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「トイレが本当にもう...」声落とす女性「トイレの臭いが嫌で、飲まず食わずの被災者が現れる」震災関連死リスク心配、あふれるトイレ問題【石川県能登半島地震:取材リポート】

MBSニュース / 2024年1月11日 17時25分

 自宅が全壊した夫婦に、「いま一番困っていることは何でしょうか」と聞く。妻が即答する。「トイレ。ここには簡易トイレが設置されていない。トイレが本当にもう…」と声を落とす。地震発生まもない避難所には、被災者の気持ちを折りかねない、深刻なトイレの問題が立ちはだかっていた。

 私は1月2日から5日にかけて石川県輪島市などで取材しました。避難所にはまだ十分な物資が届いていない状況でした。

 ほぼ全域で断水した輪島市では、トイレの水が早々に流れなくなってしまっていて、3日輪島市内の公共トイレでは、便やトイレットペーパーが便器からあふれ出ている状況でした。話を聞いた避難者の多くも、「トイレに困っている。衛生的に不安」と声をあげていて、ボックス型の仮設トイレや、組み立て携帯型の簡易トイレが、一刻も早く求められる状況でした。

待望の仮設トイレだが、問題点もあった

《画像 輪島市ふれあい健康センターの仮設トイレ》

一方で、仮設トイレの問題点も目にしました。避難所の一つ、輪島市ふれあい健康センターでは、3日時点で仮設トイレが設営されていましたが…。トイレに入りたくても入れない高齢女性がいたのです。

 女性は足が不自由で、トイレに入るための数段の段差を上がることができませんでした。私が補助して女性はようやくトイレを済ますことができました。

《画像:ビー・エス・ケイ》

 被災地が抱えるトイレの問題。大阪市で仮設トイレを製造する会社「ビー・エス・ケイ」に聞きました。同社は経済産業省から要請を受けて、珠洲市と輪島市の避難所に仮設トイレ10棟を設置。さらに携帯トイレ10万回分の発注を受けて、石川県に出荷したということです。

トイレの臭いが嫌で、『飲まず食わずの』被災者がいる

《画像:ビー・エス・ケイ》

株式会社ビー・エス・ケイ代表取締役 三谷彰則さん「災害関連死を予防するためにも、リスクを減らすためにも、命を守るためにも、”使える”トイレを増やした方がいい」

 三谷社長によりますと、トイレは、被災者の健康に影響を及ぼす可能性もあるといいます。

三谷彰則さん「被災地のトイレの臭いが嫌、などの理由で、被災者に『飲まず食わず』がまんなどが発生する。」「和式トイレやと、お歳を召された方や、足腰が悪い方が、そのまま便座に座ってしまう。そこから感染症になってしまうことがある。」

 私は避難所で目にした課題、段差が上がれず仮設トイレに入れない高齢女性の話を、三谷社長に尋ねました。

「簡易トイレの段差は、何のためにあるのか」

《画像:仮設トイレの段差(珠洲市内のトイレ)》

 三谷社長によりますと、仮設トイレは汲み取り式で、便をためる空間をつくるため、段差がどうしても必要になってしまうということでした。しかし三谷社長は、「フラットなトイレは必ず必要」と話し、災害関連死のリスクを減らすための『使えるトイレ』が必要だとしました。

 11日現在、輪島市の断水は、ほぼ全域でまだ続いている状況です。また仮設トイレはすべての指定避難所に行き届いていて、輪島市内で191個設置されているということです。

 目にしたトイレの光景、避難者の声。災害関連死リスクや衛生的な観点からも、トイレのいち早い復旧や快適トイレの導入、簡易トイレの備蓄は、優先順位を高くすべき支援だと考えられます。

(MBS報道情報局 記者 田中万結香)

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