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【全国高校ラグビー準々決勝】"無敗王者"大阪桐蔭を破った桐蔭学園の申主将「取り組んできたことが全部出せた」 激戦を制して常翔学園・東海大大阪仰星・国学院栃木と共に準決勝へ!

MBSニュース / 2025年1月4日 17時38分

 去年の12月27日に始まった第104回全国高校ラグビー大会もいよいよ大詰め。1月3日には準々決勝が行われ、ベスト4が決定しました。

<常翔学園vs大分東明>相手の“驚異の粘り”を振り切りベスト4!

 実力伯仲のベスト8の対決。第1試合、常翔学園(大阪)と大分東明(大分)は、予想どおりの大熱戦となりました。前半にペースをつかんだのは大分東明。序盤こそ常翔学園の勢いに飲まれ先制点を許しますが、その後は狙いどおりの試合運びで逆襲します。

 前半11分、SO石川徠人選手の絶妙なキックにBK陣が複数で反応すると、相手ボールを奪って最後は徠人選手の双子の兄、LO石川波潤選手がトライ。15分には、常翔学園のラインアウトのミスに素早く反応し、ボールを確保したHO阪口豪之介選手がキャプテン・石川波潤選手につないでそのままトライ。ゴールも決めて12対7と逆転します。さらに21分、今度はハーフウェイライン付近で常翔学園のパントキックをがっちりとキャッチしたWTB下川悠輝選手が、切れ味鋭いカウンター攻撃を仕掛けてそのままトライ。ゴールも決めて19対7。あっと言う間の3連続トライで常翔学園を突き放します。

 しかし、井本章介主将が「試合を重ねるごとに攻撃、守備ともに厳しさが出てきて、手ごたえを感じている」と振り返った常翔学園。ここから焦らず反撃します。前半終了間際の29分、タッチライン際でボールを受けたWTB正脇俊輔選手が鋭いステップでディフェンスをかわし、30m以上を走り切るトライを奪って19対12と7点差に詰め寄ると、後半開始直後から全員が集中した縦攻撃を仕掛けて大分東明のゴールラインに迫ります。そして後半1分、東明ゴール前5mのライアウトから、素早い仕掛けでNO8井本主将がトライ。19対17とついに2点差に迫りました。

 再び試合の流れを引き戻した常翔学園。ここからは、白木繁之監督が「1.5mであっても押し切るのが常翔のスクラム。ずっとこだわって強化してきた」と語ったスクラムで優位に試合を進めていきます。そして後半9分、スクラムを押し込んで大分東明のペナルティーを誘発しキックで敵陣深くまで入り込むと、ラインアウトから連続攻撃を仕掛けて、最後は正脇選手が再びディフェンスをうまくかわしてトライ。ゴールも決めて24対19とついに逆転しました。

 それでも差は、1チャンスで同点となる「5点」。残り時間20分あまり、大分東明も粘り強いディフェンスで常翔学園の追加点を防ぎながら、終盤にチャンスを作り出していきます。そして後半29分、常翔学園ゴールラインまで5mのラインアウトからモールをつくり、一気にインゴールになだれ込みます。

 しかし、常翔学園の最後まで集中力を切らさないディフェンスの前にグランディングができずノートライ。さらには要所要所で常翔学園スクラムのプレッシャーにペナルティーを奪われ、どうしても得点につなげることができません。

 それでもロスタイムに突入した34分、最後のチャンスで自陣からしぶとく攻撃を続けて、再びインゴールに迫ります。しかし、最後のグランディングを狙った場面が反則となり、ついにノーサイド。大分東明の驚異の粘りもあと一歩及ばず、リードを守り抜いた常翔学園が24対19で競り勝ち、5大会ぶり20回目のベスト4進出を果たしました。

<東海大大阪仰星vs東福岡>主将が涙「本当に申し訳ない」ライバル対決の行方は!?

 続く第2試合は、東海大大阪仰星(大阪)と東福岡(福岡)の対戦。花園で数々の名勝負を演じてきた両チームの対決は、前半、風上の東海大大阪仰星が主導権を握ります。チームの司令塔・吉田琉生選手が「東福岡戦に向けて、深夜まで相手を分析してくれたスタッフや、仮想東福岡として(練習)相手をしてくれた控えの選手も含めて、部員全員で本当にいい準備ができた」と振り返った東海大大阪仰星。前半3分に1年生のNO8・米谷翔馬選手がBK選手顔負けの鮮やかなステップから先制のトライを奪うと、その後もグラウンドを広く使った仰星らしい攻撃で、9分・21分とトライを重ね、17対0と大きくリードを奪います。

 しかし、さすがはこの花園でも連続してベスト4以上に進出している常勝の東福岡。今シーズンは春先からなかなかチームの調子が上がらず苦しんだ中で、藤田雄一郎監督が「後半は、東福岡が東福岡であり続けるためにどうしたらいいか、選手たちがプライドを示してくれた」と語ったように、後半は一人ひとりが東福岡らしい迫力満点の動きを見せて反撃します。タックルされても倒れず、複数で囲まれても粘り強くボールをつないでボールを継続すると、後半5分・16分とトライを奪って17対12と5点差に詰め寄ります。

 そしてロスタイム目前の後半30分、試合を決めに来た東海大大阪仰星の攻撃を自陣ゴール前でしのぐと、ラストチャンスにかけて反撃します。一旦はボールを失いますが、強烈な当たりでボールを奪い返すと、東福岡らしい縦攻撃を交えた連続アタックで仰星陣内30m付近まで攻め込みます。しかし、最後はキャプテンの古田学央選手がボールを確保できずに痛恨のノックオン。懸命の反撃もわずかに及ばず、ライバル東海大大阪仰星の前に準々決勝で姿を消しました。

 「1年間、課題だったイージーミスが、最後の大事な場面で自分だけがクリアできなかった。自分以外のプレイヤーはグリーンジャージのために体を張ってくれた。このチームならもっともっと上に行けるチームだった。本当に申し訳ない」と古田主将が涙と共に語った東福岡。グリーンジャージのプライドは、下級生たちに受け継がれることになりました。

<桐蔭学園vs大阪桐蔭>優勝候補の両雄が激突!春のリベンジを果たす

 第3試合は大阪桐蔭(大阪)と桐蔭学園(神奈川)。今シーズンの高校ラグビー界をリードしてきた優勝候補の両雄が激突し、期待にたがわぬハイレベルな攻防となりました。

 前半、先にペースをつかんだのは、今シーズン15人制では無敗で、春の選抜大会とGWのサニックスワールドユース大会で2冠を手にしている大阪桐蔭。キックオフからの最初のプレーで、WTB須田琥珀選手が桐蔭学園のキックをチャージし、そのままインゴールでボールを押さえてノーホイッスルトライ。ゴールも決めて7点をリードします。さらに3分、素早いパス回しでFB吉川大惺選手が桐蔭ディフェンスの裏に抜け出すと、インゴールへ蹴り込んだボールを拾ったSH川端隆馬選手が中央に回り込んでトライ。ゴールも決めて14対0とリードをひろげます。

 しかし、キャプテンの申驥世選手が「3回戦のあと、大阪桐蔭を想定して何度もミーティングを重ねる中で、先に失点することも想定していた」という桐蔭学園。ここから落ち着いてゲームを立て直します。春に負けた時から大阪桐蔭に勝つためにブレイクダウンの圧力、ディフェンス強さを想定し、そこで上回ることを念頭に練習を積み重ねてきたという桐蔭学園は徐々にボールの支配率を高めていくと、16分には敵陣ゴール前のモールを押し込んだ後、FW陣の執拗な連続攻撃から最後はPR石原遼選手がインゴールにボールをねじ込んでトライ。14対7と7点差に詰め寄りました。

 ここからが本当の勝負。その後は、両チームの攻撃をお互いが固いディフェンスで凌いでいく、我慢比べの時間帯が続きます。試合が動いたのは後半4分。桐蔭学園が持ち味である強靭なフィットネスを武器に、ついに大阪桐蔭の分厚いディフェンスを打ち破ります。春からは各段にスケールアップした接点での強さを発揮し、連続してボールをリサイクルしながら、右に左に攻撃を仕掛けていくと、最後はディフェンスのギャップをついてSO丹羽雄丸選手が中央にトライ。ゴールも決めて14対14の同点に追いつきました。

 このトライで勢いが増した桐蔭学園。その後も継続してボールを支配して攻撃を続けると、後半7分には連続攻撃を警戒して前への意識が強くなった大阪桐蔭の裏を突き、SO丹羽選手のキックパスを大外でキャッチしたWTB草薙拓海選手が右隅に飛び込んで、ついに19対14と逆転に成功します。

 試合の後半に入ってから、今シーズン初めてリードされる展開に持ち込まれた大阪桐蔭。この後、懸命の反撃を試みます。しかし、SH川端選手が「いつもなら、FWの接点のところで少し前に出てくれるので、そこから10番の上田倭楓選手と(余裕をもって)ゲームを組み立てることができたが、きょうは桐蔭学園の圧力にさらされて、なかなか思ったゲームメイクができなかった」と振りかえったように、桐蔭学園の強さ・速さの前になかなか有効な攻撃を展開できません。

 逆に桐蔭学園は16分、大阪桐蔭陣内22mライン中央でのスクラムを獲得すると、大阪桐蔭のディフェンスをよく見た丹羽選手が絶妙のキックをインゴールに転がすと、このプレーの直前に投入された途中出場の坪井悠選手がインゴールで抑えてトライ。ゴールも決めて26対14として勝負の流れを決定づけました。

 「春に敗れた時、本当に大阪桐蔭は強かった。大阪桐蔭がいたからこそ、目標を立ててここまで強くなることができた。きょうは自分たちが取り組んできたことが全部出せた」と語った申主将。


 一方「ずっとチャレンジャーでいようとしたが、途中から相手にペースをつかまれて、なかなか盛り返すことができなかった。いつものいいディフェンスができなかったのが敗因。本当に悔しい。ただ、全て出し切ったので悔いはない。素晴らしい仲間と巡り会えた。(自分にとって)宝物となった3年間だった」と振りかえった大阪桐蔭・名取凛之輔主将。その後は両チームとも無得点でノーサイド。注目の大一番は、春の選抜大会のリベンジを果たした桐蔭学園が26対14で勝利して幕を閉じました。

<国学院栃木vs石見智翠館>分厚いディフェンスが機能し強豪を下す

 準々決勝最後の試合、国学院栃木(栃木)とAシード校・石見智翠館(島根)の対戦は、3回戦で京都工学院の攻撃力を封じた国学院栃木の規律のとれた分厚いディフェンスがこの試合も機能します。

 前半4分に先制のトライを挙げた国学院栃木。その後は石見智翠館の攻撃に守勢に回りますが、選手全員がしっかり面をつくり、前に出ていくディフェンスで得点を許しません。前半15分を過ぎてからは、攻め込まれる時間も続きますが、反則を犯さず凌ぐと、後半17分、敵陣ゴール前のモールを押し込んだ後、ラックからボールを持ち出したFL下境洋選手がトライ。12対0とリードをひろげます。

 石見智翠館も、けがのため途中出場となった祝原久温主将を投入するなど必死の反撃を試みますが、どうしても国学院栃木の分厚い壁を崩すことができません。「練習時間のうち大半はディフェンスの練習。数的不利な状況を練習するなど、とにかくタックルした後もすぐ立ち上がって繰り返しディフェンスに参加する厳しいトレーニングを積み重ねてきた」と笹本直希主将が語った国学院栃木。最後まで、強豪・石見智翠館に得点を許さず、12対0で勝利。準優勝した101回大会以来の準決勝進出を果たしました。

<準々決勝の結果>

常翔学園(大阪)   24-19 大分東明(大分)
東海大大阪仰星(大阪)17-12 東福岡(福岡)
桐蔭学園(神奈川)  26-14 大阪桐蔭(大阪)
国学院栃木(栃木)  12-0  石見智翠館(島根)


 1月5日(日)に行われる準決勝の組み合わせは以下の通り。
 ▼国学院栃木(栃木)  vs 桐蔭学園(神奈川)
 ▼東海大大阪仰星(大阪)vs 常翔学園(大阪)

 第1試合は、桐蔭学園(神奈川)と国学院栃木(栃木)の関東勢対決。桐蔭学園・申主将が「目標にしていた大阪桐蔭を破った後こそ大事。気をひきしめて臨みたい」と話すと、国学院栃木・笹本主将は「部員のみんなも望んでいた対決、絶対に勝ちたい」と語りました。

 第2試合は、東海大大阪仰星と常翔学園の大阪勢対決。常翔学園・井本主将が「大阪総体では1本差で敗れている相手。今大会のチームの成長を感じているのでリベンジを果たしたい」と自信を口にすると、東海大大阪仰星・青野寛大主将は「部員全員で戦うのが我々のスタイル。全員でしっかり準備して勝ち切りたい」と語りました。

 決勝戦は、1月7日(火)午後2時から。準決勝を勝ち上がった2校による栄光の座をかけた高校ラガーマン最後の戦いが行われます。

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