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<「めちゃイケ」新春スペシャル>「おもしろくなくはない」が全盛期の突き抜けたおもしろさがない厳しさ

メディアゴン / 2016年1月12日 7時50分

高橋維新[弁護士]

* * *

2016年1月9日放送のフジテレビ「めちゃ×2イケてるッ!」(以下「めちゃイケ」)2時間半の新春スペシャル。

今回の放送は、複数の企画を混ぜこぜに放映していく形だったので、各企画について論評してみたい。

<サル力コンテスト>

人気企画の「テスト」風の教室で、サル顔の芸人たち(とジャニーズ1人)にサルのような振舞いをしてもらうという企画である。生徒役の参加者には岡村や原西といった実力派が揃っていたので、申し分はない。原西は企画趣旨を多少無視してでも得意のゴリラのモノマネで暴れられるところは流石である。

欲を言えば、生徒として参加していたりく君(本物のニホンザル)と絡むくだりをもう少し見せて欲しかった。りく君からの程度の強い暴行を加えられれば、みんな(ちゅうえいのように)いいリアクション芸が見せられたはずである。

それと、ジミー大西の天然が全く出ていなかったので、どうせならもっとしゃべらせて欲しかった。ジミーは運動やサルのモノマネみたいな動きの芸をさせて活きる芸人ではないはずである。

あと、「先生」役として司会をやっていた矢部に先生としての無茶苦茶さがと生真面目さが足りなかった。

今回のおもしろさはほとんど芸人たちのサルらしき動きから生まれていたが、この企画のもう一つのおもしろさは、本来は人間である生徒たちに「お前らはサルだからサルをやれ」と無茶苦茶なことを真面目な顔で言う先生のキャラクターにあるはずである。加えて、この先生の無茶なキャラクターに生徒が反発することで、また別の笑いが生まれるはずである。

ところが矢部は笑いながら弛緩しきった状態で「司会」をやるだけなので、無茶苦茶なキャラクターを演じられていなかった。加藤や、普段テスト企画で先生をやっている岡村であれば、このキャラクターを演じ切れるはずである。不平不満を言う生徒にキレるというくだりで笑いを生むこともできるはずである。今回「ご褒美」として出てきたサル用の栄養食をもっと無理矢理食べさせるみたいな笑いも生まれたはずである。

無茶苦茶な内容を、真面目な顔でやらせるズレが笑いを生むのである。

矢部も、めちゃイケの別企画である「クイズ濱口優」(「クイズ100人に聞きました」のパロディ)で矢部口宏というキャラクターをやっているときは、もうちょっと無茶苦茶なキャラクターを演じられているので、矢部口宏みたいにもっとガッツリとコントキャラクターとしてのヅラや衣装などを用意してやった方が動きやすかったかもしれない。

それでも無理なら、加藤に先生役をやらせるしかない。

<シンクロナイズドテイスティング>

よくやっている企画。直近では最後に放映したのが2015年2月28日とほぼ1年前である(http://mediagong.jp/?p=8312)。

企画の笑いのポイントは、リアクション芸ではなく、壇上で芸人たちがやるコントである。あの動きには、全て台本がある。この企画も回数を重ねすぎているので、見る人が見れば大体の内容は予想がつく。完全に賞味期限が切れているのである。

最後の最後にゲストが氷水に落とされるくだりも毎回やっている既定路線であって、新鮮味は特にない。落とされたゲストのうち、ぺことりゅうちぇるは氷水がNGだったらしいが、その情報が視聴者に知らされたのは二人が落とされた後だったので、だからなんだという感想にしかならなかった。

ベッタベタになってしまうが、この2人はマジでNGだというのを矢部などの口から事前にフっておいた方がまだ良かっただろう。加藤は、その程度のフリには負けないはずである。

唯一これまでになかったのは、食べさせる役としてジャルジャルが出てきたことであるが、小さな笑いしか生まれていなかった。

<E村P>

岡村扮するE村Pのキャラクターコント。今回はめちゃイケメンバー以外の面子とも絡んでいた。この絡みも全部台本通りのコントだろうが、この手の「局内で撮るコント」ならやべっち寿司の方がおもしろかったというのが正直なところである。

E村Pは、コントキャラクターとしては高いレベルで完成されているのだが、チャラい恰好をしているせいで岡村の強みの見た目のフラが消えてしまっているうえに、キャラクターの性質上「動き」も封印されてしまっている。このコントは、アクセントにはなるが、メインを張らせるのは難しいだろう。だから、今の箸休め的な扱いのままでいい。

<フジ縛霊>

フジテレビに恨みつらみを持っている芸能人たちがそれをしゃべる企画。特段問題はないが、話に絡むわけでもなく、番宣をするわけでもなかったマギーの存在意義は不明。

<総評>

全体的に「おもしろくなくはない」のだが、全盛期のめちゃイケのような突き抜けたおもしろさがない。その理由は、筆者にもまだ言語化できていない。

金属疲労というのは簡単であるが、そうであってほしくはない。

通常、今回のように企画をバラバラで配置して、構成で見せようと考えるのはひとつひとつの企画がバラではおもしろくないときである。

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