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<「宅配ドローン」に疑問>ドローンにはもっと違うイノベーションがある

メディアゴン / 2015年12月23日 8時0分

茂木健一郎[脳科学者]

* * *

ぼくはイノベーションを推奨する立場で、特に、破壊的イノベーションと呼ばれる、既存の制度やシステムを破壊するようなイノベーションこそが、文明を進めると信じている。

そのぼくが「ドローン宅配」については、今ひとつよくわからないというのが正直なところ。

Amazon Prime Airが発表されたとき、面白いからその動画を大学の授業とかで見せて、学生に「これどう思う?」とか聞いたけれども、その時も、このイノベーションがどう画期的なのか、自分の中でもよくわからないな、と思っていた。今でも、よくわからない。

ドローンを使うんだったら、もっと違うイノベーションがあるように思う。空撮映像が常に手に入ることによってできることはたくさんあると思うし(例えば交通量の把握とか、警備とか、環境因子の把握とか)、宅配に使うことが画期的という感じが、今ひとつしないのである。

おそらく、宅配ドローンは、注文してから配達までの時間が圧倒的に短縮できることがメリットとなる、ニッチなマーケットでは有効だと思うのだが、それが何なのかわからない。報じられているように医薬品などかもしれないが、それも事例が限られるような気がする。

必要が生じて、注文してからデリバリーまでの時間が短いとうれしいのは、典型的には食事だと思うが、食事をドローンで運ぶことが重量的になどどれくらい現実的なのか、わからない。結論として、宅配ドローンが画期的な効用をもたらすイメージが、どうもわかない。

一方、世の中には、ICTを使って起こせる画期的なイノベーションがたくさんあるような気がする。Airbnbや、Uberはそのような方向性の代表例だろう。ここでは、規制や法律が足かせとなって、思うような発展が見られないのが現状である。

Teach for America(アメリカ・ニューヨークに本部を置く教育NPO)の日本版がなかなか普及しないのは、教員免許制度のせいだということを聞いたことがある。小学校や中学校などで、ある教科を担当するのに、免許が必要だという理由がよくわからない。このあたりを規制緩和すれば、ずいぶんいろいろなことができるだろう。

新卒一括採用などの、日本独特の雇用に関する慣習も、よくわからない。大学入試が、国の主導で一斉に同じように変わるのもわからない。国立大学が併願できないのもわからない。要するに、教育でイノベーションを起こせる種はいっぱいあるような気がする。

日本の経済は成長して欲しいし、さらに発展した国になることを望むけれども、破壊的イノベーションの「本丸」は、宅配ドローンにある気がどうしてもしない。

要するに「見た目に派手だし、イメージしやすい」ということ以上の意義を、私は宅配ドローンに見いだせない。間違っているかもしれないけど。



(茂木健一郎)

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