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「やるせない悲しみ」アメリカで繰り返される学校での「銃乱射事件」に池田小事件遺族「コロンバイン高校」訪ね思った『学校の安全』

MBSニュース / 2022年6月12日 17時50分

 児童8人が犠牲となった大阪教育大学附属池田小学校の事件発生から、21年がたった。当時7歳の酒井麻希(さかいまき)ちゃんを失った父親の肇さんは、この5月に新たな衝撃を受けた。米・テキサス州の小学校で発生した銃乱射事件だ。児童19人、教師2人の計21人が殺害された。酒井肇さんは、小学校が現場となった惨劇に「うんざりした」と語る。現場の教室にいた女子児童は連邦議会で「犯人は先生を撃ちました。『おやすみ』と言って、先生の頭を撃ちクラスメートを撃ちました」などと当時の凄惨な様子を語り、同じような事件が再び起きないよう「学校を安全にしてほしい」と訴えた。

銃乱射し13人死傷の「コロンバイン高校」を池田小事件の遺族が訪問 きっかけは"励ましの手紙"

 同様の事件は全米各地で繰り返されてきた。1999年にコロラド州・コロンバイン高校で発生した銃乱射事件では、犯罪グループに属していた男子生徒2人が爆弾を爆発させ、銃を乱射、生徒12人と教師1人が死亡、27人が重傷を負った。酒井肇さんは、2002年に現場となったコロンバイン高校を訪問している。附属池田小の事件の後、コロンバイン高校の遺族から励ましの便りをもらったことがきっかけだった。

 「事件で、子を亡くした親として出来ることは何か」と自らに問い続けた酒井さんの結論だった。現地では、同じような辛い経験をした遺族が酒井さんを迎え、「事件現場」である学校をどう残すべきかを話し合った。

改築の校舎を見て「美しく希望にみちているだけに、当時の惨劇が聞こえてくるよう」

 実際にコロンバイン高校の現場に赴いた酒井さんの目に飛び込んできたのは、遺族の取り組みで改築された校舎だった。事件が起きた2階の図書館の床は取り払われ、広々とした吹き抜けの空間となり、天井には森をイメージした絵が描かれていた。天井を見上げながら酒井さんが発した言葉を覚えている「美しく希望にみちているだけに、当時の惨劇が聞こえてくるようだ」と。

コロンバイン高校を参考に池田小でも校舎の改築を実施

 酒井さんを迎えた遺族のドーン・アナさんは次のように話した。

 (遺族のドーン・アナさん)
 「生徒達には、安全で癒される場所が必要で、希望が見える場所にしたかった」

 その後、附属池田小ではコロンバイン高校を参考に校舎の改築が行われ、学校は安全対策の徹底に舵をきった。校内に設置された防犯カメラの映像は職員室で常にモニタリングされ不審者が侵入した際の実践的な訓練も続けられている。だが、事件から21年という時間の経過とともに「風化」を懸念する声もある。

 酒井肇さんは言う「私たち遺族が恐れているのは"事件そのものの風化"ではなく、そこから得られた"教訓の風化"です」「アメリカでは、銃が関連する事件が繰り返されるたびに"一時的な世論の高まり"は見せるが、ふたを開けてみると何も変わらない...」銃の携帯が多くの州で認められているアメリカでは「権利」と「規制」の主張が半ば拮抗し、銃規制の議論はなかなか進まない現状がある。ただ最も安全であるべき「学校」で、子供たちをどう守るのかは、日米共通の課題だ。

 今後、アメリカでどのような議論が展開されるのかを見守りたいという酒井さんは、事件から21年が経過した今も「学校の安全」を問い続ける。

毎日放送報道情報局 解説委員 三澤 肇

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