大女優・原節子に「坊やは、お利口さんなのね。」と声を掛けられた小説家・片岡義男
メディアゴン / 2016年1月6日 7時30分
柴川淳一[郷土史家]
* * *
1939年生まれで、かっこいい東京の原風景と日本映画の黄金時代を世間に余すところなく伝えてくれた片岡義男は「スローなブギにしてくれ」で有名な小説家であり、写真家であり、翻訳家である。こんな兄貴がいたら、いいのにと田舎出身の大学生だった筆者は憧れたものだ。
幼少をハワイで暮らしたと言う彼は中学三年生の時はもう立派な映画ファンでマニアだった。その当時、たまたま乗り合わせた小田急線の車内で、座席に座っていた自分の前に、ある超大物映画女優が付き人も連れずに、突然現れたそうだ。片岡義男さんはすぐに席を立ち、
「どうぞ、おかけください。」
と言った。するとその大女優は、
「私は大丈夫だから、あの人に譲って差し上げましょうね。」
と言って、銀幕の中と全く変わらないあの笑顔で、あの声で彼に語り掛け、 少し離れたところで吊り革を握っていた老婦人に、
「あの人が席を譲ってくださるそうです。おかけください。」
と、その老婦人を片岡少年の座っていた座席に誘ったと言う。片岡さんが遭遇したその出来事と彼女の優しい声に茫然としていると、その大女優は彼に向かって、
「坊やは、とってもお利口さんね。」
と、微笑んだという。片岡さんが降りる駅に着いて彼女にお辞儀をすると、その大女優も軽く会釈を返してくれたそうだ。
その日から、彼は会う人ごとに、誰彼構わず、彼の超幸せな体験談を話したが、誰一人信じる者はいなかったと言う。誰も信じてくれなくても事実だし、自分の得難い宝物のような経験だったと自著で述懐している。
その大女優とは2015年9月5日に95歳で亡くなった原節子である。
片岡と会った時、「永遠の処女」と称せられた彼女は35歳くらいだろう。8年後、43歳の時、映画界から引退し、以後、一切、世間にその姿を見せることは無かった。
それだけに片岡少年の体験はこの上なく得難い「宝物」だったのだろう。若い日にそんな体験をした彼は本当に幸せだと思う。
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