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<F1レースで使われる「トークン」って何?>シーズン中のエンジン開発がレースの勝敗を握る

メディアゴン / 2015年6月24日 6時50分

岩崎未都里[学芸員・美術教諭]

* * *

久々のF1参戦のホンダエンジンに開幕戦から苦闘が続き、過去の「マクラーレン・ホンダ16戦15勝」を期待していたファンの皆様は随分ヤキモキされていることでしょう。

ホンダのモータースポーツ責任者・新井康久氏は開幕戦前のエンジン開発への質問に、

 「各レースで何枚のトークンを使うかについて計画を立てているところです。」

と、語っています。

この「トークン」って、何でしょうか? 筆者は、「トークン導入って、懐かしのNYの地下鉄のコインしか思い浮かばない」と、詳細を調べ直してみました。

 「トークン」=「開発点数」

今のF1では、シーズン中にエンジン開発するためには部品ごとに「トークン」=「開発点数」が必要で、勝手に改良してはならないのです。

そもそも、F1は2014年から大きくレギュレーションが変わりました。マシンのスピードを抑え、コストダウンを図るために、シーズン中のエンジン開発は禁止。

そうして、メルセデスの一人勝ちが続いたことから、2015年6月6日F1エンジン開発の凍結が事実上解除され、フェラーリ、ルノー、メルセデス、ホンダは2015年シーズンを通して定められた「トークン」=「開発点数」を利用したエンジン開発が可能とされたのです。

エンジンは、機能別に42項目に分類され、性能への影響度によって1~3の「ウェイト」が設定されています。例えばエンジンを100%変更するには各ウェイトを合計した66の「トークン」が必要となるわけです。

2015年に各メーカーに割り振られているのは、全体の48%にあたる32のトークンなのです。つまり全面変更はできないわけですね。

開幕戦の時点で、シーズンオフのエンジン開発に各メーカーが使ったトークンは、フェラーリ22(残り10)、メルセデス25(残り7)、ルノー20(残り12)となります。

ちなみに、新規参入のホンダはシーズン中に、他の3社の平均である9トークンを使用したパワーユニット開発が認められています。

冒頭で新井氏が言われた「各レースで何枚のトークンを使うか」というのは、この9枚のトークンの使い方を指しているわけです。

 「我々が弱い分野のひとつは馬力です。もっと馬力が必要です。」
 「すぐに馬力を改善できる新しい内燃機関のコンセプトを開発・テストしています。」
 「トークンを使うべき分野はおそらくここでしょう。」

と、具体的な使い方まで細かく言及されています。さて、その「トークン」の使用は開示義務がありますが、エンジンの何処を改良・開発したか? は、開示義務はありません。

マクラーレン・ホンダはカナダGPで2トークン使用。残る7枚をどのように割り振るのか? トークン使用時のエンジン詳細を知るのはチームとレーサーのみです。

ドライバーのフェルナンド・アロンソはインタビューで偽の情報流すのが定石です。「マシンと相性が悪い」と、憤慨したり「今のポジションやパフォーマンスを考えれば、来年に集中するのがクレバーなやり方だ」と、今季を諦めたかのようなアロンソの発言を真に受けるか迷うところです。

このかけ引きを含めてレース観戦すると随分と面白みが増してきます。今のところ、「7月26日のハンガリーGPで残りのトークンの大半を使った大幅なアップデートが投入される」と、情報開示されています。

9月27日の鈴鹿グランプリにかけて、マクラーレン・ホンダの巻き返しをおおいに期待したいですね。

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