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【全国高校ラグビー】桐蔭学園・申主将「最後は優勝すると信じて...3年生を中心に一つになれた」2年連続の全国制覇! 敗れた東海大大阪仰星・青野主将「グラウンドをチームカラーの紺に"染める"ことができたのは誇り」

MBSニュース / 2025年1月8日 19時40分

 高校ラグビーの聖地、東大阪市の花園ラグビー場で去年の12月27日から全国の代表校が集結して行われていた全国高校ラグビーフットボール大会。日本一をかけた戦いもいよいよ大詰め、1月7日には、激戦を勝ち抜いてきた2校による決勝戦が行われました。

連覇目指す「桐蔭学園」と7回目優勝を狙う「東海大大阪仰星」による大一番!

 夢舞台・決勝に勝ち上がってきたのは、大会連覇を狙う神奈川の桐蔭学園と、試合を重ねるごとに力強さを増してきた大会7度目の優勝を狙う地元大阪の東海大大阪仰星。メインスタンドからバックスタンドに向けて強い風が吹く中はじまった大一番は、試合開始から両チームの思惑が交錯します。

 「関西のチームは、ファーストアタックが鋭い。特に東海大仰星さんは序盤の集中力が高いので、とにかく最初の(相手の)攻撃で失点しないことを心掛けた」という桐蔭学園が、試合開始のキックオフから、鋭い出足でプレッシャーをかけて東海大大阪仰星自慢の早いテンポでのアタックを封じ込めると、キャプテンの青野寛大選手が「前半はあえて風下をとって、後半勝負の予定だった」と振り返った東海大大阪仰星は、桐蔭学園自慢のボールをリサイクルしながら左右に仕掛けてくる攻撃に対して、前にでるディフェンスでプレッシャーをかけて連続攻撃を防いでいきます。

相手のミスを生かした桐蔭学園が先制点をあげる

 両チームがプレッシャーをかけあう展開の中、先にチャンスをつかんだのは、相手のミスを上手く生かした桐蔭学園でした。

 前半9分、桐蔭学園は、東海大大阪仰星のペナルティーを生かして敵陣30m付近まで攻め込むと、ラインアウトからモールを組んでFW陣が上手くコントロール。CTB松本桂太選手が、モールへの対応でカバーが遅れたディフェンスのギャップをついて一気に前進、仰星のゴールラインに迫ります。

 このチャンスに、「FW戦で優位に立つためにも、最初に22m以内のチャンスが来たら、FWで押し込もうとみんなとは話をしていた」と申驥世主将が語った桐蔭学園が、徹底したFW勝負でトライを取りに行きます。何度も何度もFWで体をあてて最後の突破を試みる桐蔭学園。しかし、仰星の集中した粘り強いディフェンスの前に、なかなかゴールラインを越えることができません。それでも確実にボールをキープしながら攻撃を続けると、最後は、アドバンテージを生かして右に展開して松本選手がトライ、大事な先制点をもぎ取りました。

桐蔭学園が12対0とリードを広げ前半終了

 自分たちの規律が乱れて、ペナルティーをきっかけに5点のリードを許した東海大大阪仰星。その後は、積極的にボールを動かしながらも、我慢強くゲームを進めていきます。しかし、桐蔭学園のプレッシャーの前に、攻撃の起点となるラインアウトが安定せず、なかなか有効な攻撃を仕掛けることができません。

 前半終了間際の29分には、キックを使って打開を試みますが、この攻撃に対して、桐蔭学園が自陣から鮮やかなカウンターアタックを仕掛けます。東海大大阪仰星のパントキックをWTB草薙拓海選手ががっちりとキャッチすると、仰星のチェイシングが甘くなったスキをついて一気に反撃します。全員が素早く反応して左に展開すると、タッチライン際を逆サイドのWTB西本友哉選手が快走。巧みな連携で仰星ディフェンスを振り切って、最後はリターンパスを受けた西本選手が左隅にトライ。SO丹羽雄丸選手が難しい角度のゴールを決めた桐蔭学園が、ここぞというときのチーム力の高さをみせて12対0とリードをひろげて前半を折り返しました。

「風上の後半はアタックしていこうと話をしていた」東海大大阪仰星が反撃開始

 それでも、2チャンスで挽回可能な得点差、青野主将が、「前半の点差は予想の範囲内だったので、風上の後半は思い切ってアタックしていこうとみんなで話をしていた」と語った東海大大阪仰星。後半に入ると勢いよく反撃します。

 キックオフから、仰星らしいテンポの早いパス回しで攻撃を仕掛けて、桐蔭学園陣内深くまで攻め込むと、後半4分、ペナルティーからの早い仕掛けでSO吉田琉生選手が中央にトライ。ゴールも決めて12対7と5点差に迫りました。

 さらに直後のキックオフ、自陣から思い切って仕掛けます。仰星らしいハンドリング技術の高さをみせて、桐蔭学園のディフェンスラインを破ると一気にハーフウエイラインを越えて、最後はインゴールにボールをけりこみます。インゴールでボールを押さえれば同点トライという場面でしたが、このボールがデッドボールラインを越えて惜しくも得点なりません。大きなチャンスを逃してしまいます。

連続トライで勢いに乗った桐蔭学園が2年連続5回目の全国制覇

(写真提供:JRFU)

 再開は、キックを蹴った桐蔭学園陣内のスクラム。ここで桐蔭学園が勝負の流れを引き戻します。申主将が「試合の流れに関係なくやるべきことをやろう。ここが勝負、絶対に勝とう」と告げたスクラムでFW陣が奮起。東海大大阪仰星のペナルティーを誘って、再び仰星陣内まで攻め込みます。
 (写真提供:JRFU)

 そして仰星陣内のラインアウト、「ここが勝負のポイント、22mラインよりも外側だったが、ここはモールを組んで押し込んでいこうとみんなで確認した」という桐蔭学園。FWの選手がまさに一塊となって、じりじりとモールを押し込んでいきます。ついにゴールラインを越えてHO堂薗尚悟選手がトライ。逆風の中、丹羽選手が鮮やかにゴールを決めて19対7。後半9分で再び12点差として仰星に傾きかけていた試合の流れを力ずくで粉砕しました。

 仰星FWの心をへし折ったFW陣の大きなトライ、再開後のキックオフから今度はBK陣が、連動した動きで仰星ディフェンスに大きなダメージを与えます。キックオフ直後、落ち着いた対応で東海大大阪仰星のプレッシャーをはねのけると、左に展開してBK陣で仕掛けます。自陣の深い位置からFB古賀龍人選手が切れ味抜群のステップで次々とディフェンスをかわして仰星ディフェンスを置き去りにしていきます。最後は、SH後藤快斗選手の素早い球出しに反応した丹羽選手が中央にトライ。FW陣に続いてBK陣の心もへし折るあっという間のノーホイッスルトライ。ゴールも決めて26対7として勝負の行方を決定づけました。

 去年の大会では2年生ながら大活躍を見せていた古賀選手。司令塔として輝きを魅せた丹羽選手とともに、大一番でもさすがの存在感を発揮しました。

 連続トライで完全に勢いに乗った桐蔭学園はこの後、15分と21分にもトライを追加、東海大大阪仰星も終盤、意地の連続トライを返しますが反撃もここまで。チームとして連動しながらも、ひとりひとりが強さ、巧みさをみせて確実に役割を果たした桐蔭学園が、40対17で東海大大阪仰星を下して見事2年連続5回目の全国制覇を飾りました。

桐蔭学園・藤原監督「3年生が一生懸命やってきた成果が出た」

 試合後、藤原秀之監督が「決勝では4回目の挑戦で、やっと大阪勢に勝利することができた。今年のチームは本当に成長してくれた。申キャプテン、古賀バイスキャプテンをはじめ、3年生が一生懸命やってきた成果がこの大会に出たと思う」と生徒たちの頑張りを称えました。

 キャプテンの申驥世選手は「春先は負けて悔しいことも多かったが、3年生は最後は優勝すると信じてやってきた。僕自身を含めて昨年の主力メンバーが、けがで離脱したときに、(残った)3年生が中心となって一つになることができた。花園で勝つためにはどうすればいいか、みんなが真剣に時間をかけて考えることができたことが、チームの成長につながった」と感慨深げに振り返りました。

 一方敗れた東海大大阪仰星の青野寛大主将は「純粋に桐蔭学園は強かった。決勝では負けてしまったが、最後まで部員全員一つになって戦うことができた。チームのスローガンであるグラウンドをチームカラーの紺色に“染める”ことができたのは誇りに思う。この悔しさは、後輩たちが(決勝で相手チームが優勝する)この景色を見たと思うので後輩たちに託したい」と最後まで全員で戦い抜いた誇りを胸に、全国制覇の想いを後輩に託しました。

 今年度も数多くの激闘と感動を残してくれた全国高校ラグビーフットボール大会。104回目を迎えた大会は、神奈川・桐蔭学園の連覇で幕を閉じました。

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