"世界が認めた天才"成田悠輔氏が提言 "少子高齢化=経済が停滞する"は思い込み
MBSニュース / 2022年5月31日 14時6分
30代半ばという若さで名門イェール大学助教授を務める“世界が認めた天才”成田悠輔氏が、現役予備校講師の林修先生を聞き手に激論を交わしたインタビューが5月29日の「日曜日の初耳学」内で放送された。4月に放送されたインタビューでは格差社会問題と公平な大学入試制度のあり方について意見をぶつけ合った2人。そのアーカイブ動画が100万回再生を突破するなど、放送後には大きな注目を集めた。
第2弾となる今回は、日本が今まさに直面する“少子高齢化”がテーマ。「少子高齢化が“言い訳”として使われている」と警鐘を鳴らす成田氏が、少子高齢化でも発展し続ける社会の形について語った。
少子高齢化と経済成長は関係ない!
成田氏は、不登校も経験した暗黒の少年時代を乗り越え、東京大学経済学部を卒業。世界大学ランキングで10年連続1位の超名門マサチューセッツ工科大学で博士号を取得し、現在はデータ分析を駆使して経済の分野で最先端の研究を行う。
目下、注目するテーマの一つが“少子高齢化”。日本では、昨年の出生数は84万人と、6年連続で過去最少を更新。一方、高齢者の割合は年々加速し、昨年は過去最高の29.1%。3人に1人が65歳以上という時代が到来した。
(林)「少子高齢化については、どうお考えですか?」
(成田)「少子高齢化って、言い訳として使われているなっていう感じが少しあるんですよ」
(林)「お、と言いますと?」
(成田)「“もう日本は沈んでいくしかないんじゃないか”って、ちょっと諦めモードになってしまっている。で、その諦めを少子高齢化っていうことのせいにしている部分は、ちょっとあるかなと思うんですよ」
(林)「なるほど。本当の原因は他にあると?」
(成田)「というよりは、少子高齢化が起きると自動的に国がダメかっていうと、そうでもないってことなんですよ。面白いデータがあって、過去数十年間くらいで世界中の国でどれぐらい人口が高齢化したかっていうことと、一人当たりのGDPとか経済成長とかっていうのがどれくらい伸びたか、豊かになったかの関係を見るデータです。高齢化している国の方が、(働き手が減って)経済が落ち込んでいきそうですよね。でも実際調べてみると、ほぼ関係がないっていうデータがあるんですよ」
(林)「ほぅ!」
少子高齢化時代を支える機械化・自動化の波
成田氏が指摘する通り、ドイツや韓国など高齢化が進んでいてもGDPは右肩上がり、という国も存在する。
(成田)「すごく重要な仮説は、機械化とか自動化です。人間ではないものを使って経済を維持していかなければならない。工場にどんどんロボットを導入して製造プロセスを自動化していく、みたいなことです。本当であれば日本が一番それの先頭をいってなくちゃいけないってことだと思うんですよね。実際、一人当たり年率数%くらいのGDPを成し遂げているドイツや韓国では機械化がものすごく進んでいるっていうデータもあります。少子高齢化を“解くことのできない問題”だと決めつけない、言い訳として使わない。その中で何をすればいいのかを考えるっていうポジティブな方向が重要なのかなと」
(林)「高齢化は防ぎようがないと思うんですけれど、少子化については手が打てるか打てないか…」
(成田)「日本人が子どもを産んで少子化を食い止めるのは、もう難しいんじゃないでしょうか。というのは、子供を産める年齢の人たちの数自体が減っていますから。今後できることがあるとしたら、移民。海外からどう人を受け入れるか、ということだと思うんですよね」
少子化打開のヒントはラグビー日本代表にあり!
(林)「ラグビーの日本代表がW杯で大活躍した時もみんな応援しましたが、あのチーム、我々が思う“従来の日本”のイメージとはだいぶ違いましたよね?」
(成田)「そうですね」
(林)「僕はこれが、来るべき日本の在り方かなって思って見ていたんです」
(成田)「そうですよね。僕は半分アメリカに住んでいるんですが、アメリカって移民の国じゃないですか。数学オリンピックのアメリカ代表を見ると、アメリカ人っぽい見た目の人がほとんどいないんですよ。みんなアジア系のアメリカ人で、中国代表なのかアメリカ代表なのか見分けがつかないみたいな感じになっているんですよね。これが新しいことを生み出せる移民を受け入れられた国の姿なのかなと思うので、そのラグビー代表の話とか、こうシンボルが生まれると、話が進みやすい。みんなのその移民みたいものに対して持っているイメージみたいなのが、すごく前向きな方向に変えられるのかもしれないなっていう感じはしますね」
「そろそろ滅びゆく動物なんだと思うんですよ」
(成田)「最後に1点だけ全然スケールの違う話をします。人類全体で見ると、少子化して滅びたっていいじゃないか、っていう見方もできるんじゃないかと。僕たちって、そろそろ滅びゆく動物なんだと思うんですよ」
(林)「まあ一つのご意見としてね」
(成田)「(愛媛県)今治市にある公園に、460mの散歩道があるんですよ。その460mで、地球が生まれてから今に至る46億年の歴史を教えてくれる道なんです。その地球の歴史の中で、人類が生まれたのっていつ頃だと思いますか?全体が460mだとすると」
(林)「その道の最後の5cmとか、そのあたりになるんじゃないですか」
(成田)「そう、5cmでさえなくて、1cmとか2cmとか、もう最後のひとしずくなんですよね。そう考えると、少子化って最終的にはどうでもいい話になってくる。物事をどれくらいの時間軸やスケールで見るかによって、何が重要で何が重要じゃないのかが全部ひっくり返るっていうことがありますから」
(林)「なるほど、もうおっしゃることはその通りで。今のお話を聞いていて大学時代の議論を思い出しました(笑)。そういう超越論的な意見がポーンと出てきて、みんなに水ぶっかけるんですよね。…それをよくやったのが僕なんですよ(笑)」
(成田)「(笑)。やっぱり林先生と僕は似ていたっていうことで」
※このインタビュー記事は、毎週日曜日の夜10時から放送している「日曜日の初耳学」の人気企画<インタビュアー林修>5月29日放送回の内容を基に再構成しました。<インタビュアー林修>は、林修先生が"時代のカリスマ"と一対一で対峙する番組人気企画。
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