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【高校ラグビー】ベスト8が決定! 「想像していた以上に、本当に最高の場所だった」京都工学院は国学院栃木の分厚い壁のまえにあと一歩及ばず...常翔学園は天理との激戦を制して準々決勝へ 大阪桐蔭・桐蔭学園の優勝候補が早くも1月3日激突!

MBSニュース / 2025年1月2日 14時58分

 年が明けて、3回戦に突入した全国高校ラグビー大会。1月1日には、ベスト8進出をかけて8試合が行われました。

 第1グラウンドの第2試合、京都工学院(京都)と国学院栃木(栃木)の対戦は、鍛え上げられた両チームが持ち味を発揮しあう予想どおりの大熱戦となります。

 先制したのはBシードの国学院栃木。開始1分、敵陣22m付近のスクラムからブラインドサイドに展開すると、CTB福田恒秀道選手が巧みなランニングでマークをずらしてWTB家登正宜選手が右隅にトライ。難しい角度のゴールをSO神尾樹凛選手が決めて7点をリードします。チャンスをものにして勢いに乗った国学院栃木はさらに10分、今度は京都工学院陣内22m付近のラインアウトからモール攻撃を仕掛けると、そのまま一気に押し切ってトライ、ゴールもきめて14対0とリードをひろげました。

 一方、シード校・中部大春日丘(愛知)を破って3回戦にすすんできた京都工学院。この試合もここから主導権を握り返します。接点で激しく働きかけてボールを確保すると、ミスなくボールをつないで、国学院栃木陣内深くまで攻め込みます。

 しかし、国学院栃木の粘り強く分厚いディフェンスの前に、なかなか得点につなげることができません。ペナルティーを犯さず規律のとれた対応で、一人一人が確実に役割を果たしていく国学院栃木のディフェンス。前半終了間際には、ゴールラインを背にして守る時間帯が続きますが、全員が集中した素晴らしいディフェンスで京都工学院に得点を許さず、14点のリードを保ったまま前半を終了します。

 猛攻をしのぎ切った国学院栃木、サイドの変わった後半、再び最初のチャンスをものにします。後半4分、福田選手がまたしても巧みなステップワークで京都工学院のゴールラインに迫ると、FW陣が縦をついた後、再びボールを手にした福田選手が、ディフェンスを振り切ってトライ。ゴールも決めて21対0とリードをひろげました。攻め込みながらも、少ないチャンスをものにされて差をひろげられた京都工学院。それでも、落ち込むことなく、直後のキックオフからSO杉山祐太朗選手を中心に次々と攻撃を仕掛けていきます。粘り強くフェイズを重ねて攻撃を継続すると、11分には、キャプテンのFB広川陽翔選手がインゴールに飛び込みます。しかし、ここも国学院栃木が驚異の粘り強いディフェンスでグラウンディングを許さず守り抜きます。

 国学院栃木の吉岡肇監督が「うちは2試合目に対して京都工学院は3試合目、疲れているはずだがさすがは伝統の力。前半途中からの(京都工学院の)猛攻はすごかった。その猛攻を前半終了間際と後半の10分過ぎにしのげたのが大きかった。それにしてもすごいチームだった」と振り返ったように、攻める京都工学院と守る国学院栃木、この後も両チームの激しい闘志と肉体がぶつかり合う我慢比べの時間帯が続きます。

 そして後半の15分、京都工学院がついにチャンスをものにします。国学院栃木ゴール前5mのラインアウトからモールを押し込むと途中出場の岡垣尊選手がトライ、ようやく5点を返しました。残り時間は約15分。逆転には3チャンス以上が必要な京都工学院、その後も果敢な仕掛けで何度も何度も攻撃を試みます。しかし、最後まで国学院栃木の規律のとれた粘り強いディフェンスはくずれませんでした。

 京都工学院の杉山選手が「後半は自ら仕掛けることで、何回かラインブレイクして突破することができたが、チームとしてトライにはつなげることができなかった」と振り返ったように、幾度となく敵陣22mラインの内側まで攻め込みながらも、その後は、国学院栃木の厚い壁を崩すことができません。試合は、このままついにノーサイド。大応援団とともに勢いをもって突き進んできた京都工学院の挑戦は、3回戦で終わりを告げました。

 「花園は、最高の場所だと想像していたが、自分が想像していた以上に、本当に最高の場所だった」と涙をみせながら語った広川主将。「この(全国の舞台での)経験ができたのは先輩たちのおかげ、この悔しさ、経験を無駄にせずに、新チームでもしっかりと頑張っていきたい」と前を見据えた杉山選手。新しい京都工学院の伝統がしっかりと次の世代へ受け継がれました。

 第1グラウンド第4試合、常翔学園(大阪)と天理(奈良)の名門校同士の対決は、最後の最後まで勝負の行方が分からない激闘となりました。春の近畿大会では、追いつ追われの大接戦を演じた両チーム。この試合も、攻守が目まぐるしく入れ替わる一瞬たりとも目が離せない展開となります。先制したのは天理。試合開始のキックオフから素早い出足で攻め込むと、強いコンタクトが自慢の常翔学園に対して一人一人がしっかりと身体をあてて攻撃のリズムをつくります。そして開始1分、SO安川和志選手の絶妙のキックに反応したWTB坂田弦太郎選手が、インゴール右隅でボールを押さえてトライ。あっという間に5点を奪います。

 いきなりのビハインドを背負った常翔学園、それでもあせらず反撃します。勢いに乗って攻め込んでくる天理に対して、全員が体を張ってピンチをしのぐと、縦に強いランナーが、鋭い突破をみせて攻撃を演出していきます。しかし、高いワークレートを武器に複数の選手が突き刺さるタックル繰り出す天理のディフェンスの前に、なかなか敵陣深くまで攻め込むことができません。その後は両チーム無得点のまま、瞬く間に時間が過ぎていきます。

 常翔学園にようやくチャンスが訪れたのは、前半の22分を過ぎてから。FB松井成悟選手の完璧なキックで天理陣内22mラインの内側まで攻め込むと、FW陣が圧力をかけて天理のペナルティーを誘発します。ゴール前中央絶好の位置でのペナルティー。PGも考えられる場面でしたが、常翔学園・井本章介主将はあえてスクラムを選択。得意のスクラムで天理を押し込んでさらに敵陣深くまで攻め込んでいきます。そして29分、そのスクラムを押し込んだ後、SH元橋直海選手が、ディフェンスの薄くなったサイドついて中央にトライ。ゴールも決めて7対5と逆転に成功します。

 さらに、ラスト1プレーとなった前半のロスタイム。センタースクラムのチャンスをつかむと、全員が素晴らしい集中力をみせてチャンスをものにします。再びスクラムを押し込んだ後、常翔らしい縦への連続攻撃を仕掛けると、最後は左に展開してWTB正脇俊輔選手がトライ、12対5と点差をひろげて前半を折り返しました。

 前半終了間際に自慢のディフェンスがくずれて連続失点した天理。しかしサイドの変わった後半、すぐさま立て直します。鋭い出足で再び攻撃のリズムをつくると後半5分、今度は、1年間鍛え上げてきたモール巧みに押し込んでHO稲塚潤選手がトライ、12対10とPGでも再逆転が可能な2点差まで詰め寄りました。2点差となってさらに激しさが増す両チームの激突、この後は身体をぶつけ合う音が聞こえてくるような、息詰まる攻防の時間帯が続きます。

 どちらに試合の流れが傾くのか、詰めかけた観衆も固唾をのんで見守る中、先に流れを引き寄せたのは常翔でした。天理のタッチキックのミスを突いて逆襲すると、縦に強いランナーが繰り返し体を当てながら、天理陣内深くまで攻め込んでいきます。

 そして後半の27分、天理ディフェンスの白い壁に跳ね返されながらも、何度も何度も縦をついて攻撃を継続すると、最後はCTB園田攻晴選手が、タックルを引きずりながらゴールラインぎりぎりにトライ、17対10と再び点差を7点にひろげました。それでも、天理にとっては、1チャンスで同点可能な7点差、このあとのキックオフから気迫のこもった攻撃を仕掛けると常翔学園を22mラインの内側にくぎ付けにして、インゴールに迫ります。あと1本パスが通ればトライという場面をつくりますが、常翔学園も粘り強く、集中力の高いディフェンスでゴールラインを割らせません。

 最後は、モールで攻め込もうとした天理のボールを常翔学園がもぎ取ってノーサイド。天理の気迫の攻撃を全員で防ぎ切った常翔学園が17対10で勝利。井本主将が「ゲーム中の遂行力、自分たちがやらなければならないことを、焦らずにしっかり遂行できていたのが勝利につながった」と語った常翔学園が、チームとしての成長を感じさせる戦いぶりで花園の全国大会では、初めて天理を撃破して3大会ぶり30回目のベスト8進出を果たしました。

 3回戦の結果は以下の通り、関西の強豪同士の対決となった、東海大大阪仰星(大阪)と報徳学園(兵庫)の対戦は、前半から東海大大阪仰星が報徳学園を圧倒。初戦の2回戦で佐賀工に苦戦した反省をもとに用意周到な準備で報徳学園の強みをけした上で、前半のうちに仰星らしい多彩な攻撃で4つのトライを奪って勝負を決めました。31対5で勝利してベスト8進出です。

 東福岡(福岡)と茗渓学園(茨城)のシード校同士の一戦は、前半、東福岡が5つのトライで大量リードを奪うも、後半に入ると茗渓学園も近年力をつけてきたFW陣が奮起して逆襲します。キャプテンの菊川逞選手が「自分たちの強みである展開ラグビーを残しつつ、全国でも勝負できる(FWの)力をつけるため相当な練習を積んできたが、勝利という形にはつながらなかったのが悔しい」と振り返ったように13点差まで迫りますが、猛追も及ばず東福岡が準々決勝進出を果たしました。

 そのほか、Aシード3校、桐蔭学園(神奈川)は山梨学院(山梨)に46対0、大阪桐蔭(大阪)は倉敷(岡山)に69対0、石見智翠館(島根)は関商工(岐阜)に95対5と危なげなく勝利してベスト8進出を決めています。

1月1日(3回戦結果)

桐蔭学園(神奈川) 46-0 山梨学院(山梨)
京都工学院(京都) 5―21 国学院栃木(栃木)
大阪桐蔭(大阪) 69-0 倉敷(岡山)
常翔学園(大阪) 17-10 天理(奈良)

国学院久我山(東京) 12-41 大分東明(大分)
東海大大阪仰星(大阪) 31-5 報徳学園(報徳)
東福岡(福岡) 41-28 茗渓学園(茨城)
関商工(岐阜) 5-95 石見智翠館(島根)

1月3日(金)準々決勝の組み合わせは以下のとおり

 第2試合は、花園で数々の名勝負を演じてきた東海大大阪仰星と東福岡の対決。第3試合は大阪桐蔭と桐蔭学園の優勝候補が激突。今年度の高校ラグビー界をリードしてきた両雄が対戦します。

 準決勝は1月5日(日)、準々決勝を勝ち上がった4校により、再度抽選が行われて対戦相手が決定します。


1月3日(準々決勝)

大分東明(大分) 対 常翔学園(大阪) 
東海大大阪仰星(大阪) 対 東福岡(福岡)
大阪桐蔭(大阪) 対 桐蔭学園(神奈川)
国学院栃木(栃木) 対 石見智翠館(島根)

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