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<商売に興味がない夫と商売に奮闘する妻>NHK朝ドラ「あさが来た」が描く対照的なキャラクターたちに目が離せない

メディアゴン / 2015年10月26日 7時30分

河内まりえ[メディアゴン編集部]

* * *

NHK連続テレビ小説「あさが来た」がおもしろい。筆者は仕事の都合上、生放送で朝ドラを観ることができないが、今回はVTRを録ってでも見ようと決意したぐらいだ。

本作品のヒロインである、あさ(波瑠)は、京都の豪商の家の生まれ、活発で学問と相撲が大好き。姉のはつ(宮﨑あおい)は、おしとやかで琴と裁縫が得意という対照的な二人である。

やがて二人とも別々の両替屋に嫁ぐ。あさの嫁ぎ先・加野屋の若旦那、つまり夫の新次郎(玉木宏)は風流人で家業には興味がないものの、あさに助言を与える思いやりのある人物として描かれている。

一方、はつの嫁ぎ先・山王寺屋、夫の惣兵衛(柄本佑)は、無表情で冷たい人物として描かれている。母親の言いなりだ。

本作では、この王道の対比キャラの描き方が実にうまい。物語展開の核となる部分で、そんな対比シーンがいくつも出てくる。

例えば、姉・はつは、義母に口答えをして、蔵に閉じ込められてしまう。はつにとっての蔵は、暗く怖いところ「黄泉の世界」に等しい。あさは、夫・新次郎に頼みこんで入った蔵の中で、千両箱の少なさに愕然とし、加野屋の行く末を案じる。

また、両家「が借金を頼みに行く」という同じシチュエーションの場面では、わかりやすい対比が描かれる。あさは座布団に座らない。きちんと商売について教えてもらった様子はないのに、商売人としての礼儀を自然とわきまえている。

一方、姉・はつの夫である惣兵衛は対照的に座布団に座ってしまっている。つまり、山王寺屋の後継ぎであるのにも関わらず、商売人としては、礼儀に欠けた態度のように見せているわけだ。同じような場面でも少しの違いを作ることで、それぞれの個性を際立たせている。

また、ヒロイン・あさを中心にキャラクターがとても魅力的に描かれている。なかでもあさの夫・新次郎は家業を投げ出しては遊びに行ってしまうのに、どこか憎めない人物として描かれている。ゆったりとした話し方とひょうひょうとした雰囲気がとても魅力的だ。

商売に興味がない夫と、商売に興味を持ち奮闘する妻という対照的な主人公夫妻。さらに対照的なあさとはつの姉妹。それら対照的なキャラクターたちのこれからの活躍がとても楽しみだ。

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