高校ラグビー 京都工学院は魂のディフェンス、報徳学園は爆発的な攻撃力でシード校を撃破!! 盤石の大阪桐蔭、常翔学園に対して東海大大阪仰星は苦しみながらもベスト16進出。激戦必至の3回戦の組み合わせは?
MBSニュース / 2024年12月31日 15時16分
高校ラグビー3日目、12月30日には、シード校が登場して、2回戦16試合が行われました。第3グラウンドの第2試合、大観衆がびっしりと会場を埋め尽くした)シード校・中部大春日丘(愛知)と京都工学院(京都)の一戦は、両チームが激しい闘志をぶつけ合う予想どおりの熱戦となります。前半はまさに一進一退。試合開始から両チームが接点で激しく体をぶつけ合う中、ともに相手ディフェンスの圧力の前になかなか有効な攻撃を仕掛けることができません。今大会初めて、両チーム無得点で前半を終了します。
試合が動いたのは後半5分。京都工学院は敵陣10メートル付近でペナルティーを獲得すると,迷わずPGを選択します。中央とはいえ40メートル以上の長いキック、この距離をSO杉山祐太朗選手が見事に決めて3点を先制します。
一方の中部大春日丘もすぐさま反撃、先制された直後の攻撃で、一人一人が縦への推進力をみせてこの試合初めて敵陣深くまで攻め込みます。そしてゴール前5メートルのラインアウトからモールを形成して一気に押し込むと、最後はNO8坂口湊眞選手が力強いキャリーを見せてトライ、ゴールも決めて7対3と逆転します。
先制するもすぐさま逆転を許した京都工学院。しかし、ピッチ内の選手たちは落ち着いていました。キャプテンの広川陽翔選手が「こういう試合を想定して、常に準備をしてきたので我慢することができた」と語ったように、この後、大応援団の後押しを背に果敢な仕掛けで春日丘のゴールラインに迫ります。
そして13分、春日丘ゴール前5メートルのチャンスをつかむと、ラインアウトからのモールをFW陣が一塊となって押し込んでトライ、8対7と再逆転に成功します。
それでも差は1点、この後も主導権を巡って手に汗握る攻防が続きます。両チームともミスが許されない中、先にチャンスをつかんだのは中部大春日丘でした。京都工学院の規律の乱れをついて、ペナルティーでエリアを敵陣ゴール前まで進めると、18分にはFW陣が力強い押し込みをみせてインゴールまでボールを持ち込みます。
しかし、京都工学院の執念のディフェンスの前に、うまくボールの下に入られてグラウンディングすることができません。絶好のチャンスを逃してしまいます。ピンチを脱出した京都工学院は、逆に20分、ディフェンスからの切り返しでチャンスをつかむとLO松見眞一郎選手がタッチライン際を快走して、一気に春日丘陣内深くまで攻め込みます。
そして22分、再びラインアウトからモールをつくると、FW陣がしっかりと押し切って
追加点のトライ。さらにプレッシャーのかかるコンバージョンキックを杉山選手が鮮やかに決めて15対7、1チャンスでは追いつけない8点差まで点差をひろげました。
PR加藤瑠絃選手が「(相手の)ゴールライン近くまで行けば、絶対にFWでとりきれる自信があった」」と振り返った京都工学院、この後もFWの選手を中心に最後まで集中した粘り強いディフェンスで必死の反撃を試みる中部大春日丘に得点を許しませんでした。
「伏見工の伝統を受け継ぎながらも、京都工学院として新たな歴史を築いていきたい」と広川主将がしめくくった京都工学院、魂のこもった戦いぶりでシード校を撃破しての3回戦進出です。
シード校の苦戦が続く中、第1グラウンド第3試合では、東海大大阪仰星が登場、強力FWを誇る佐賀工と対戦しました。高いハンドリングスキルからのテンポある攻撃が武器の東海大大阪仰星と、ディフェンスの圧力とモールを中心とした強力FWが自慢の佐賀工業。初戦の固さがみられる仰星にたいして前半は佐賀工がペースをつかみます。開始直後のピンチを持ち味のディフェンスでしのいでエリアを回復すると、その後は、伝統の強い当たりでプレッシャーをかけ続けて敵陣で試合を進めていきます。そして18分、FB岩屋武琉選手がPGに成功、3対0とリードします。
一方の東海大大阪仰星は、攻撃の起点となるラインアウトが安定せず、なかなかリズムをつかむことができません。それでもFW陣がよく踏ん張って再三のピンチをしのぐと、なんとか3点のリードを許しただけで前半を折り返します。
ハーフタイムに戦術を修正して反撃を試みる東海大大阪仰星。しかし、後半に入っても、佐賀工の勢いはとまりません。開始直後には、敵陣22メートル付近のラインアウトから得意とするモール攻撃を仕掛けると、抜群のコントロールでインゴールまでモールを押し切ります。ゴールもきめて、10対0とリードをひろげました。それでも、花園では無類の強さを見せる東海大大阪仰星、ここから次々と選手を入れ替えて態勢を立てなすと焦らず反撃します。
そして、後半14分、途中出場の濱田素良選手が、ビッグプレーで試合の流れを引き寄せます。自陣22メートルの内側から、エリアを戻そうとした佐賀工のキックを素早い出足でチャージすると、そのままインゴールに跳ね返ったボールを押さえてトライ。
ゴールも決まって10対7とワンチャンスで逆転可能な点差に詰め寄りました。
さらに20分、今度は、敵陣10メートル付近のラインアウトから素早い球出しで左に大きくボールを動かすと、最後は、FB隅田陸斗選手が中央に回り込んでトライ。ゴールも隅田選手自らが決めて14対10、ようやくつながった仰星らしいテンポのあるアタックで逆転に成功します。
逆転したとはいえ差は4点、残り時間は約10分。ここからは、両チームぎりぎりのところで相手の攻撃をしのいで、反撃を試みる手に汗握る時間帯が続きます。スピードあるアタックで試合を決めにいく東海大大阪仰星に対して、佐賀工は、粘り強いディフェンスでピンチをしのぐと、終盤には、BK陣に変えてFWの選手を投入、得意のモール攻撃を仕掛けて徐々にエリアを進めていきます。
そしてロスタイムに突入した34分、ついに敵陣22メートルの内側まで侵入してラインアウトのチャンスを得ます。当然のようにラインアウトからモールを組んで再逆転を試みる佐賀工。しかし逆転を狙ったモールが痛恨の反則となって万事休す。キャプテンの青野寛大選手が「なかなか試合を決めきることができない中、最後は、リザーブの選手も含めて全員で踏ん張ることができた。日ごろから全員でラグビーに取り組んでいる仰星の強みを出せた」と語ったシード校の東海大大阪仰星が伝統校の意地をみせた佐賀工を、ぎりぎりのところで振り切って、ベスト16進出を決めました。
2回戦16試合の結果は、以下のとおり。
第1グラウンドの第2試合、高鍋(宮崎)がシード校・大分東明(大分)に挑んだ九州対決は、高鍋が大健闘、最後まで目が離せないスリリングが展開となりました。前半11分までに3つとトライを奪われた高鍋がそこから猛反撃、前半のうちに3トライを返して19対19の同点においつくと、後半17分には、シンビンによる退場で一人少ない14人でトライを奪って26対19と勝ち越します。しかし大分東明も反撃、22分に途中出場のガロヴィ・イオセフォ選手が中央に飛び込んでトライ、ゴールも決めて26対26の同点に追いつきます。試合は、同点のままノーサイド。トライ数、ゴール数とも同じの為、抽選の結果、大分東明が3回戦進出を決めました。
Aシード3校、桐蔭学園(神奈川)、大阪桐蔭(大阪)、石見智翠館(島根)は、
流通経大柏(千葉)、長崎北陽台(長崎)、尾道(広島)の気迫のこもった戦いぶりに苦しみながらも、いずれも試合運びのうまさをみせて順当に3回戦進出を決めました。
そのほか関西勢では、報徳学園が持ち前の決定力の高さを披露して、前半で4トライを奪う快心の戦いぶりでシード校目黒学院(東京)を撃破、天理(奈良)はワークレートの高さ、常翔学園(大阪)は縦への強さとそれぞれの強みを発揮して、3回戦進出を決めています。
12月30日(月) 2回戦結果
桐蔭学園(神奈川) 48-7 流通経大柏(千葉)
大分東明(大分) 26-26 高鍋(宮崎)
抽選の結果、大分東明が3回戦進出
東海大大阪仰星(大阪) 14-10 佐賀工(佐賀)
大阪桐蔭(大阪)44-12 長崎北陽台(長崎)
常翔学園(大阪)81-14 高知中央(高知)
尾道(広島) 0-23 石見智翠館(島根)
山梨学院(山梨)38-7 秋田工(秋田)
明和県央(群馬)3-59 国学院栃木(栃木)
倉敷(岡山) 65-7 近大和歌山(和歌山)
盛岡工(岩手)0-86 茗渓学園(茨城)
東海大静岡翔洋(静岡) 14-24 関商工(岐阜)
国学院久我山(東京)32-5 日本航空石川(石川)
中部大春日丘(愛知)7-15 京都工学院(京都)
報徳学園(兵庫)28-12 目黒学院(東京)
東福岡(福岡)47-3 光泉カトリック(滋賀)
昌平(埼玉)8-36 天理(奈良)
1月1日(水)、3回戦の組み合わせは以下のとおり、常翔学園と天理、報徳学園と東海大大阪仰星、数々の名勝負を演じてきた近畿を代表する強豪校が早くも激突します。
1月1日(3回戦)組み合わせ
第1グラウンド
桐蔭学園(神奈川) 対 山梨学院(山梨)
京都工学院(京都) 対 国学院栃木(栃木)
大阪桐蔭(大阪) 対 倉敷(岡山)
常翔学園(大阪) 対 天理(奈良)
第3グラウンド
国学院久我山(東京) 対 大分東明(大分)
東海大大阪仰星(大阪)対 報徳学園(兵庫)
東福岡(福岡) 対 茗渓学園(茨城)
関商工(岐阜) 対 石見智翠館(島根)
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