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「免許返納せなあかんと...」スーパーで車暴走し3人死傷 被告の90歳高齢ドライバー 長女は「父の減軽望む気になれない」あす(27日)判決

MBSニュース / 2023年1月26日 21時42分

2021年11月17日。大阪府大阪狭山市のスーパーマーケットで、乗用車が暴走し3人が死傷する事故が起きた。運転していたのは90歳の高齢者。被告の妻も車にひかれ、今も意識不明の重体の状況が続いているという。悲惨な事故を引き起こした高齢ドライバーを裁く法廷で見えてきたのは「免許の返納」と“家族のためらい”や“悔い”の言葉。ドライバーの過失はどう断罪されるのか、そして残りの人生にどんな罰が科せられるのか。あす(2023年1月27日)に判決を迎える。

事故の原因は「アクセルとブレーキ踏み間違え」

事故からちょうど一年後の初公判。事故当時、横山孝被告(90)は杖をついて歩いていたが、この日は車いすで出廷し、裁判所から補聴器を借りて装着していた。検察側は冒頭陳述で「買い物のため車を運転し、妻と2人でスーパーマーケットを訪れた。妻が買い物をしている最中、スーパーの西側路上にエンジンをかけたままの状態で停車して待ち、妻が買い物を終えた後、トランクを開けようとして事故を起こした」と概要を説明した。

そして「車のサイドブレーキをかけ忘れたまま体を運転席から出した際に、車がゆっくり動き出し、慌てて運転席に座り直してブレーキを踏んだつもりが、踏み間違えて急発進した」とした。 


横山被告は起訴事実を認めている

被告の長女が証言「免許返納を考えていました」

第二回公判廷で、横山被告の長女が証言台に立った。弁護人が事故前の父親の様子を聞いた。

(弁護人)「事故前の車の運転の様子は?」
(長女) 「父は安全運転でした。免許更新の時は教習所の先生に『年の割には運転がうまいと言われた』と嬉しそうにしていました」
(弁護人)「免許返納という話は?」
(長女) 「家では年齢も年齢ですし、返納することは考えていました」
(弁護人)「車を運転する際に注意している様子はありましたか?」
(長女) 「父はその日の気分によって運転を嫌がることがありました。その時は私が代わりに運転することがありました。事故の日は、たまたま私が実家に行くので、父は私が運転して買い物に行ってはどうかと母に提案したんですが、遠慮があったのか、母は父の考えを聞かずに父の車で買い物に行ったみたいです」
 
その判断が、まさかあのような事態を招くことになるとは...、一瞬にして父親が加害者、母親が被害者となった長女は、心境をこう明かす。

(長女) 「被害者の皆様、遺族、家族の方には本当に申し訳なく思います。父に対して減軽を望む気持ちにはどうしてもなれません。許されるなら、父も高齢ですし、残りの人生を静かに送ってもらいたいですが、被害者の方のことを考えるととても複雑です」

証人尋問を終えて法廷を後にした長女は横山被告と目を合わせることはなかった。

そして、横山被告本人が出廷。弁護人から事故を起こしたことについてどう感じているか質問されたが、やはり耳が聞こえにくいのか、やり取りがうまくいかない場面も。

(弁護人)「アクセルとブレーキを踏み間違えるのは初歩的なミスだと思いますけど、1人亡くなって2人が重体となっているのはどう思う?」
(横山被告) 「ちょっと聞こえにくくて」
(弁護人)「申し訳ないと思っている?」 
(横山被告) 「重々・・・・・自分がやったことですけど、責任を感じています」
(弁護人)「毎日仏壇に手を合わせているのは本当ですか?」
(横山被告)「仏さんには拝んでいます」

「90やから、免許は返納せなあかんと」

一方の検察官は高齢ながら車の運転を続けていたことを追及した。
(検察官)「事故を起こすまで自分の運転で危なかったことはあった?」
(横山被告)「ありますよ、嫁さんもしょっちゅう言うんですわ」
(検察官)「サイドブレーキのかけ忘れは?」
(横山被告)「事故はないねえ」 
(検察官)「免許は返納したほうがいいと思っていましたか?」
(横山被告)「あります。90やからね。免許は返納せなあかんと」
(検察官)「でも車は必要だった?」
(横山被告)「スーパーに買い物に行くのに必要で」 

「何とお詫びしたらよいか...」法廷で涙

検察官は論告で「運転者として極めて基本的な注意義務を怠った」として、禁錮5年を求刑。一方、弁護側は「事故を深く悔やんでいて、アクセルとブレーキを踏み間違えるということは同じ状況の運転者であれば年齢関係なく考えられる」などとして、執行猶予付きの判決を求めた。 最後に、裁判官から言いたいことがないか聞かれた横山被告は・・・

(横山被告)「今回の事故に対して、私は非常に反省しておりまして、皆さんに何とお詫びしていいか。皆さんに迷惑をかけた。これは、私はもう・・・何とお詫びしたらよいか分からない。それだけです」 

涙を流しながら答えた。 判決は1月27日に言い渡される予定だ。

MBS司法担当 清水貴太

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