<「言葉の起源」は物語>何か伝えようとする時の「発話」は常に「物語」とともにある
メディアゴン / 2015年10月16日 7時30分
茂木健一郎[脳科学者]
* * *
言葉の起源については、諸説ある。Corballisはgestural originsを唱えていて、発話の前にジェスチャーから言葉が生まれたのではないかと言っている。敵が来たときの警告音が言語の起源と関係があるという説もある。
ここでは「言葉」の起源と「物語」の起源について考えよう。言葉の起源は、物語の起源とほとんど同時なのではないかと考えることがある。例えば、子どもが、幼稚園から帰ってきて、親に、「どうだった?」と聞かれる。お遊戯がどうしたとか、友だちがどうしたとか言うだろう。
そこには、すでに、何らかの「フィクション」や「整え」が含まれている。私たちの会話は、すべて「物語」だということができる。膨大な経験の中から、取捨選択して、ある事象、印象を伝える。
そこにあるのはひとつの解釈であり、あえて言えば捏造である。日常会話において、「こんなことがあった」と言っているときには、そこには常には物語がある。
私たちの祖先が、たとえば野外で肉食獣に襲われて、無事逃げ延びたとき、何があったか伝えようとしたとき、あるいは、どこかで美味しい食べ物を見つけて、その感激を共有しようとしたとき、あるいは、空の赤の美しさに魅せられたとき、発話は、必ず物語とともにあったはずである。
ここで言う「物語」は、「古事記」や「源氏物語」のような大規模なものであるとは限らない。ほんの小さな印象、伝達でいい。場合によっては、たったひとつの言葉でもいい。
「まぶしい」という言葉ひとつが、物語の最小単位となる。私たちは、日常的に、至るところで、いつでも、お互いに物語っているのだという意識を持ったとき、世界の見え方は変わってくるように思う。
そのような意識を持って自分たちの使っている言葉を見つめるとき、そこには、新しい光と深淵があるように思う。整えられた小説はかえって邪魔にすらなるのだ。
(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)
(茂木健一郎)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「初対面の人とうまく話せない」を克服する会話術 相手と一瞬で打ち解け、良好な関係性を築くコツ
東洋経済オンライン / 2024年11月21日 15時0分
-
第一印象を格段にアップさせる気くばりのコツ 「マインド」や「見た目」は戦略的に演出できる
東洋経済オンライン / 2024年11月15日 16時0分
-
「ブロック遊び=図形に強くなる」とは限らない…中学受験の算数に強い子が幼児期にやっている"意外な遊び"
プレジデントオンライン / 2024年11月15日 7時15分
-
全世界を虜にした「エマニエル夫人」現代版のテーマは? 新作「エマニュエル」監督が来日、湯山玲子と“女性の欲望”トーク
映画.com / 2024年11月2日 12時24分
-
アンダーワールドが語る、テクノへの愛と創作意欲「僕らは今が一番エキサイティング」
Rolling Stone Japan / 2024年10月28日 17時40分
ランキング
-
1私立恵比寿中学・星名美怜、突然の「契約終了」 残るメンバーは謝罪...ファン衝撃「本当にちょっと待って」
J-CASTニュース / 2024年11月26日 12時55分
-
2「また干されるよ」ヒロミが「もう辞めるか?」のボヤキ、視聴者が忘れないヤンチャ時代
週刊女性PRIME / 2024年11月26日 11時0分
-
3辻希美&杉浦太陽の長女、芸能事務所入り たった2時間でフォロワー8・5万人!両親も宣伝「おめでとう」
スポニチアネックス / 2024年11月26日 15時11分
-
4山下智久、国際エミー賞で快挙!主演海外ドラマ「神の雫」が連続ドラマ部門受賞「夢が一つ叶いました」
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年11月26日 15時27分
-
5テレ朝 松本人志の裁判終結で吉本興業幹部から“報告とお詫び”も…「今後のことはまだ決まってないと」
スポニチアネックス / 2024年11月26日 14時28分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください