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<歴史ドラマではなく家族ドラマ?>大河ドラマ「真田丸」は「スター・ウォーズ」そっくりだ

メディアゴン / 2016年1月13日 7時30分

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

* * *

六文銭の映像をバックに、縦書きの字幕スーパーによるドラマの設定の説明。その文言を有働由美子アナウンサーが読み始めた途端、筆者はひらめいた。「ああ、これは、『スター・ウォーズ』だな」と。

「スター・ウォーズ」についてはルーカス監督がこう言っている。

 「いろいろな星に行ったり、戦ったり、いろんな宇宙船が出てくるけれどスター・ウォーズはソープオペラ(ここでは家族のドラマという意味)なんだ」

今年のNHK大河ドラマ「真田丸」も勝頼や、信長や、豊臣や、上杉が出てくるけれど、戦をしたりするけれど、真田家の家族のドラマになるのではないかということだ。

筆者にとっては少し、残念なことだ。なぜなら筆者は歴史ドラマが好きだが、家族のドラマはあまり好きではない。

歴史ドラマを見るときの醍醐味は自分の知っている歴史の知識がドラマのストーリーと重なって、ああこの後はこうなるし、ああなるんだと考えを巡らすことが出来る時である。そのことはあまりどうでもよくて、家族の物語だとすると筆者にとっての魅力は半減である。

それから、歴史ドラマではどの武将をどの役者が演ずるかが楽しみなのだが、これがもう全てわかってしまっているというのはどういうことか。NHKは前の大河「花燃ゆ」の成績があまり良くなかったからか、大量の宣伝番組を投入している。それで配役が、わかってしまったのである。明らかにやりすぎである。

それからもう一つ心配は、大泉洋と堺雅人の真田兄弟コンビである。この二人、役者だが笑いもできてしまうので、台本につられてつい笑いに傾いた芝居をしてしまう。

抑えた芝居に軽いセリフを乗せた方が上品な笑いになるのに、軽い芝居に軽いセリフになってしまっているところが、気になってしまう程度に目に付いた。実は、コンビというのがまた良くなくて、笑いのできる人がコンビになると、笑いを取ろうと競いあってしまうのである。演出家はそれを抑えるのが役目だと考える。

それから、草笛光子は良いが、高畑淳子と木村佳乃がダメである。草笛さんは決して「面白そうに」演じない。だから良い。

高畑淳子さんという役者さんを筆者はあまり好きではないが、なぜなら、「面白いセリフ を面白そうに」演ずるからである。真田丸の中でもそれは同じだった、ゾゾッと背中が寒くなる。木村佳乃に至ってはセリフ棒読み。

笑いも芝居も全てにおいてわかっていらっしゃると思ったのは真田家の当主・昌幸を演じた草刈正雄さんであった。

なるべく長く草刈さんを出してください。幸村・堺雅人の活躍は史実ではあと30年はやってこないのですから。そこを作家の想像力でつないでいく間に必然的に登場してくる草刈さんを楽しみにしています。

そういう大事な草刈さんを、旅番組のリポーターにして真田家ゆかりの場所を尋ねる前景気煽りの番宣番組を筆者は見てしまいまいましたが、ああいうことはやらせない方が僕はいいと思います。

NHKも大河ドラマも値打ちが疑われます。

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