<「めちゃイケ」に残された最後の職人魂?>「めちゃイケ」が嬉々として番宣をやっているようでは見限られる
メディアゴン / 2015年7月22日 7時10分
高橋維新[弁護士]
* * *
2015年7月18日放映のフジテレビ「めちゃ×2イケてるッ!」(めちゃイケ)は2時間スペシャルだったが、全編「27時間テレビ」の番宣である。
筆者は、「めちゃイケ」に関して頻繁に批評記事を公開しているが、さすがに「27時間テレビ」の番宣ばかりなので、毎週同じような感想しか書けずに困ってしまう。
何度も述べているが、番宣というのは宣伝の対象となる番組を「褒めざるを得ない」ものである。そして、これも何度も述べていることであるが、何かを褒めても笑いは生じない。
バラエティに出てきた俳優や女優が、自分の出ているドラマを「笑いあり涙ありの力作になっています」と一言紹介しても、何もおもしろくない。つまりは、そういうことである。
だから、バラエティではなるだけ番宣はやらない方がいい。人気になったバラエティには、同じ局から色々と番宣の話が入ってくるが、基本的には断るのが正解である。
「めちゃイケ」も、人気番組になっても番宣を断る「職人魂」を持った番組だった。どうしても番宣をやらざるを得ない場合、なんとかしておもしろくなるように工夫していた。結果として、その宣伝の対象である番組自体をけなすような感じになってしまうことも度々あった。
これはほんの一例だが、過去に、香取慎吾主演の「忍者ハットリくん」の実写映画の宣伝(これは「番宣」ではなくて映画の宣伝だが)が「めちゃイケ」で行われたことがある。
この時は、ハットリくんに扮した香取が「数取団」に参戦していたが、香取が忍術を使ってくるのに対して、加藤浩次は全くそれを喰らった芝居をせずに、香取を張り倒していた。これは完全に、いい歳の香取がハットリくんの漫画チックな扮装をして「ニンニン!」などと言っている映画のコンセプト自体をバカにした瞬間であった。
逆に言うと、こういう形でおもしろく料理ができない番宣は断っていたのがかつての「めちゃイケ」である。それでも番宣をねじ込もうとして来る相手には、おもしろくなるような交換条件を飲ませるのが「めちゃイケ」であった。
主演女優が池や穴に落とされたり、岡村や濱口からセクハラをされたり、薄汚い恰好をしてコントをさせられたり、私的なスキャンダルをイジられたりするのを覚悟しなければ、「めちゃイケ」で番宣はできなかったのである。
もちろん、この「めちゃイケ」の矜持は、まだ残ってはいる。完全に消え去ってはいない。今回の放送も、できるだけ中身がおもしろくなるようなコントが随所に盛り込まれていた。
「本気」がコンセプトのくせにEXILEとのダンスの曲数を減らすよう愚痴る岡村と、それをタメ口でたしなめるMATSU。不倫スキャンダルをイジられる矢口真里。ドッキリ的な流れでバンジーを飛ばされることになってしまったたんぽぽ白鳥。お笑いを分かり過ぎているケント・モリ。自分の出番が少ないとキレる加藤と、それに絡む寺田くん。
そのため、つまらなくはないのだが、番宣というシバリがキツ過ぎて、全体的には低空飛行になっている。このシバリをとって自由な番組作りをさせた方が、確実にもっとおもしろい映像が展開できるはずである。
ただ、「27時間テレビ」は今後もしばらく「めちゃイケ」にのしかかり続けるだろう。来週は「27時間テレビ」の本番であり、その後も「27時間テレビで実質的に何週間分も番組をやったのだ」というようなことを言い訳にして数週間は休むだろうし、やっても「27時間テレビ」の映像を編集したような手抜きの回になるだろう。
よって、この「27時間テレビ」の余波が過ぎたあとのめちゃイケが見ものである。
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