルースネオル・ロケティ選手の3つのトライなど7トライを奪って45対12で成城学園に快勝。

 今年は春先からなかなか調子が上がらなかった東福岡(福岡)は、3年連続の対戦となった筑紫に、自陣からでもどんどん仕掛けていく持ち前のラグビーで80対5と完勝。

 大勝した国学院栃木(栃木)、ライバル大分舞鶴につけ入るスキを与えなかった大分東明(大分)。BK陣だけでなくFW陣も強さを発揮して清真学園に快勝した茗渓学園(茨城)といった実力校とともに花園に向けて順調な仕上がり具合をみせました。

 注目のライバル対決となった静岡の東海大静岡翔洋と静岡聖光学院の対戦は、東海大静岡翔洋が固いディフェンスで静岡聖光学院に得点を許さず、3点のリードを保ったまま終盤に突き放して10対0で勝利、前回大会の雪辱を果たしました。

 また、岐阜工と関商工の決勝となった岐阜大会は、二転三転の展開の中から、関商工が後半15分と18分の2つのトライで24対22と逆転。のこり時間10分以上、逆転を狙う岐阜工の反撃をぎりぎりのところでしのいで2大会連続43回目の花園への出場を決めています。

 11月16日(土)、17日(日)行われる決勝戦は13地区。神奈川、兵庫、奈良、大阪で強豪同士の激突による注目の決勝戦が行われます。

高校ラグビー地区大会決勝 結果

11月9日(土)
栃木  国学院栃木 145-0 作新学院
和歌山  近大和歌山 24-12 熊野
福岡  東福岡 80-5 筑紫

11月10日(日)
茨城  茗渓学園 36-7 清真学園
群馬  明和県央 55-14 桐生第一
東京第1  目黒学院 45-12  成城学園
東京大2  国学院久我山 27-10 早稲田実
山梨  山梨学院 43-3 日川
静岡  東海大静岡翔洋 10-0 静岡聖光学院
岐阜  関商工 24-22 岐阜工
京都  京都工学院 10-8 京都成章
香川  坂出第一 28-0 高松北
高知  高知中央 21-12 土佐塾
鳥取  倉吉東 43-12 鳥取合同 (倉吉総合産業、湯梨浜学園、米子工、米子東、鳥取西、米子高専)
熊本  九州学院 17-5 熊本工
大分  大分東明 41-10大分舞鶴
宮崎  高鍋 47-0 日向
鹿児島  鹿児島実 24-18 鹿児島工

高校ラグビー地区大会決勝 組み合わせ

11月16日(土) 
埼玉  昌平 対 熊谷工
愛知  中部大春日丘 対 名古屋
兵庫  報徳学園 対 関西学院
岡山  倉敷 対 玉島
徳島  城東 対 つるぎ

11月17日(日)
神奈川  桐蔭学園 対 東海大相模
滋賀  光泉カトリック 対 八幡工
奈良  天理 対 御所実
大阪第1  大阪桐蔭 対 関大北陽
大阪第2  東海大大阪仰星 対 大産大附
大阪第3  常翔学園 対 近大附
広島  尾道 対 崇徳
山口  高川学園 対 萩商工

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