現代最強マーケター森岡毅が就活生に語った「自分を売り込むブランディング術」
MBSニュース / 2022年6月13日 19時59分
ハリウッド映画に特化したテーマパークだったユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が、2010年を境に大胆に方針転換。日本のアニメや漫画などを取り入れ、驚きのV字復活を遂げたニュースはまだ記憶に新しいが、その立役者のひとりとなったのが、現代最強とも言われるマーケター・森岡毅だ。6月12日に放送された「日曜日の初耳学」では、そんな森岡がキャリアに悩む若者たちにアドバイス。“モノを売り込む”プロフェッショナルである森岡は、“自分を売り込む”ことの難しさに悩む若者にどんなアドバイスを送ったのか。その一部始終を振り返る。
“森岡流 自分を売り込む極意”とは?
仕事で失敗し自信を失った社会人ややりたいことがわからない大学生など、キャリアに悩む若者にさまざまな分野のカリスマが魂の講義を行う<熱血授業>企画に登場した森岡。就職活動中の大学4年生からの「自分は持っている武器が少ないんじゃないかと不安です」というお悩みに答えた。
その学生は、エントリーシートの“学生時代に力を入れたこと”の項目に書くべきことが分からず悩んでいるという。
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森岡は「あなたの価値を相手に理解させるための、私ってこういう人です、っていう“ブランディング”をまず考えておくべきだと思うんです」と語りはじめ、「こういう、てるてる坊主みたいな図を描いてください」と黒板に大きな円(〇)を描き、その下に少し重なるように三角形(△)を描き込んだ。この図こそが、就活生のみならずすべての社会人に役立つ“森岡流 自分を売り込む極意”だという。
△に横線を2本引き、3つのエリアに分ける。できた3つのエリアの一番上に「WHO(誰に)」、真ん中に「WHAT(何を)」、下には「HOW(どうやって)」と書き込み、「私を『誰に』売り込むの?私の『何を』売り込むの?私を『どうやって』売り込むの?を考えるんです。〇が攻略したい市場、△は自分というブランドです。マーケットに対して、自分というブランドをぶっ刺していく、っていう考え方です」と説明した。
“困難な状況での成功経験”をアピールに活かす
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就活生の場合、「WHO(誰に)」には面接官やOBが該当する。「WHAT(何を)」は便益・ベネフィットで、そこにはリーダーシップや協調性など、アピールしたい長所が入る。“私はこういう価値があります、だからあなたは私を買うべきです”というその長所を補強する説得材料が経験・実績であり、“学生時代に力を入れたこと”という質問ではそこを問われているのだ。
では、長所をより効果的にアピールするにはどうすればよいのだろうか。
「例えばサークル活動での経験を材料にリーダーシップを売り込みたい時、どういう例を挙げれば『この人はたしかにしっかりしているな』って思ってもらえると思います?」と森岡。就活生から「挫折した経験も大切なんじゃないかなと思います」の声が上がると「なるほどそうですね。要は“困難”。挫折とか逆境とか、いかに難しい局面をリーダーシップによって乗り切ったかということを本当の体験から語ると、この人はリーダーシップがある人だな、と思ってもらいやすいんです」と、説得のテクニックも明かした。
自分を売り込むときに一番大事なもの
そして次に問題になるのが、3つ目の「HOW(どうやって)」。森岡曰く「『HOW』って何なのかというと、人々がその商品、ブランドを見た時の『見た目』のことです。リーダーシップに優れた人は、どういう風に見えるべきだと思いますか?それはたとえば『この人、人に信頼されそうだな』と見えること。すごく大事ですよね、人に信頼されることっていうのは」。
見た目は大切だ。過去には「人は見た目が9割」という書籍が大ヒットしたほどだ。たとえばリーダーシップに優れているように感じさせたいのであれば、自信にあふれ、タフな雰囲気、強いエネルギーを感じさせることは、強力な説得材料の一つになる。
そうなると“自分を売り込むこと”の成否は自信ありげな雰囲気や巧みな話術なのかと思われがちだが、森岡の考えは少し違う。「上手に話せなくていい、伝え方は努力目標でいいんです。『伝え方が大事だ』って言う方もいるじゃないですか。伝え方ももちろん大事なんですが、僕は中身の方が大事だと思っていて。『中身が10割』だと思っているんです」と、外見をそれらしく取り繕うよりも、売り込むべき自分自身を見つめることが大切だと説いた。
最強マーケター・森岡が考える「キャリアとは?」
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授業の最後には、森岡がこれまでの仕事人生で出した“キャリアとは?”への答えを明かす場面もあった。「結局、『正しいかどうか』っていうことは他人が決めることじゃないんですよ。もちろん評価は他人がすることです。でも、『正しいかどうか』だけは自分の中にあるんです。なので、自分のモチベーションの源泉を他の人に握られないことが大事です。評価されたり評価されなかったりします、怒られたりもします。ただ、褒められたりもします。それを繰り返しながらどんどん新しい景色が見えてきて、気がついたら自分にできることが増えていって、その時に振り返って目にした道筋が“キャリア”なんだと思うんですよね」としみじみ。
そして、「社会はへこまされることが多いですけど、きっと進んだ先にはよりいろんなことができるようになった自分がいますので。頑張っていただきたいなと思っています」と、最後はエールで締めた。その時々で『正しい』と思えることを選んで進み、その結果ついた筋道がキャリアだと語った森岡。講義を終えたカリスマに、若者たちから熱い拍手が贈られた。
※この記事は、毎週日曜日の夜10時から放送している「日曜日の初耳学」の人気企画<熱血授業>6月12日放送回の内容をもとに再構成しました。
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