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<東急リバブルのCMに腹が立つ?>「笑い」をわかっていないCMクリエイターが「笑い」を狙うとこうなる

メディアゴン / 2015年8月22日 7時10分

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

* * *

「東急リバブル」のCMを見ると腹が立つ。

もちろん、筆者は「東急リバブル」には何も恨みはなく、むしろ好感を持っているくらいである。腹が立つのはCMそのものであり、これを作ったCMクリエイターに対してである。出演は吉本興業の山口智充と子役。まず、内容を再現しておく。(出典:https://www.youtube.com/watch?v=Is0YQyLQ3ic)

【シーン1】サッカーの練習帰りらしいユニフォーム姿の公園を歩いている父と小学1年生ぐらいの息子。公園には象のオブジェがある。

・父(山口)「次郎、象は犬の2倍鼻が効くって知ってた?」
・息子「そうなの!?(ものすごく感心する)」

【シーン2】父子、八百屋の前を通りかかると、外国人がオクラを持って、八百屋に話かけている。

・外国人「ヤー、オクラ!イエース オクラ」
・父「オクラって、英語だって、知ってた?」
・息子「そうなの!?(ものすごく感心して)他にはないの?」
・父「えーっ(話すことがなくなった)」

【シーン3】父子、東急リバブルの店舗前を通りかかる。

・父「(思いついて)不動産仲介の東急リバブルCM好感度が2位になったって知ってた?」
・息子「知ってる!お客さんも増えたんだよ」
・父「何でそんなこと知ってんの」
・息子「兄ちゃんが言ってた」

(ワイプで野球のユニフォーム姿の兄の顔が出る)

・父「兄弟でどんな話してんだよ」

以上である。

スポンサーへのプレゼンテーションも上記のようなスクリプトと絵コンテによって行われたと思われる。ではなぜ、このCMに腹が立つか。

理由はいくつかある。まず、笑いを取ろうとしてCMをつくっているのに、恥ずかしいくらい笑いのことが分からないクリエイターが作っているからである。

この、クリエイターは「おもしろうそう」と「おもしろい」の違いが全く分かっていない。まず、説明カットを臆面もなく出すところがダメだ。象のオブジェとオクラと話す外人。説明は面白くない。

息子の「他にはないの」という台詞がダメだ。ご都合主義で話を作っているところが見苦しい。

構造的に「落ち」は息子の「兄ちゃんが言ってた」と言う台詞であるが。これでは「落ちない」のでフォローして、父の「兄弟でどんな話してんだよ」という、受け台詞で笑いを取ることになる。

これは舞台上などで生でやるときに芸人がやる方法で、繰り返し見るCMでやると、鼻についてしょうがない。

山口のキャスティング自体、もしくはキャスティングが前提なら起用法も間違っている。

このCMを、あまり面白いことをやるイメージのない俳優を起用して(つまり、八嶋智人、生瀬勝久、高橋克実、織田裕二、陣内孝則などでもダメだと言うことだ)、例えば椎名桔平などで、子役から芝居臭さを取り去って、説明カットを全部止めて、カット割りを変え、そのままの台詞でやれば、面白くなるはずだ。

最後の台詞である父の「兄弟でどんな話してんだよ」は勿論いらない。それが「おもしろうそう」と「おもしろい」の違いなのである。

なお、このCMは、関東でしか見られないかも知れない。

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