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<テレビドラマが消える日>無料のテレビ放送が60年で衰退した理由は「臆病」だった

メディアゴン / 2015年7月25日 7時10分

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

* * *

これからの時代、優良なドラマを作り続けるにはどうしたらよいのだろう。

 「ドラマのようなコンテンツは将来に亘ってずっと必要とされており、決してなくならない」

というのは、おぼろげな頭で考えると正しいように思える。しかし、本当に正しいだろうか、沈思黙考すると正しくないような気もしてくる。

映像メディアにおけるドラマはこれまで映画や、テレビドラマという形で作られてきた。我々はその栄枯盛衰を見てきた。日本において、映画は一時、無料コンテンツとして提供されるテレビドラマに押され衰退した。でも、映画が作家性を取り戻して本来の姿に戻ったかに見える昨今は盛り返したように思える。

両方とも、作るのには資金がいる。金があればよいものが出来るわけではないが、金がなければ出来ないのは確かだ。その資金はどこから持ってくるのか。

代表的なのはテレビ局から、資金が提供されるという形だ。しかし、テレビドラマは当たり外れの多い博打みたいなものだから、テレビ局も金を出し渋るようになってきた。

かつて「ドラマの」と、冠をかぶせて呼ばれたTBSでさえ、2015年秋のゴールデン・プライムのドラマ枠は3枠だけである。

スポンサーから、広告代理店を通してCM料をもらうという盤石とも思えるビジネスモデルを構築して、我が世の春を謳歌していた頃のテレビ局は博打にも金を出して、大穴を当てたりしたが、今は穴買いなどとても出来ない経済状態だ。テレビは今後金のかからない安直な情報番組とも呼べない垂れ流し番組が増えていくだろう。

無料のテレビ放送はほぼ60年、業態転換に臆病であったから衰退したと思う。

映画では制作委員会方式というのが全盛だ。商社や、テレビ局、新聞社、音楽出版社、芸能プロダクションが金を出し合うという方式だ。この方式は良いようにも思えるが、各社の利害調整が混乱して内容に影響を与えてしまう弊害もあると聞く。

スカパーやWOWOWなどのペイテレビ、HuluやNetflix等のオンデマンドでコンテンツを提供する会社から金を引き出して作るという方法もあるかも知れない。しかし、これらで、面白いというドラマを筆者はまだ見たことがない。企画を見抜く才能がこれらの会社にはいないのだろう。

クラウドファウンディングいうのも近頃流行である。ネット上に企画書をさらして、個人からから金を集めドラマをつくって、欲しいメディアに売り、もうけを分配する方法だが、この場合は投資型のクラウドファウンディングになるので役所への登録が必要だ。

登録は専門家に頼まないと不可能なほど面倒だし、集まるまで時間もかかるし、その間、制作者はアルバイトでもして糊口をしのぐのだろうか。

 「ドラマのようなコンテンツは将来に亘ってずっと必要とされており、決してなくならない」

この命題が真であることを、誰か証明してほしい。

ドラマも受信料でなりたっているNHKに任せるしかない、暗い日々がやってくるのだろうか。そういえば今、NHKの番組はどれもますます先鋭的になっている。

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