1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

【判決詳報】スーパーで暴走..."急発進"車突っ込み3人死傷「過失の程度は大きい」90歳男に実刑判決「やったことの重み感じている」

MBSニュース / 2023年1月27日 21時3分

「主文、被告人を禁錮3年に処する。主文は以上です」男はまっすぐ裁判官を見つめていた。2021年11月、大阪府大阪狭山市のスーパーマーケットで、乗用車が暴走し3人が死傷した事故。運転していたのは、90歳の横山孝被告。被害者には被告の妻も含まれ、今も意識不明・重体の状況が続いているという。高齢ドライバーの過失は、実刑判決という形で一定の結論が出された。

「踏み間違えで急発進」検察は禁錮5年求刑...男「一生償いたい」猶予求める

裁判は事故からちょうど1年後の2022年に始まった。これまでの裁判で、検察側は事故の状況について、「スーパーの西側路上で、サイドブレーキをかけずに停車し、妻が買い物を終えた後、トランクを開けようと体を運転席から出した際、車がゆっくり動き出して慌てて、ブレーキを踏んだつもりが踏み間違えて急発進した」などと説明、禁錮5年を求刑していた。

一方、横山被告は起訴内容を認め、「一生償いをしたい。何とお詫びしたらよいか分からない」と話し、弁護側は「アクセルとブレーキを踏み間違えるということは、同じ状況であれば、年齢関係なく考えられる」などとして執行猶予付きの判決を求めていた。

判決は実刑..."機敏で的確な判断できず"過失の程度は大きい

迎えた1月27日の判決。大阪地裁堺支部の蜷川省吾裁判官は、「1人の生命が失われたことはもちろん、一命をとりとめた被告の妻を含め2人も医療措置や介護がなければ生存すら困難な寝たきりの状態に陥り、回復も見込めないという結果は重大というほかない。被害者の家族の生活への悪影響も見過ごせない。被告は、車のエンジンをかけっぱなしにして車を降りるのであれば、確実に停止させておくべきだったのに、その措置を十分にしないまま誤発進させた。被告がかなりの高齢で、若年者と比べて機敏で的確な判断が容易でなかったとみられることを考慮しても、過失の程度は相当大きい」と指摘。

「被告が犯罪や交通違反と縁遠い生活を送り、両親が加害者でも被害者でもある長女は、複雑な心情を抱きながらも、他の被害者への保険金による賠償が全うされるために今後も誠実に対応し、被告人を見守っていくと述べた。被告人も罪を認め、反省を続けると述べている。しかし、酌むべき事情を十分考慮しても、刑事責任は重く実刑はやむを得ない」として、求刑から2年差し引いた禁錮3年を言い渡した。

横山被告は、判決言い渡しの間、まっすぐ裁判長を見つめながらじっと内容を聞いていた。

男「自分がやったことの重みを感じている」

判決言い渡しの後、横山被告の代理人弁護士が報道各社の取材に応じた。

弁護士は被告本人や家族の様子について、「判決を聞いて落ち込んだり、不服な気持ちになったりしているわけではない。自分がやったことの重みを感じているように受け止めた」と話した。

裁判の中では執行猶予を求めていたことや、横山被告本人の年齢や体調も踏まえたうえで、控訴するかどうかを今後検討すると話した。

高齢になってもなお、生活上の必要性から車の運転を続ける人は多い。そんな日常を一変させる交通死亡事故は、「実刑判決」という重い代償になる可能性があることも、よく考えなければならない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください